見えない対象を写す(網状星雲)

「見えない」というのはNikon 8cmでの話。32cmのドブソニアン望遠鏡では眼視でも確かにその存在は確認出来た。そう、網状星雲のことだ。いつもは眼視で対象を視野の中央に導いた上でコリメート撮影するのだが、見えない対象を撮影するのが、ここまで大変だったとは・・・・・。

お盆を過ぎて多少は天候が安定してきたので、GPV予報はあまり良くなかったが19日の晩も遅くに八ヶ岳山麓へ出掛けた。星は見えているが絶えず雲が動いていて、やはり安定はしてない。一番雲の影響が少ないのは天頂方向なので、対象は網状星雲と決めて準備にかかる。八ヶ岳にかかる雲に度々隠される北極星を目安に極軸を合わせるだけで、いつも以上に時間が要る。しかし、今夜の対象を網状星雲と決めた以上は長秒露光が必須なので、焦る気持ちを抑えて慎重に合わせる。

網状星雲の辺りの星の並びは星図で予習済みなので、双眼鏡で眺めながら復習をして目標方向を定める。そして、Nikon 8cmに据え付けの小さなファインダーで目標に望遠鏡を向けるのだが、これがなかなか大変だ。星図と双眼鏡でイメージが一致しても、ファインダーでは上下が反転して見える。しかも低空の霧のような薄雲がしばしば視野を遮り邪魔をする。それでも、ファインダーの星の並びと、手で振り回す方向のイメージを統合させるというヤヤコシイ手順を踏んで、なんとか星図のイメージと重なる場所に望遠鏡を向けた。どれどれ、と少し期待して望遠鏡を覗き込んだが、星雲らしい光芒は全く確認できない。

そこでガイド鏡のミニボーグの微動装置を上下左右に動かして適当なガイド星を導いた上で、やおらコンデジをNikon 8cmの接眼レンズに据え付けると、露光時間を20秒にして手動ガイドをやってみた。撮影した画像をコンデジのバック・モニターで確認するが星雲は写っていない・・・・。そこで、少し望遠鏡の向きを変えては試写を繰り返すうちに、とうとう写野の端っこに星雲の一部が入った。こうなれば望遠鏡本体とガイド鏡の位置を微調整しながら試写を繰り返し、目的の網状星雲とガイド星の位置を追い込んで行く。なんとか納得できる位置に調整できるまでに、1時間近くを要した。試しに、コンデジを外して眼視で確認してみたが、やはり星雲の存在は全くわからなかった。

まずは20秒露光(ISO 3200)で 2コマ撮影した後に、 40秒露光(ISO 3200)で 8コマ 撮影した。極軸合わせは今までに無いくらい良好で、追尾は口笛でも吹きたいような気分になる。バック・モニターでも、無数の微光星の世界に暗赤色の星雲がゆるやかなカーブを描いて見えて本当に美しい。これに元気をもらって、ISOは3200とmaxのまま露光時間を64秒へと延ばす。露光時間が延びた分だけ星雲の写りは良くなるが、明るくなった分だけ画質の粗さが目についた。そこで11コマを撮影した時点で、露光時間はそのままでISOを2000に落とした。ところが、この頃から再び低空の雲の動きが活発化して対象をしばしば覆い隠すようになってしまった。

撮影は中断しつつも、せっかく導入した星雲を見失うことのないよう、ガイド星を追いかけて雲が消えるのを待った。ガイド星すら見失なって諦めかけると、一時的に雲が切れて何とかガイド星を捕まえるというのを繰り返しているうちに、再び星空が戻ってきてくれた。残念ながら先ほどまでの透明度は蘇らないものの、撮影を再開することができた。そして雲による中断はあったが、64秒露光(ISO 2000)で 16コマ、さらに80秒露光(ISO 2000)で 3コマを追加撮影することが出来た。こうして撮影した40コマの単純な積算の露光時間は約40分で、1コマあたりの平均露光時間は1分ちょうどという計算になる。

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コンポジット処理後にいつも通りの増幅処理をやったら、背景の星々まで明るくなって非常にうるさい画像になってしまったので、かなり控え目の処理に止めざるを得なかった。その結果が淡く儚い網状星雲のイメージに近い画像になったとも言えなくもない。星雲の赤い部分に比べて白っぽい部分の写りが悪いのは、コンデジの感度の問題もあるのだろうが、薄雲のせいで透明度が低かった影響なのだろうか。欲を言えば、星雲の淡く大きく広がった部分まで写野におさまるように出来れば良かったが、反射的に一番明るい部分が中央にくるような構図になってしまった。まあ、「見えない」対象が相手なのだから仕方がないか・・・・。

雲の影響もあって眼視で確認出来ない対象を撮影するのは、とっても大変だったけど、こんな画像が出来上がると苦労は達成感に置き換わる。そして、また満天の星空の下で思う存分撮影したいという衝動に突き動かされる・・・・。

追記 2013年1月
簡易フラット補正+星マスク処理+HDR処理を施してみた。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-08-25 13:27 | 星雲