夏の星雲・星団(その2-M57リング星雲)

新暦の七夕を迎えたが、星なし生活も今日で連続40日目。仕方がないので、3月に撮影した写真まで遡る・・・。

2月後半も夜半過ぎになると、北東の空に明るい一等星が昇ってくるようになる。「こと座」のベガだ。しかし、冬の王者オリオンこそ沈みかけてはいるものの、まだまだシリウスは西の空で眩い輝きを放っている。オリオンを追い立てて春の夜空の主役たらんとする「しし座」もまだ天空を登り切ってはいないし、北斗七星からアークツールスを経てスピカへと至る春の大曲線とて、まだ東の空にある。そんな夜空にあって、夏の大三角の一角を担う星がもう姿を現していることに「えっ!?」と思うのだが、その先に美しい天の川が控えていることに想いを馳せると、まだまだ厳しい冷え込みも心なしか体の中から和らいでくるように思う。

3月24日の晩に南中したM83を追いかけているうちに、北西の季節風に流れてきた雪雲に隠されてしまった。しばらくは雲が消えるのを待ったが、一向に回復の気配はない。すると、東の空にベガが随分と高く昇っているのが眼を惹いた。ためしに「こと座」の惑星状星雲M57に望遠鏡を向けて見ると、可愛らしいリングがはっきりと確認できた。ちょっと気が早いが、撮影してみることにした。

M57は、30mm接眼レンズそのままでコリメート撮影すると、小さなリングがつぶれてしまうので、少しだけズームをかけて撮影することにした。同じ夜にM83の時には気持ちよく動いた赤道儀が、望遠鏡の向きを変えたことでバランスが崩れたのか、はたまた軸に偏りがあるのか、とにかく動きが渋い。ズームをかけた分だけ、いつもより高い精度の手動追尾が要求されるので、一生懸命に微動ハンドルを握りしめ手加減を調整してみるのだが、なかなか思い通りにいかない。

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そこで、機材のバランスを調整し直したりしながら、露光時間を20秒と短くしISOを2000から640まで変えながら全部で50コマ余りを撮影した。その中で、なんとかコンポジットに使えたのは19コマだった。コンポジットしてみると、やはり追尾不良のため星が少し流れて写ってはいるが、可愛らしいリング状の星雲は露光時間が短かったにもかかわらず割合と色も出ている。

冬の終わりに夏の天体を撮影したり、夏の終わりに冬の天体を撮影したりと、天体写真をやっていると季節を随分と先取りすることになる。それじゃあ季節感が狂ってしまいそうだが、どうしてどうしてこれはなかなか味わい深い楽しみなのだ。寒さの中で爽やかな夏の夜風をイメージしたり、風が凪いで夜露に濡れる明け方に凛とした冬の大気をイメージしたり。例えて言えば、真冬のストーブの部屋でアイスクリームを食べたり、炎天下で熱い露天風呂につかったり、そんな贅沢が手軽に味わえる奥深い趣味なんだな。ただし晴れれば・・・の話しだけれども。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-07-08 00:07 | 星雲