春の系外宇宙(その12-M58銀河とNGC4567-8)

新月期を迎えたもののお天気がハッキリせずに、このままだと今月は1晩も星を見に行けなそうにない予感。台風が猛スピードで駆け抜けた晩に外を見たら、街中からでも「いて座」のひしゃくがハッキリと確認できる素晴らしい透明度だった。あの夜が今思えばチャンスだったのかも知れない。でも山は吹き戻しの風が強くて、撮影どころではなかったかも・・・・。ということで、先月の撮影に戻る。

5月12日の晩は、この季節にしては透明度の高い青空が広がった。ただ、季節風が強まる予報だったので、八ヶ岳山麓は避けて富士北麓に向かった。行った先は、かなり有名な観望ポイントだったので、21時少し前に着くと今までに見た事がないくらいたくさんの同好の志が来ていた。みなさんGPV予報を見て同じような判断をしたのだろう。

月の出までに残された時間は3時間程なので、大急ぎで望遠鏡を組み上げて目指す天体を導入する。今夜は、懸案の「おとめ座」にあるメシエ天体をいくつか見て撮影する積もりだった。「おとめ座」はちょうど天頂方向で、望遠鏡の下に潜り込むような苦しい姿勢になって、3等星εから真っすぐにM59とM60をやり過ごして直ぐの辺りに望遠鏡を向けた。接眼レンズを覗き込むと、8等星とならんで星雲上の小さな光芒が確認できた。目指すM58は、これで良さそうだ。しかし、これで満足してはいけない。同じ視野におさまる位置に、2つの銀河が衝突してシャム双生児の異名を持つNGC4567とNGC4568があるハズなので、それと一緒にM58を写そうという算段なのだ。しかも、「4567」とは妙に嬉しくなるような番号ではないか。

まずは、M58を中心付近においてコンデジで撮影して確認してみると、視野ギリギリにそれらしい天体が写った。撮影してはバックモニターで確認しながら、徐々にM58とシャム双生児がバランスよく視野におさまるように調整していった。それにしても、コンデジのモニターに写し出された姿はいかにも小さい。M58が9.8等なのに対してNGC4567とNGC4568は11等なのだが、モニターで見るとM58が明るいのは中心部だけで、見かけの広がりはどちらも変わらない感じだ。しかし、眼視で確認すると、M58がはっきりと見えるのに対して、NGC4567とNGC4568は、そこにあると思って見るのでかろうじて確認できるといった程度だ。

まずは露光時間を20秒(ISOは3200-2000)に設定して撮影してみる。微動装置の動きはやや重いがスムーズで、慣れてくるとガイド星はピタリと十字線上に留まるようになった。そこで、露光時間を32秒(ISOは2000-1000)から40秒(ISOは1250-800)、そして50秒(ISOは1250-800)へと次第に延ばしていった。64秒(ISOは800-640)でも数コマ撮影してみたが、今回は極軸合わせがいま一歩だったようで少しガイド星が動くので、露光時間はそこまでとした。約2時間で合計80コマ弱を撮影した。

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追尾エラーの目立つコマはほとんどなく、66コマを選んでコンポジット処理してみた。M58は、明るい中心部をぐるりと囲むように銀河の腕がなんとか薄らと確認できる。一方、NGC4567とNGC4568の方は、衝突銀河といった生々しい感じは皆無で、キツネの耳か分裂したばかりの細胞、それとも周囲をカジったお菓子の「○氏パイ」のような感じだ。NGC4567とNGC4568は別名ハート銀河ともいわれるようだが、露光時間が不足しているために随分と薄幸なハートになってしまった。

ちょっとフォーカスが甘かったかも・・・。

(撮影したメシエ天体 通算90/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2012-06-24 12:56 | 星雲