春の系外宇宙(その4-NGC4631/NGC4656銀河)

なかなか晴れないと書いたら、4月23日から24日にかけては久しぶりの晴天となった。g-logさんのカッコイイNGC4631の写真に心惹かれ、調べてみたら銀河の長軸が15.5分と思いのほか大きいことがわかった。もちろん、g-logさんのような写真が撮れる訳はないが、直ぐ近くにNGC4656という一風変わった銀河もあり、Nikon 8cmに30mmの接眼レンズだと両者が十分に同一視野内に収まることもあって、トライしてみることにした。

ということで4月24日の晩は、夜半から快晴との予報に備えて仮眠をとり、24時前に八ヶ岳山麓に着くと、やや透明度は低いものの東の空に昇ってきた天の川が確認できるそこそこの条件だった。コルカロリから南に特徴的な星の並びをたどって、ここだろうと思われる辺りに望遠鏡を向けて接眼レンズをのぞくと、針のように細長いNGC4631銀河が眼視でも十分に確認できた。M82を細く引き伸したような見え方で、メシエ天体に入っていないのが不思議なくらい良く見える。一方、NGC4656は眼視でははっきりしなかった。

S95を接眼レンズに装着し、ISOを3200で露光時間を20秒に設定して完全手動追尾によるコリメート撮影をはじめると、NGC4656もちゃんと写っているのがバックモニターで確認できた。20秒露光で20コマほど撮影し、さらに露光時間を30秒に延ばして撮影していると、下界から南風に乗って雲がどんどん上ってくるのが見えた。そうなると追尾装置を握る手にも力が入る。そして、あっと言う間に雲が空全体に広がってしまった。撮影を始めてから1時間足らずの幕引きだった。本当なら露光時間を40秒、64秒と延ばしながらISOを段階的に下げてコマ数を稼ぐつもりだったのだが、仕方がない。

b0167343_015375.jpg全部で32コマをコンポジット処理してみると、NGC4631のほうは細長い非対称の紡錘形に濃淡のある様子が写っていた。また、小さいが伴星雲も写っている。NGC4631はクジラ銀河との別名があるようだが、この写真では爪楊枝のような感じだ。NGC4656は「へ」の字に折れ曲がった不思議な形状がなんとか確認出来る。美しいブルーの色合いも捉えられていて、尾羽を閉じた孔雀のようにも見える。この2つの銀河は、お互いに重力の影響を及ぼし合っているために、このような変わった姿になっているのだという。

露光時間が短い上にフォーカスが甘く、ISOが3200なのにコマ数が不足して画像が粗いため、とうてい満足できるような画像ではないが、意外とよく写っていて驚いた。ぜひとも、またじっくりと撮影してみたいが、時期的に来シーズンのお楽しみということになりそうだ。

それにしても、この夜の気温は3度。つい1ヶ月前には、防寒下着を重ね着し、凍える指をさすりながら氷点下10度前後の条件で撮影していたのと比べると、その点では快適な季節になった。しかし、南風に乗って下界の湿った暖気が上ってきて霧が発生しやすい状況にもなっていて、厳しい条件ではあったが厳寒の中の星空が早くも懐かしく思われる。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2012-04-27 00:11 | 星雲