韋駄天ハートレー彗星

10月10日の晩は素晴らしい星空で、日没直後に八ヶ岳山麓に着くと早速にハートレー彗星を双眼鏡で探した。二重星団との接近から僅か2日後だったので、二重星団から東側を探すのだが見つからない。天の川が空を二分してクッキリと見えるような好条件なのに、どうしてだろうか。まあ夜は長いしカシオペヤの高度も高くはないので、さしあたりは夏から秋にかけての星雲・星団を双眼鏡や望遠鏡でのんびり眺めて過ごした。

21時をまわってカシオペヤが天頂に昇った頃に、改めて双眼鏡を向けてみた。するとカシオペヤと「ぎょしゃ座」のカペラを結んだ中間あたりで、ちょうどペルセウス座のオレンジに輝く3等星の近くに、想像していたよりも大きな光芒がある。わかってみると、どうして気付かなかったのか不思議になるぐらいの光芒だ。

早速にNikon 8cmを向けて見ると、芯のある周辺が曖昧な星といった感じで、一見すると小型の球状星団のようなイメージだ。メシエが彗星と紛らわしい天体として次々に球状星団をリスト・アップしていったのが理解できる。双眼鏡だと大きな光芒に見えるが、望遠鏡で拡大してしまうと眼視ではほとんど中心部しか見えない。

そこで新兵器のリングを30mm接眼レンズに装着し、デジカメを接眼レンズに押し付けて手持ち撮影を始めた。露光時間は10秒と思い切って長めに設定しISOはいつも通りの3200に設定した。カメラのモニターでは、オレンジの3等星と彗星の緑色の対比が非常に美しい。ただ、リングを装着しても接眼レンズの外径よりもカメラのレンズ部分の外径が一回り小さいので、手持ちでは光軸を合わせるのが意外と難しい。そうやって撮影した中から16コマを選んでコンポジットしてみた。

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通常16コマをコンポジットする場合には、恒星の位置が重なるように2コマをコンポジットしたものをお互いにコンポジットして4コマ合成を4組作り、コンポジットをさらに繰り返して最終的に1コマにしている。ところが、4コマのコンポジットで見比べてみると、周囲の恒星に対して彗星の位置が刻々と変化している。最初の4コマは21時32分から36分までの撮影で、最後の4コマは21時46分から50分までの撮影なので、その間は約15分であるが、彗星の移動が明確に見てとれる。

b0167343_22474493.jpgそこで、4コマ同士のコンポジットでは通常の恒星を重ねる方法はとらず、彗星の位置を合わせて比較明の手法で合成してみた。結果として恒星はかなり流れているが、彗星が明るい中心部と淡い光芒から成り、写真の左上に向かって短い尾があることがわかる。写真の一番上に少しだけ写っているオレンジ色の星が3等星である。恒星がきれいな線状になっていないのは、各コマの光軸が微妙にズレてしまっている影響だ。

二重星団からは遠ざかってしまったが、ようやくハートレー彗星を手持ち撮影することが出来た。星雲や星団では見たことがないような緑色は本当に美しい。写真としてのデキはともかくとして、望遠鏡での彗星の姿をデジカメで手持ち撮影したのは、これが世界で最初ではなかろうかと一人悦に入っている。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-10-15 22:53 | 彗星