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木星の自転を捉える

地球の自転は24時間である。当たり前であるが、これがどのような意味を持つのか普段の生活で感ずることは難しい。ただ、飛行機で海外に行き結果的に1日のリズムが変化すると、いわゆる時差ボケで苦しむことになる。そう言えば若田さんが滞在する国際宇宙ステーションは90分で地球を1周するというから、1日に何度も昼と夜が来る事になるが、そんな中での体調管理はさぞかし大変だろう。

地球の自転が10時間だったら、一体どうなるのだろうか。想像すると面白いが、単純に今の地球環境がそのまま存在する事にはなるまい。こんな事を考えるのは、実は木星の自転が9時間56分だからだ。その自転による模様の移動を捉えてみたい、というのが6日の晩のもう1つのテーマだった。

夏至が近くて夜明けが早く、木星がケヤキの横から顔を出してから空が明るくなるまでに1時間弱しかなかったが、午前3時と午前3時45分の2回、集中的に木星を撮影してみた。その合間にじっくりと海王星を眺めたという訳だ。時間をおいて木星を眺めても、目視で分かる変化はなかったが、写真ではどうだろうか。

それぞれ3分以内に撮影したコマの中から、ブレの少ないコマを8コマずつ選んでコンポジットしてみた。残念ながら前回に比べると気流が不安定で、出来上がった画像もシャープさに欠けるが、ともかく二つの写真を並べてみた。すると、どうやら縞模様の濃淡が時間の経過で向かって左から右に移動している感じだ。

木星の自転を捉える_b0167343_0242742.jpg
10時間弱で360度回転するのだから、わずか45分でも自転によって30度近く回転する計算になる。Stellariumのシミュレーション結果を横に並べたが、確かに写真でも同程度に移動している感じだ。午前3時に正面に見えている赤道上の縞模様の濃い部分が、45分後には右側に移動しているし、それに伴って赤道下の縞模様も移動しているように見える。

今後も機会がある毎に、同じ晩に時間差を置いて木星を撮影してみようと思う。気流の条件が良く有名な大赤斑が見えているタイミングであれば、もっと鮮明に自転に伴う移動を捉えられるはずだ。また、よりシャープな像にするには、コンポジットする写真も、もっと短い時間内で選別する必要があるだろう。まあ、これは気流の条件が良ければ必然的にクリアされる事ではあるのだが。

さて、惑星の自転のスピードであるが、そもそも太陽との位置関係や惑星の大きさで、自転のスピードには物理学的な必然性があるのではないだろうか?そして、自転のスピードが早くなったとすると、そのために木星のように赤道方向にひろがった楕円の球形になるのではないだろうか。そうなると環境は大きく変化することは確かで、生命の存在すら危うくなるかもしれない。

空想は尽きないが、梅雨で望遠鏡が出せない間の宿題として、自転についても機会があったら調べてみようと思う。

by Nikon8cmtelescope | 2009-06-14 00:29 | 惑星