牛舎の朝が早いのなんのって・・・M42オリオン大星雲

9月14日の夜は八ヶ岳方面は晴れる可能性ありとの予報で、いつもの富士見高原に出掛けた。北側は完全に晴れて北極星が見えていたので望遠鏡をセットした。撮影したいと思っていたのはM74とM77。どちらもメシエ天体制覇のためには、この秋のうちに是非とも手中に収めておきたかった。しかし、意地悪な雲はちょうどM74の辺りで一進一退を繰り返している。晴れ間にM74をNikon 8cmに導くと眼視でも存在を確認出来た。そして適当なガイド星も見つかって、さあ撮影となると雲が覆い隠してしまった。そんな追いかけっこのような事を繰り返しているうちに、雲が完全にM74を隠してしまった。その間も北側の空は完全に晴れている。しかし、撮影してみたい対象はM74に限らず全て雲の向こうだ。

1時間ほど待った挙げ句に思い切って撤収し、もう少し北側の原村方面に移動してみる事にした。車で走っていると果たしてグングンと晴れ間が広がってきた。以前に八ヶ岳自然文化園の駐車場に行って入れなかったので、今回は西側の牧場で適当な場所を探すつもりだった。しかし、牧場への道はどれもゲートが下りていて入ることができず、牛舎の間のちょっとした広場をみつけて車を停めた。南東側の低い空を別にすれば見事な星空だった。

残念ながらM74は天頂で望遠鏡が三脚につかえてしまうため、対象をNGC891に変更して撮影をはじめた。最初は牛舎独特の匂いが少々気になったが、ガイド星を追いかけるうちに慣れてしまった。しかし1時間もしないうちに、日周運動でNGC891が高度を上げて望遠鏡が三脚につかえてしまってthe end。折からオリオン座が高度を上げつつあったので、望遠鏡をM42オリオン大星雲に向けてみた。気流が比較的安定していて、トラベジウムの星々がスッキリと見えるのに重なって、ベールのような星雲が楚々として広がっている。その美しさは、毎回のことながら息を飲むようだ。その魅力に抗する事はできず、そのまま撮影をはじめた。時刻は午前3時ちょっと前。問題は牛舎の照明が何時に灯るかだった。早朝から作業がはじまる事は予想されたが、どんなに早くても午前4時過ぎだろうと想定して、それまでなら十分な露光時間とコマ数を稼げると考えた。薄明が近付いたら露光時間を落として星雲の中心部を撮影していく算段だった。

ところが、星雲をしっかりと視野の中心に据えることと、ピントを追い込むのに思ったよりも時間がかかってしまった。32秒露光(ISO 1250-1000)で始めて11コマ、40.3秒露光(ISO 640-1000)で12コマと露光時間を延ばしながら撮影をしていると、ガイド星を覗く目に外から光が当たっているような気がした。顔を上げても特に灯りは点いてはいない。おかしいなあと思いながら、またガイド星を覗き手動ガイドしていると、やはり望遠鏡の視野外に眩しさを感ずる。顔を上げてよく見ると八ヶ岳の峰々の上に煌々と金星が輝いており、その眩しさだった。

露光時間を64秒(ISO 640)として4コマを撮影し、もう少し露光時間とコマ数を稼ごうと思っていた矢先に、牛舎の照明が点いた。時刻は午前4時少し前だった。照明の影響は心配した程ではなく、最初に考えた通り露光時間を落としながら星雲の中心部を撮影することも十分に可能な感じだったが、直ぐ横で仕事を始めているのに道楽に浸っている自分がとっても後ろめたく感じられて、コソコソと撤収した。まだまだ朝の冷え込みは大したことはないが、この地で薄明前からの作業となると冬の間は言葉にならないくらい大変だろうと察せられた。いずれにしても、この場所は次からは止めておこう。

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ということで、撮影した27コマの積算露光時間は18分だった。1分超えの露光のコマもなければ、中心部を狙った短時間露光のコマも無いと言う中途半端な撮影になってしまったが、出来上がった画像は十分に美しく、さすがはオリオン大星雲だ。昨シーズンに撮影した時よりも追尾は良好なのだが、ピントはやや甘かったようだし、やはり星雲の中心部が飽和してしまっている。これからのシーズンでまだまだチャンスがあるだろうから、次こそは完全手動ガイドによるコリメート撮影の限界まで引き出すような撮影をしてみたいと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-10-02 00:40 | 星雲