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南天のアンドロメダ銀河(NGC253)

猛暑が続く中で微かな秋の気配を探すように日々を送っていたが、9月14日の夜は空が高く澄み渡り夜半過ぎに昇ってきたオリオン座をはじめとする星々が瞬いて見えた。水平線から顔を出したシリウスが眩く瞬いている様には、秋の夜空を通り越して冬の気配すら感じられた。ああ、もう厳しい暑さも終わりだなあと、ホッとしながら秋から冬の星座を見上げた。

さて、写真の方は8月4日の晩に撮影した天体の続きになる。星図ソフトのStellariumを見ているうちに、南天にメシエ天体としてリスト・アップされていない鋭利な紡錘形をした規模の大きな銀河があることに気が付いた。調べてみると、「ちょうこくしつ座」にあるこの銀河は、NGC253としてリスト・アップされていて南天のアンドロメダ銀河とも呼ばれていることがわかった。

そこで8月4日の晩に、アンドロメダ銀河に続いて「南天の」アンドロメダ銀河に望遠鏡を向けてみた。まず双眼鏡で、ここと思われる辺りをながめてみると確かに光芒があるようだ。初めて見る対象に鼻息も荒く望遠鏡を覗き込む。すると、横長で両端がかすれるような光芒が見えている。

気持ちを落ち着けて観察してみると、紡錘形というよりも両端がはっきりしない板状で、M31のような中心部の膨らみは感じられない。星雲には気の毒だが、ボロ雑巾のような感じだ。高度が低いために街灯りの影響を受けているのもさえない一因だろうか。

南天のアンドロメダ銀河(NGC253)_b0167343_23274488.jpg露光は4秒で16コマをコンポジットしてみると、紡錘形をした立派な銀河星雲であることがわかる。また中心部に濃淡があって、それがボロ雑巾のような印象を与えていたことがうかがえる。

それにしても双眼鏡でも見えるこの天体に、なぜメシエは気付かなかったのだろうか。近くには8.1等の球状星団NGC288もあって、こちらもリストには入っていない。NGC253の南中時の仰角は約30度でM22M30とほぼ同じで、M7の仰角18度に比べると十分な高度がある。だから望遠鏡を向けさえしたら気付いたハズなのだが・・・。この星雲が宵に南中する季節は、かの地では天気が不安定だったのかも知れない。

by Nikon8cmtelescope | 2010-09-17 23:35 | 星雲