白旗・・・(M77銀河)

天の川が立ち上る夏や、オリオンとシリウスが君臨する冬と比べると、秋の南天は何とも寂しい。街中からだと、フォーマルハウトを筆頭にほんの数個の星が数えられればいい方だ。今シーズンは、それでも近くに木星が輝いているので寂しさは随分と緩和されているのだが・・・・。そんな星空の空白地帯とも言うべきあたりにポツンとある「くじら座」の銀河M77と、ペガススの翔る賑やかな秋の天頂と静かな南天の境目にある「うお座」の銀河M74の2つは、メシエ天体の制覇を目指す以上は残して置く訳には行かない。

11月5日の晩は、この2つの天体を絶対にデジカメに収めようと臨んだのだが、気合いが入れば良いと言うものではない。天体観察で重要なのは機材と空の条件だ。そして機材がNikon 8cmと決まっている以上は、こちらで何とか出来るのは暗い空を求めて山に入ること。それで「鹿の声を聞きながら・・・」ということになった次第だ。

b0167343_2335487.jpg少し緊張しながら星図を頼りにM77を探す。空が暗い八ヶ岳山麓とは言え、目印になる星の少ない秋の南天で、小さなガイドスコープを使って目的の天体を導くのはなかなか骨が折れる。中腰で見上げる体勢を維持していると膝が笑う。それでも何とか、ここだと思われる場所に辿り着いた。接眼レンズを覗き込むと、どうやら目的の天体だ。比較的明るく、どちらかと言えば球状星団に近い。露光時間を3.2秒に設定して手持ち撮影し、16コマをコンポジットした。ちょうど中央に写っているが、日周運動で流れてしまい周囲がボンヤリとしている点を除けば恒星とあまり変わらない。メシエ天体で最大の銀河ということだが、逆に言えばそれだけ遠い天体だという事になる。

さて、もう1つのM74だが、望遠鏡でここだと思われる場所を中心にデジカメで長い露光時間をかけて何度も手持ち撮影したのだが、見つからない。そうこうしていると、冬の星座が次第に高度を上げて手招きしている。ここで諦めるとメシエ天体の制覇が来年の秋まで「おあずけ」になるとわかっているのだが、誘惑にあっさりと白旗をあげた。今になって悔まれるが、後の祭りである。
(撮影したメシエ天体 通算84/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2011-01-24 23:38 | 星雲