速報 ギャラッド彗星とM92球状星団

以前にも書いたことがあるが、サクラと富士山、松と城壁、紅葉と古寺・・・と組合わさると心惹かれるのが日本人というもの。天体でも同じで、月と惑星の接近なんていうとジッとしていられない気分になる。まして、彗星とメシエ天体の組み合わせになると放っておくわけにはいかないハズだったのが・・・すっかり失念していた。

2月3日の晩は厳しい冷え込みではあったが、季節風が弱まる上に快晴の予報だったので、月没は午前3時過ぎと遅いものの週末だし出掛けることにした。月没の頃には南天のω星団やNGC5128、そしてM83がある程度は高度を上げるハズなので、冬の高い透明度を生かして撮影してやろうという算段だった。行った先は、八ヶ岳の手前の茅が岳の麓にあるいつもの場所。ここは、季節風が吹き抜けるのが難点なのだが、八ヶ岳よりは家から近く雪も少ない。それに、アッベクや車好きの若者が訪れることも稀なのが好都合な場所だ。予報通り季節風は弱かったが、万が一に備えて公園の端っこにあるトイレを風よけにして望遠鏡をセットした。

そのうちに、駐車場の反対側に珍しく車が止まった。エンジンを切っていることからアッベックではないことはうかがえたが、距離があるので何をしているのかよく判らなかった。そうこうしているうちに月が沈んで空が急に暗くなった。ω星団が遠くの電線の下に確認できたので、撮影を始めようと準備を始めたところ、向こうから人が駆け寄って来た。どうやらトイレに来たようだ。その瞬間に同好の志だと確信して声を掛けた。聞けば、東京からギャラッド彗星を撮影しにここまで来たのだと言う。そうだ、忘れていた!!今夜がM92と最も接近する晩だったんだ。

それでも、まだω星団の撮影をしていたのだが、再びこちらに来てくれてNikon 8cmでも十分に同一視野に入る近さだと教えて下さった。自身はオートガーダーに任せて撮影中だと言う。そこで慌てて望遠鏡を向けてみると、見事に同一視野内だ。一見すると、どちらが彗星でどちらが球状星団なのか区別がつかない。メシエが彗星発見で紛らわしい天体としてリスト・アップしたのも、さもありなんと合点がゆく。しかし、どうやら彗星の方は尾がうっすらと見えている感じだ。

ということで、コリメート撮影を始めた。最初は45秒露光にしたのだが、寒さで体が震えて手動ガイド・エラーが続発したのと薄明が近付いてきたのとで、露光時間を20秒にした。ISOは1250から薄明を過ぎてからは800に設定して撮影した。その中から、ガイド・エラーの少ない16コマを選んでコンポジット処理してみた。時間が限られており撮影しながら対象を中央に持ってくるように調整していったので、コマごとに対象の場所がズレてしまいコンポジットすると周辺部の星に収差が出てしまったため、周辺部を20%ほどトリミングしてある。それでも、M92と彗星は星像があまり乱れずに済んだ。それから、以前に手持ち撮影したハートレー彗星よりも移動速度がかなり遅く、ギャラッド彗星もたいして流れずに写ってくれた。ちなみに最初のコマが4時48分で最後のコマが5時21分の撮影だった。

b0167343_111346.jpg出来上がった画像は彗星が球状星団にビームを発しているようで、なかなか面白い感じになった。眼視だと彗星の色や球状星団の個々の星々までは確認できないが、概ねこの画像のイメージだ。彗星の全容は、この晩にご一緒したfornax8さんが業界では有名な天体写真用反射望遠鏡で撮影し、独特の画像処理を施した画像をブログにアップしておられるので、そちらをご覧あれ!

それにしても、万が一fornax8さんが教えて下さらなければ、厳寒の晩に出掛けていながら貴重な天体ショーをあやうく見逃すところだった・・・。fornax8さん、どうもありがとうございました!
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by Nikon8cmtelescope | 2012-02-06 01:15 | 彗星