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黄金の星々(M22球状星団)

5月14日の晩、次第に月が高度を下げて月明かりによる足許の影がずいぶんと長くなってきた。月没まであと少しだ。そこで、望遠鏡を「いて座」にある球状星団のM22に向けた。M22は密集度が低くまた中心部の星々が比較的明るいため、小口径の望遠鏡でも個々の星に分離して見える。以前の手持ち撮影でも、その様子をかなり鮮明に捉えることができた。果たしてそのM22を簡易手動追尾で撮影するとどう写るのか。

黄金の星々(M22球状星団)_b0167343_16344038.jpg露光時間は例によって3.2秒に設定して、微動装置を握りしめると撮影をはじめた。対象が明るいので、星が点像に近くて星団が写野の中央に写っているコマだけを選び出して、コンポジット処理した。全部で24コマを処理したが、こうしてみると以前の手持ち撮影で写っていたのは、星団の中心部の明るい星々だけで、その周囲を暗い星がビッシリと取り巻いていることがわかる。ちょうど天の川の中心方向にあるため背景の微光星の数が多く、どこまでが星団なのかわからないほどだ。星団の星々は黄金を思わせる色合いで、まるで金貨を積み重ね散らしたかのように見える。そしてM71からM11、M22と写真の背景を比べると、次第に黒みが増して来て月明かりの影響が減ってきているのもわかる。

M22の撮影を終えた頃には月が沈み、暗くなった夜空に天の川が存在を誇示するかのように南から北へと空を二分して浮かび上がってきた。こうして30分間のクライマックスを迎えたのだった。

by Nikon8cmtelescope | 2011-06-12 16:36 | 星団