憧れの馬頭星雲

とうとうこの日がやってきた。コンデジのコリメート法によるお手軽撮影でも星雲が写ると判った時から、いずれは挑戦できたらいいなと思っていた。昨シーズンの冬に凍える手で手持ち撮影した時には、次のシーズンには必ずや挑戦しようと思った。そして、先月に簡易手動追尾でプレアデス星団のガス星雲の存在をおぼろげながらも捉えた時には、間違いなく写ると確信した。

昨晩は、待ちに待った晴れ間がやってきた。天気がすぐれなかった夏の間に、天候が回復したらあれもこれも撮影してみたいと頭の中には煩悩の塊が育って渦巻いていた。日付が変わる頃に、八ヶ岳山麓のいつもの場所についた時には上弦の月は西に大きく傾き、八ヶ岳から張り出すように懸かっていた雲も時間の経過とともに少なくなっていった。さて、どこから手をつけたらいいのだろう。久しぶりの星空を前にして、月が沈んでも気持ちばかりが空回りしていた。

最初は上空にガスが懸かっていたのが、冷え込んでくるとともに夜空の透明度がどんどん増して来た。そんな中を午前2時を過ぎると東の空にはオリオン座が昇ってきた。冴えた星空は、冬の夜空を思わせる。そうなると、いてもたってもいられずに望遠鏡を向けた。とうとう、憧れの天体の撮影に挑戦する時が来たのだ。目指すは馬頭星雲。子ども頃に百科事典で写真を見て、その美しさと不思議さに打たれた対象だ。

b0167343_1155355.jpg三ツ星の東側のアルニタクを視野に導くと眼視では見えない存在を確認するために、まずはテスト撮影をして対象の位置を探ってみる。コンデジのバックモニターでも、その存在がどうやら確認出来た。カメラの構図を決めると、微動装置を握りしめて、ブラインドで追尾撮影をはじめた。露光時間を、5秒、8秒と延ばして10秒まで増やすと、追尾エラーが頻発するようになる。ここまで来るとブラインドの手動追尾で星を点像に写すのは至難の業だ。

そこで、多少の追尾エラーには目をつぶって、露光時間を10秒、13秒、そしてコンデジの設定上限の15秒まで増やしながら、撮影を続けていった。そうやって写した写真から、追尾エラーが比較的少ない6コマずつを選んでコンポジット処理し、同様の条件で少しだけ増感処理して比較してみた。15秒露光に挑戦している間に薄明を迎えてしまったので、背景が明るくなってしまったが、たかだか2-3秒の露光時間の違いなのに、10秒、13秒、15秒と露光時間が増すにつれて写り具合が驚く程に改善していた。

b0167343_1353432.jpgそして、10から15秒露光で撮影した全部で27コマをコンポジットし増感処理してみたのが、この画像だ。追尾エラーで星は線状に伸び、中心をズレたコマも無理矢理にコンポジットしたので周辺部の星は収差でズレズレだが、赤いガス星雲に重なってチェスのコマのような馬頭星雲が浮かび上がっているのがわかる。とうとう、少年の頃からの憧れをNikon 8cm望遠鏡のお手軽撮影で捉えることができた。40年近く前からの夢が叶ったことになる。

ここまで写るのだったら、赤道儀にサブ望遠鏡を載せて、対象を確認しながらの手動ガイドでお手軽コリメート撮影をやろう。そう決心した。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-09-08 01:36 | 手持ち撮影にこだわる訳