パンスターズ彗星

3月の夕方の空では縁がなかったパンスターズ彗星を、明け方の空で見てみようと八ヶ岳山麓の野辺山高原に出掛けた。少しでも東の空の開けた場所をと、畑が広がる高原の一番八ヶ岳側まで車で登って陣取った。午前3時前に着いたときは雲ひとつなく晴れ渡り、下弦の月に八ヶ岳の峰々が照らされ、さそり座が南中していた。空の透明度は良好で、懸念された風も止んでいた。風がなければ、ミニ・ボーグのコリメート撮影でアンドロメダ銀河と一緒に収めてNikon 8cmで手動追尾しようと考えていた。

彗星が現れる方向を十分に確認して見えているカシオペア座を使ってテスト撮影し、ピント合わせなどを調整していたところが、八ヶ岳の山頂に雲が出たと思ったら、あっという間に空全体に広がってカシオペア座も隠れてしまった。そして、彗星が登場するだろう方角の空がほんのわずかに見えているだけになってしまった。時刻は午前3時半をまわり、予定ではそろそろアンドロメダ銀河をミニ・ボーグに捉えておきたいタイミングだった。

しかも、いくら八ヶ岳山麓とは言え、山の向こうには関東平野の市街地が広がっているために、低空の空は思ったより明るくて、アンドロメダ銀河は全く確認できない。その明るさに、すでに薄明がはじまったのかと思って時計を確認したほどだった。そこで、ミニ・ボーグによるコリメート撮影は諦めて、コンデジの固定撮影を行いながら双眼鏡で確認を続けた。午前4時を過ぎたあたりから、雲が八ヶ岳方面に帰って行くかのように徐々に晴れ間が広がりはじめた。

すると、ようやく双眼鏡に紡錘形の光芒を捉えることができた。最初は、この光芒がアンドロメダ銀河かと思っていたのだが、コンデジに写った画像からパンスターズ彗星だとわかった。双眼鏡で見ると、アンドロメダ銀河の中心部分よりも彗星の頭部の方が明るい印象だ。それからも、湧き出すような薄雲に時折隠されたりしていたが、午前4時20分過ぎになってようやく低空の雲がほぼ消失したので、コンデジのズームで拡大して固定撮影した。そのうちの最後の10コマをコンポジット処理した。

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2013年4月4日 4:25-27 八ヶ岳山麓野辺山高原
Canon PowerShot S95 ズーム(F4.0/80mm相当)で固定撮影  露光時間8秒( ISO 3200) x 10コマ
オート・ダーク減算 + Photoshop Elementsを用いて星にあわせてコンポジット+簡易星マスク+HDR処理 前景はそのままコンポジットして合成


中央やや左上にわずかに尾を引く彗星が写り、その左側にアンドロメダ銀河の中心部が小さく写っている。雲が広がった時にはダメかと思ったが、なんとか双眼鏡で確認しコンデジで画像として残すことができた。

雲が広がったために思うようにいかなかったが、月明かりがあった上に低空の空が光害の影響でかなり明るかったのも誤算だった。後から考えてみると、予定していたNikon 8cmで手動追尾しながらのミニ・ボーグによるコリメート撮影は、たとえ雲が広がらなくても条件的に非常に難しかっただろうと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2013-04-05 01:38 | 彗星