Gift

日食が終わってポッカリ空いた心の隙間を埋めるためにも、週末は星空が見たいと思っていた。思わせぶりなGPV予報は、夜が近付くと悪い方に変わるパターンで土曜の晩は終わった。日曜の晩だろうが晴れたら見に行くぞ!と心に決めて昼間を過ごしたが、良さそうだったGPV予報はまたしても夕方に悪化。夜になったら雨までパラパラと降り出した。

それでも、北西から寒気の流れ込みで晴れ間が広がる気配も見えたので、日付が変わる頃に家を出て八ヶ岳山麓に向かった。盆地から見える山々には雲が低くたれ込めていて、ワイパーを動かすほどではないが雨が落ちている。高速道路は走る車も少ない。ラジオに耳を傾けながら、一路北西に走る。高速道路とは思えないような急坂を何回か登るうちに、アレッ星が見え出した!!気分は自然と盛り上がってくる。

長野との県境のインターチェンジを下りて、八ヶ岳への道を走る。雨で濡れた路面から霧のように蒸気が立ちのぼっている。これじゃあ、晴れたとしても望遠鏡が結露するのじゃあないだろうか、不安が頭をよぎる。フロントガラス越しに目を凝らすと星がポツポツと見えている。イヤイヤ、北風さえあればきっと晴れる!そう思って山道を登る。いつもの場所に着くと、日付は既に月曜日。誰もいない。ドキドキしながらエンジンを止めて車から降りた。

予想通り北西側に晴れ間があって星が見えている。しかも、強くはないが北西から風が吹いている。よし、いいぞ。このまま雲を麓に追いやれ!!そう念じながら望遠鏡を組み上げた。三分の一ほど晴れ間があるが、まだ天気はどう転ぶのか確信は持てない。それなら、コンデジを赤道儀に直に載せてお手軽ガイド撮影をしながら天候の回復を待とうと決めた。

b0167343_119478.jpg南側が雲に覆われた夏の大三角を撮影していると、西から雲と晴れ間が交互に空を通過しながら、次第に晴れ間の割合が増えてきた。頬に吹く風はサラッとしていて、結露の心配もなさそうだ。でもまだ安心はできない。見え始めた夏の銀河に沿って双眼鏡で眺める。すると天頂方向は、かなり透明度も安定してきたようだ。よし、行くか!この夜の対象と決めていた天体に望遠鏡を向け、さあ撮影という時になって、もう一度西の空を見てみた。すると、帯のような雲がこちらに伸びてきている。GPVでは、薄明が近付くにつれて雲が再び広がる予報だった。この晴れは一時的なものなのだろうか。

それじゃあ、またコンデジで直に夏の大三角を撮影しながら天候の見極めをしようと決めた。せっかくだし、露光時間を1分、2分、4分、6分と延ばしながら手動追尾で撮影してみた。ダーク減算処理の間は、西の空の具合に気を配りながらも、双眼鏡で夏の銀河を川下り。時折、西の空が瞬間的パッと明るくなる。雷鳴こそ聞こえないが、遠くで雷が光っているだとわかる。やはり、この晴れ間は一時的なのだろう。

(写真をクリックすると、大伸ばしが見られます)
b0167343_120252.jpg
既に時刻は午前2時になろうとしていた。どちらにしても、もうNikon 8cmでのコリメート撮影を始めるのには遅すぎる。南中を過ぎて随分と小さく見える蠍座の尻尾から立ちのぼる銀河にコンデジを向けて、1分露光で再びガイド撮影を始めた。ダーク減算処理の間には双眼鏡で観望する。東の空にはペガススの四辺形が姿を見せて、アンドロメダ銀河の光芒も確認できた。ISOを1800から250まで落としながら全部で10コマ撮影した頃に薄明開始時刻を迎えた。

b0167343_1205917.jpg
なんだ、天頂方向は終止晴れたままだったんじゃあないか。その気になれば狙っていた対象をNikon 8cmでコリメート撮影することも出来たハズだった。いや、でも不満は全然なかった。星空を双眼鏡でこんなにタップリと眺めたのは本当に久しぶりだもの。最近は、キレイな写真が撮れるハズという期待感と引き換えに、ただただガイド星を十字線に重ねるばかりで夜を過ごしていた。この時期は夜明けも早いし、もう直ぐ梅雨入りだ。次の新月期には、たとえ晴れたとしても、慌ただしくまたガイド星を追いかけることになるのだろう。

そう、この夜の晴れ間はGiftだったんだ!
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2012-05-29 01:22 | 月・星のある風景