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やはり重症だった・・・・

Nikon 8cmを購入して三十数年を経ているが、社会人になってからの十年余りは実家の湿気の多い物置に仕舞い込んだままになっていた。この間に対物レンズの内側に大きなカビの塊が2カ所付いてしまった。幸いなことにレンズの縁だったので、光学的にはさほど影響はないだろうと無視していた。とっくにNikonは望遠鏡の製造を止めていて、補修を依頼しようにもできないと諦めてもいた。

この夏に望遠鏡の見え具合がサッパリしないのは、結露のためかと思っていたのだが、ライトを当てて対物レンズを上から覗いて見たところ、レンズの内側に無数の小さな付着物があって言葉を失った。これは放置しておく訳にいかない。そこで、テレスコ工作工房さんに紹介していただいた熊本にあるヨシカワ光器研究所に補修をお願いすることにして、厳重に包装を施し宅配便で送り出したのが先週末のことだった。

一週間が経ち、先方に届いた望遠鏡の精査が終わったので結果を報告したいとのメールをいただいて、ドキドキしながら電話で様子をうかがった。社長さんは「今までみたNikon 8cmで一番カビが酷い状況です」と淡々とした口調でまずおっしゃった。予想通り状況は厳しいと覚悟した。「ここまでカビが付くと、通常はカビを落とすと一緒にレンズのコーティングが剥げ落ちてしまいます」と「通常は」というところを少し強調して続けられた。どこか救いのある言い方に、落胆せずに次の言葉を待った。「幸いNikonのこのレンズはコーティングが特殊なので、開発した薬液の中でレンズを回転させて、ゆっくりとカビを溶かしていけば、時間はかかるがコーティングが剥げ落ちることなくカビが落とせます」と結んだ。

鏡筒の内側の塗装もブヨブヨに水分を含んでいる状況だと付け加えられた。簡単に結露してしまうのは、それが原因だったようだ。これを全て剥がし、新たに開発した塗装を施せば「数十年は大丈夫です」と。医師から身内の病状説明を受けて、重症で少し時間はかかるけれどもちゃんと治りますと言われたような気持ちだった。

10月の連休前までには補修が済んで帰ってくる見通しとのこと。キレイになって戻ってくる日を楽しみに、しばらくは撮り貯めた写真の整理をしながら帰りを待つことにしたい。

by Nikon8cmtelescope | 2010-09-22 00:47 | 天文少年の頃