持ち時間30分の夜(M8干潟星雲)

簡易手動追尾の導入によって、星雲の写りが格段に向上することがわかったので、ゴールデン・ウイーク中に夏の鮮やかな星雲達を簡易手動追尾で撮影するのを楽しみにしていたのだが、お天気とインフルエンザで果たせなかった。連休明けも、なかなか天気に恵まれないうちに、どんどん月齢が進んでしまった。

そんななか5月14日の晩は好天に恵まれたうえに黄砂の影響も少なく、月さえなければ夏の星雲を見るには格好の空になった。インターネットで確認すると、月没が午前2時半で天文薄明の開始が午前3時と、月のない夜空は僅か30分間だけ。薄明の開始時刻は4月初旬に比べると1時間も早くなっている。しかし、この機会を逃すと梅雨明けまでお預けなんてことにならないとも限らない。よし、出掛けよう。日付が変わる頃に車に機材を積んで、八ヶ岳山麓に向かった。

月はだいぶ西に傾いたものの、足許に影がクッキリと見えるほどの月明かりだ。それでも、夏の大三角の辺りには天の川が見えており、この時期としては非常に良い条件だとわかる。月から遠い東の空にある球状星団や散開星団を撮影しながら月没を待った。月が高度を下げるにつれて天の川が次第に濃さを増して、月没後には南北に空を二分してクッキリと見えるようになった。折しもM8干潟星雲が南中した。

望遠鏡にM8を導いてのぞいてみると、星雲の中央を暗黒帯が横切る様が鮮明に見えた。急いでデジカメを装着して、露光時間はあまり欲張らずに3.2秒に設定し簡易手動追尾で撮影をはじめた。かなり冷え込んで来て、微動装置を持つ手が冷たく鼻水も垂れてくるが、追尾がうまくゆくとカメラのバック・モニターに驚くほどにクッキリと星雲が現れるのに励まされ、ひたすら撮影を繰り返した。

b0167343_013416.jpg約20分間で撮影した100コマほどの中から、32コマを選んでコンポジット処理したのが、この画像だ。昨年の春まだツアイス・サイズの接眼部を使っていたころに自宅で手持ち撮影した時の画像はもちろんだが、32cmのドブソニアンで露光時間を1.3秒に設定して撮影した画像よりも鮮明に写っている。ドブソニアンで撮影した時は、M8の高度が低くて条件があまり良くなかったので単純に比較はできないが、追尾の効果は絶大だと言える。

それにしても美しい姿だ。眼視では透明感のある美しさなのだが、写真だと何だか官能的な感じがする。恐るべし簡易手動追尾。次の好条件の夜が待ち遠しい。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-05-16 00:17 | 星雲