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2つで1つ(二重星団h-χ)

8月10日のに月が沈むまでの間、二重星団のh-χに望遠鏡を向けてみた。空の条件が良いと、天の川の中に細長い光芒として肉眼でも十分に見えるのだが、この夜は西の空の月明りと縞状の薄雲の影響で肉眼ではハッキリしなかった。しかし、望遠鏡を向けてみると気流が安定しているせいか、針で突いたように繊細な微光星の群れが2つ視野に広がっていて、この星団の美しさは十分に感ずることができた。

北天の天体なので日周運動の影響が比較的少なく、昨年秋の手持ち撮影でも星はかなり点像に近く写ったのだが、簡易手動追尾によってよりシャープな星像が得られることを期待して、露光時間を3.2秒に設定して撮影してみた。やはり日周運動の影響が少ないため、3.2秒という比較的短い露光時間では追尾エラーもほとんどなく、半分ぐらいのコマで星が気持ちの良い点像に写っているのがバックモニターでもわかった。

2つで1つ(二重星団h-χ)_b0167343_23212578.jpgそうやって撮影したコマの中から、できるだけ星団が視野の中心に写っているコマを選び出し、全部で45コマをコンポジット処理してみた。その甲斐あって、周辺部分の星はレンズの収差で若干線状に流れているものの、星団を構成する星々は概ね点像になった。特に暗い星がまさに針で突いたように写っているのが嬉しい。

こうして画像になってみると、2つの星団は思ったよりも星が疎らで規模も小さい。おそらく、単独ではこれほどまでに注目されない星団かも知れない。ところが、これを望遠鏡で見た美しさと言ったら、それこそ自然と溜め息が漏れてくるのだ。二重星団は決して2つの星団が並んで見えているのではなく、両方あわせて1つの天体なのだと、写真を見ながら強く思った。

by Nikon8cmtelescope | 2011-09-04 23:22 | 星団