久しぶりの孤独を味わう・・・

これほど晴れない9月の新月期ってあったろうか・・・と諦めかけた9月11日の夜、GPV予報では富士北山麓が夜半過ぎにピン・ポイントで晴れるという。ダメでもいいやと半信半疑で機材を車に積み込むと、曇り空の盆地から富士五湖方面へと向かった。峠を越えても一向に晴れてこなかったが、目的地に近づくにつれて富士山の山小屋の灯が見えたと思ったら、フロントガラス越しに星もいくつか確認できるようになった。

久しぶりに星空が拝めるかと思うと、俄然元気になる。対向車もいない林間の道路を走って、いつもの場所に着いた。他に誰もいないし、星も全く見えない。富士山の山小屋の灯だけが光っている。車のヘッドライトに浮かび上がった黄色い看板が気になったので、確認してみるとクマに対する注意を呼びかけるもの。新しくはないので以前からあったハズだが、何度も来ている場所なのに今までは気がつかなかった。

b0167343_053878.jpg以前から近くでクマが目撃されたニュースは目にしていたので、看板を見てもああそうかぐらいにしか思わなかったが、星が見えない空を見上げながら一人という事を意識したら、とたんに不安になってきた。天候の行方を見極めようと言い訳をして、機材はおろさずに車のドアを閉め運転席に座って星図をながめながら空の回復を待った。すると、富士山の向こう側の空が少し明るくなったと思ったら、間もなくいくつか星が見えだした。

車から降りて機材の準備をはじめると、グングンと星空が広がってきた。星が見えだすと漠然とした不安は心の隅っこに追いやられて、久しぶりの星空に期待感が膨らんできた。時刻は午前1時になろうとしていた。それにしても、真夏ほどではないまでも富士山の山小屋はまだ随分とたくさん営業を続けているようだ。以前なら山じまいから2週間もしたら2・3軒を残して山は静かになったハズだが、これも世界文化遺産登録の影響か、はたまた猛暑の名残か・・・。

その山小屋の灯と星空を写してみた。秋の南の空は明るい星が少ないので、山小屋の灯ばかりが目立つ。それでも、こうして星空を拝めたのはお盆休み以来だ。しかし、スッキリと晴れたと思ったのもつかの間。15分もしないうちに西側から雲が帰ってきて、空全体に広がってしまった。その後は星が見えたり消えたりを繰り替えす空の下で、晴れ間に双眼鏡を向けながら時間を過ごした。

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結局、星空が安定したのは午前3時。それから薄明までの1時間だけ、久しぶりの撮影と孤独を満喫することができた。心に仕舞い込んだ不安は、クマと一緒に明るくなり始めるまで大人しくしてくれていた。薄明を迎えると大急ぎで機材を車に押し込み孤独と不安から逃げ出すように撤収した。
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by Nikon8cmtelescope | 2013-09-15 01:01 | 月・星のある風景