2012年写し初め(その2-M1カニ星雲)

1月2日の晩も日付が変わってしばらくすると、月が沈み空の暗さが増して来た。M97に続いて望遠鏡を向けたのはM1かに星雲だ。M1は、この時期には夜半に天頂方向に位置していて撮影するには好条件なので、冬のはじめから撮影の機会をうかがっていた。ところが、風が強かったり雲が出て来たりと望遠鏡を向けるのに何か必ず妨げがあって、ここまで撮らずにきてしまっていた。思えば、M1はこれまでも望遠鏡で確認するのに難渋しているし、せっかく確認できたのに結露に悩まされたこともあった。

さて、この夜はと言えば望遠鏡の眼視でも存在を十分に確認することができた。そこで早速にコンデジをセットすると、露光時間を64秒に設定してISOは1600と2400で撮影を始めた。ところが、富士山側から張り出してくる薄雲が、時折オリオン座を越えて広がってM1を覆ってしまい、その度に撮影を中断せざるを得なかった。それでも1時間半ほどかけて全部で約50コマを撮影したところで、コンデジのバッテリー切れになった。

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その中から、薄雲の影響を受けずガイドエラーの目立たない32コマを選んでコンポジット処理した。星雲の全景としては、以前の写真とそう大きく変わらない感じだが、星雲の一端が赤くなっていて、フィラメント状の赤いガスの吹き出しの一部が写っているようだ。ただ、ちょっとフォーカスが甘かったなあ。

ところで、この晩に撮影していた場所は、高さ2メートルほどの金網を隔てて南側は灌木と草原が混ぜこぜにになった原野が広がっているのであるが、撮影中に金網を隔ててすぐの辺りから、微かにポキポキと枯れ草を踏みしめる音や獣の気配がずっとしていた。おそらく鹿が金網の直ぐ向こうに来ていたのだろうと思う。本来なら落ち着かない気分で、こちらは手動ガイドどころではないような場面なのだが、金網が一枚あるので腹をくくって微動ハンドルを握り続けていた。向こうもきっと同じような感じで、こちらの存在は重々知りながら、金網があるので安心して餌でもあさっていたのであろう。この不思議な緊張関係は30分程続いていたが、やがて向こうが静かに去っていった。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-02-15 00:46 | 星雲