春の系外宇宙(その13-M84銀河とM86銀河)

とうとう遠征も撮影もないまま6月も終わろうとしている(そういえば金星の太陽面通過でかろうじてボウズは免れていた)。晴れ間が広がった夜がなかった訳ではないが、夜勤やら宴会やらと重なってしまったりして行けずじまいだった。そんな訳で、「春の系外宇宙」のシリーズも不本意ながら、ここらで切り上げることに相成った。つまりメシエ天体の完全制覇は来年に持ち越しということになった。で、このシリーズの最後は、メシエ天体を含む系外宇宙を一網打尽にできる有名な領域という次第。ちょうどシーズンの締めくくりには相応しいが、決して狙った訳ではない・・・。

5月12日の晩に、M58とシャム双生児に取り組んでいたら、時間はあっという間に過ぎて日付が変わろうとしていた。そこで、大急ぎで次の対象に望遠鏡を向けた。「おとめ座」の3等星εから真っすぐにM59とM60を更に過ぎて、同じぐらい離れた辺りにNikon 8cmを向けてみると、視野の中に3つの小さな光芒が等距離で一直線に並んでいるのが確認できた。接眼レンズにコンデジを装着して試し撮りをしてみると、眼視で確認できた3つの楕円銀河に加えて、細長い銀河が2つ写っていた。間違いなく、M84とM86を含むたくさんの銀河がならぶマルカリアンの鎖(Markarian's Chain)と呼ばれる領域の一端だ。

そうこうしているうちに日付が5月13日に変わって、間もなく下弦の月が上ってきてしまった。まずは露光時間を20秒(ISOは3200-2500)から撮影をはじめて、32秒(ISOは2000)から40秒(ISOは1600から)へと露光時間を延ばしていくが、月が高度を増すにつれて空の明るさが増してくる。仕方がないので、ISOを段階的に落としていった。最後は50秒露光もやってみたがISOは800-640とした。それでも背景が明るくなって、再び40秒露光に戻してISOは500まで落として撮影していると、とうとう星雲が高い木の梢に隠れてしまった。ここまで約1時間を費やして合計で50コマを撮影した。空には下弦の月が煌々と輝いている。その一方で、空の透明度が高いので天の川が薄らと見えていた。

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コンポジットしてみた写真は、月明かりの影響でコントラストに乏しいが、M84からM86を経てNGC4438が一直線上に視野の中央に並んだ。NGC4438はThe eyesの別名を持ちNGC4435とセットのようになっている。NGC4438は、よくみると弓形をした銀河の外周が薄らと写っている。細い紡錘型をしたNGC4402とNGC4388も、小さいながらも目を惹く存在だ。それ以外にも2-3個の系外宇宙の存在が確認できる。少々ピントが甘くて色彩にも乏しいが、月のない夜にもう少し露光時間をかけて撮影してみたい対象だ。

この領域のメシエ天体を制覇することは出来なかったが、こうやって幾つかの系外宇宙を実際に画像にしたことで、前進したことは間違いない。来シーズンこそ制覇したい!!

(撮影したメシエ天体 通算92/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2012-06-30 01:13 | 星雲