冬の気配

先週末に義父が亡くなった。この日が遠からず来るだろうことは感じていたが、一陣の風のように旅立っていった。山麓の街ではもう紅葉が始まっていて、薄らと冠雪した富士が大きく凛とそびえていた。深夜に外に出ると、引き締まった夜空にオリオンが昇っていた。秋とは冬の序章であることが実感させられた。

週が明けて普通の生活に戻ったものの、どこか重いものを背負っているような感じでいた。そんなためか、水曜日の晩は夕食を終えると、季節外れの雷雨の気配を感じながら居間で眠ってしまった。夜半に目覚めて、残した仕事を片付けに職場に戻る時には、雲の間から星が少しだけ見えていた。

最小限の夜なべ仕事を終えて再び家路につく頃には、街灯の上に星空が半分ほど広がっていた。家に戻って寝間着になり部屋の電気を消すと、窓からオリオン座のリゲルが見えた。上着を羽織って外に出てみると、少しの間に大きく晴れ間が広がっていた。

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望遠鏡を出すと、直ぐにオリオン星雲に向けた。トラペジウムを包むようにベール状の星雲が広がっており、星雲は紫がかった淡いピンク色を帯びていることが肉眼でも感じられる。デジカメのISOを上限の1250に、露出時間も上限の1秒にそれぞれ設定すると、いつものように接眼レンズにデジカメを押し付けて手持ちで撮影してみた。

b0167343_9513022.jpg1秒間の露出だとトラペジウムの星々は流れてしまって一塊になっているが、カメラのモニターでも星雲が確認できた。そこで、16コマを選んでコンポジットしてみた。さすがにトラペジウム周辺の明るい部分しか写っていないが、それでも星雲の美しさの片鱗は見て取れる。

オリオン星雲では星が次々に誕生しており、トラペジウムを形成する若い星々が誕生したのは、数十万年前と考えられているらしい。それと比べると人間の生涯はあまりにも短い。しかし、私達は星から生まれて、いずれ星に帰っていく。オリオン星雲をながめていると、短い人間の生涯も悠久とも思える宇宙の営みの一部であることが自然と受け止められた。

(撮影したメシエ天体 通算5/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-10-17 09:57 | 星雲