2013年 写し初め(M101銀河)

平日の夕方に東京で会合があって出張した。列車の乗り換え時間なども含めると、職場から会場まで片道で3時間ちょっと。会場で会った都内からの参加者の一人が「ここまで、どのくらい時間がかかるんですか?」と声をかけてきたので、正直に答えたら絶句されてしまった。無理もない。3時間あれば京都・大阪まで行けてしまうという感覚なのだから・・・。9割以上が首都圏からの出席者だからか、会は時間を気にせずゆったりと進行する。中座しないと予定の列車に間に合わない時間になって、ようやく終盤の佳境に入った。ここで帰るとは、なんのために時間をかけて遠くから来たのだろう・・・。

よし、こうなれば今夜は「写し初め」に行こう!と、会場から地下鉄の駅まで歩く間に、数えるほどしか星が見えない東京の空を見上げて決めてしまった。ホントのところは、行くか行かないかで迷っていたところを、ぽん!と勢いで決心しただけのことだけれど・・・。帰りの列車では、ひたすら眠る。考えてみれば、星を見に行くのに都合のよい場所に住んでいるというのは、必然的に都心で開かれる会合に出席するのには不便だということになる。片道に3時間以上かかるというのは、自分にとっては喜ばしいことなんだ!!そう思うと、気分も和らいだ。

自宅まで辿り着いたのは日付が変わってからだったが、着替えを済ませ車に機材を詰め込んで家を出た。八ヶ岳方面は季節風の影響があるし、富士山麓に行くには時間が遅い。ということで、目指したのは盆地の東側の山中。家を出てから30分ちょっとで到着!!そうは言っても、着いたら午前2時をまわっていた。大急ぎで機材をセットアップし、Nikon 8cmをM101銀河に向けた。そして、手動ガイドをはじめてみると・・・アレッ?極軸合わせが甘い。これじゃあ1分そこそこの露光すら難しい!!どうやら下が地面だったので、三脚が沈み込んでしまったタメらしい。

大慌てで再度の極軸合わせを試みる。しかし思うように行かない。下が地面なので、方向を合わせると水平出しが崩れ、水平出しをやり直しているうちに方向がズレる。厳しい冷え込みにもかかわらず焦りもあって体中が汗ばんできた。なんとか納得できるレベルに調整できて、やれやれと接眼レンズを覗き込んだら、顔からの熱気でレンズが曇ってしまった。心を落ち着けて再び手動ガイドをしてみると、苦労の甲斐あって今度は過去に経験がないくらいの精度になっていた。

この精度なら5分以上の露光だって十分に可能なのだが、なにせ手動ガイドなので限界がある。時刻は既に午前3時を過ぎて、時間が遅いことも考えて手動追尾の成功率を優先し101秒の露光時間を選んだ。フィルターなしとLPS-P2フィルターとで合計40コマほどを撮影したところで、薄明時刻を迎えた。周囲を山に囲まれた狭い空には、早くも「さそり座」の頭部が見えていた。
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(クリックすると少し大きくなります)
2013年1月新月期 AM3:12 - AM5:37 山梨県笛吹市
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
露光時間101秒(ISO 1000-1250) x 42コマ(no filter 26コマ + LPS-P2 filter 16コマ)積算露光時間 70分 
Photoshop Elementsを用いてダーク減算+コンポジット+フラット補正+簡易星マスク+HDR処理


画像の出来には、ちょっとガッカリ。元凶は、たぶんコンデジの絞りだ。いつもはF値2.0の開放でコリメート撮影しているのだが、この夜はなぜかF値が2.8と2段階暗く設定されてしまっていた。撮影しながらコンデジのバック・モニターで背景の明るさを確認してISO値を決めているので、いつもより2段階ほど高くしなければならずオヤッ?!とは思ったのだが、逆上せていて原因に思い至らなかった。ISO値が高くなっただけ、画質が荒くなってしまった。

それから、フラット画像ももちろん撮影してきたのだが、絞りのためかリング状のカブリが出来ていて、補正しきれなかった。山に囲まれているとは言え、八ヶ岳山麓に比べると盆地の中心部に近く標高も低いので、光害の影響も強いのだろう。無理矢理にフラットにしようとすると、銀河の腕の淡い部分まで削れてしまうので、中途半端で妥協せざるを得なかった。元画像では、銀河の腕の色調が僅かに出ていたのだが、これも強調処理するうちに失われてノッペリした姿になってしまった。

まあ、新年早々から色々と課題やら注意点がハッキリしたのは、今年のこれからのNikon 8cmの星巡りにはヨカッタのだ!そう思うことにしたい。

追記
上記の画像から、星を消して星雲の部分を星雲周辺の画像で覆い隠してフラット補正画像の作製を試みた。しかし、星雲が大きく淡く広がっている上に背景のカブリが均一でないので、あまり良い画像を作る事ができなかった。でも、せっかく作ったので、その画像を使って弱めに減算処理した上で星雲部分を若干強調してみた。
b0167343_1163426.jpg

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by Nikon8cmtelescope | 2013-01-17 00:22 | 星雲