春の系外宇宙(その10-M59/M60銀河)

華々しかった金環食に金星の太陽面通過、そしてなんと言っても星ナビ入選と、いつまでも余韻に浸っていたいのはヤマヤマだが、冴えない過去ともちゃんと向かい合わなくっちゃあ、やっぱり前には進めない。

「しし座」の尻尾の2等星デネボラと「おとめ座」の3等星εを結んだ線上のε星寄りの比較的狭い領域には、なんと16個のメシエ天体がひしめきあっている。これらは全て系外宇宙で、比較的特徴に乏しい楕円銀河が半数以上を占めている。しかも、メシエ天体にはリストアップされていない系外宇宙がどっさりとあって、手導入のNikon 8cmでは、見えている小さな淡い光芒が果たしてどの天体なのかも判然としないぐらいだ。そんな訳で、全メシエ天体の制覇を目指すとは言いながらも、この領域は最後の難関として完全な手つかず状態で残ってしまっていた。

ところがコリメート撮影の盟友であり良きライバルであるくっしーさん*が、この領域の銀河を丹念に1つずつ拾っているのを見て、さすがに重い腰を上げた。追尾撮影が出来るようになったので、目標と思われる天体が眼視で確認出来たなら、何はともあれ撮影してみて目的の天体か否かを画像で判断すればよいと考えた。

*脚注
(くっしーさんは、6月6日アップの記事の時点で93天体を撮影し、完全に追い越されていた・・・・)

4月23日の晩は、AstroGPVで久しぶりの晴れの予報に誘われて長野県の富士見高原に出掛けた。スキーシーズンも終わりを告げナイタースキーや人工降雪のための照明が消されて、ようやく星空が帰ってきたのだった。広い駐車場の片隅に望遠鏡を出すと、まずはM59とM60に向けた。いっぺんに2つのメシエ天体を済ませてしまおうという了見だった。

ファインダーでε星から暗い星列をたどって、ここと思われる領域にNikon 8cmを向けて覗き込むと、眼視でも密集度の高い小さな球状星団のような感じで2つの銀河が見えている。うまく目的の天体が導けたようだ。つぎに、ガイド望遠鏡のミニ・ボーグでガイド星を探すのだが、どうも暗い星ばかりで適当な星がなかなか見つからない。

しびれを切らして比較的暗い星をガイド星に選んで、手動追尾を始めた。気難し屋の赤道儀のバランスはマズマズで微動ハンドルの動きは悪くないのだが、いかにせんガイド星が暗くて赤く照らされた十字線との位置関係が判然とせず、追尾が難しい。ISOを3200で露光時間を20秒、ISOを3200から2000で露光時間を32秒、そして露光時間を40秒として全部で40コマを撮影したところで、とうとうギブアップした。

b0167343_0403942.jpg追尾エラーの比較的少ない20コマを選んでコンポジットしてみたが、やはり星がかなり流れて写っている。やはり、妥協せずにもう少し明るいガイド星を選んだ上で撮影を始めるべきだったのだ。しかもM60から、ちょうどM59との距離と同じくらい離れた反対側にはNGC4606とNGC4607という紡錘型の銀河が並んであるのだが、視野の端っこになってしまって接眼レンズの収差の影響が強く出ている。M60をもう少し視野の真ん中近くに配置させたら良かったのだが、これはもう後の祭り。なので、写真はちっちゃくアップ・・・・。

とにもかくにも、メシエ天体の制覇まで久しぶりに2天体分だけ前に進んだ。

(撮影したメシエ天体 通算88/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2012-06-13 00:45 | 星雲