迫り来る薄明(M20三裂星雲)

5月14日の晩に、月没から薄明開始までの30分間に夏の銀河にある星雲をいくつか撮影しようという算段で八ヶ岳山麓に出かけて、M8干潟星雲に続いて望遠鏡を向けたのは、M8のすぐ北にあるM20三裂星雲だ。時刻を確認すると薄明開始までは残り10分足らず。望遠鏡で覗くと淡い星雲が確認できるが、特徴とされる裂け目のような暗黒帯ははっきりしない、というかじっくりと確認する間もなくデジカメを装着すると、露光時間を3.2秒に設定して簡易手動追尾で撮影をはじめた。

気持ちがはやるせいだろうか、カメラのバック・モニターに現れる画像はどれも星が流れていて追尾がうまくいっていないことを示すものばかり。M8の撮影のときは時々現れるキレイな画像に励まされたのだが、こうなると失敗の画像が多いことの方が気になってくるから、まさに気持ちの問題なのだろう。しかし、ついつい微動装置を握る手にも力がはいってしまう。

撮影を続けながらも東の空が気になる。低い空が少し白みはじめているような気がするが、なかなか満足できる画像の数は増えていかない。そんななか、突然近くの森から小鳥のさえずりが聞こえてきた。朝を待ちわびた野鳥が、僅かな夜明けの気配を感じて喜びの声をあげたのだろう。まだまだ天の川が見えているのだが、もう星を追うものの時間は終わったのだった。

b0167343_23494881.jpg結局、M8と同じように約100コマを撮影したなかで星が点像に近いのは13コマだけだった。星が点像に近くても星雲が写野の中央からズレてしまっているコマもあるが、それも含めてコンポジット処理した。コマ数が少ないので画質が粗く、周辺部の星像の乱れも目立つが、裂け目のような暗黒帯がある赤い星雲の本体に加えて、暗黒帯をはさんで広がる青い星雲も以前の手持ち撮影にくらべてずっと鮮明に写っている。空の条件に恵まれれば、たかだか3秒程度の簡易追尾でもここまで写るのだから、また条件の良い夜にじっくりと撮影してみたいと思う。

こうして画像で見ると実に見事な配色だが、眼視ではこの色合いはまったく感じられないのが残念だ。宇宙船に乗って近くで見ることができたら、さぞかし美しいだろうが、現実には2300光年も彼方の途方もなく遠い世界・・・。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-05-20 23:51 | 星雲