M42オリオン星雲 2013-3

オリオン星雲は、飛び抜けて明るく大きくて繊細で形も整っていて、そこに色彩の変化の妙も加わり間違いなく全天でトップの美しい天体だ。ところが、明るくて良く写るために、たいていシーズン前半のしかも条件があまり良くない晩に、撮影してしまいがちだ。真冬の澄み切った空で撮影しなくては・・・と思いつつも、条件が良いとついつい暗い対象に望遠鏡を向けてしまう。

そんな訳で、2013年の最後は何を撮影しようかと考えた時に、絶対にオリオン星雲にしようと以前から決めていた。そして御用納めの終わった晩に、八ヶ岳から下ってくる季節風を逃れてみずがき湖に向かう道中で、絶対に他の天体に浮気しないと心に誓った。ちょうどオリオン座が南中を過ぎた時刻で、オリオン星雲を撮影するにはうってつけのタイミングだった。季節風を避けるために、駐車場の一番西の端に陣取った。

寒さを覚悟して来たが、山がうまく風を遮ってくれていて、気温は氷点下5度でも思ったより暖かく感じた。ただし上空の気流は不安定で、ためしに木星に望遠鏡を向けてみたが、高度があるにもかかわらず川底の石を見ているかのように、ユラユラとせわしない。

実際に撮影をはじめてみると、やはり気流の影響か星が膨化して写る。そんな中、少しでもシャープな像になるように、撮影を繰り返しながらフォーカス合わせに全力を上げた。嬉しいことに、撮影を繰り返してもガイド星が気持ちよく十字線の真上に戻ってくる。極軸合わせが、滅多にないくらいキマッタようだ。

露光時間を段階的に延ばして80秒で8コマ撮影したところで、寒さのためか早々にコンデジのバッテリーが尽きた。バッテリーを交換し、コンデジの光軸が交換前と重なるように調整して、100秒露光で手動ガイドを再開した。極軸が合っているので、もっと露光時間を延ばすことは可能だったが、ガイド精度の低下のリスクと天秤にかけて、100秒露光までとした。

最後に、いつもと違う試みとして、LPS-V4フィルターを装着して段階的にISOを落としながら星雲の明るい中心部まで色を出そうと撮影をはじめた。ところが、予定の枚数に達する前に、手前の山にオリオン星雲が隠れてしまった。風よけにはなったが、山に近づき過ぎてしまったようだ・・・

極軸がほぼ完璧に合っていたので、個々のコマのズレがほとんどなくて、そのままコンポジットできるぐらいだった。しかし、半数以上のコマに人工衛星の軌跡が写っていたので、画質は若干低下するが連続する2コマ同士で比較暗合成して人工衛星の光跡を消した上で、通常の合成を行った。できあがった画像では、良好な極軸合わせの成果として接眼レンズの視野がシャープな円形になって現れた。
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2013年12月29日 0:18 - 2:36 瑞牆山山麓みずがき湖畔
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間32秒; ISO 3200-2500) x 6コマ + (露光時間40秒; ISO 2500) x 4コマ + (露光時間50秒; ISO 1250) x 4コマ + (露光時間64秒; ISO 1000-640) x 13コマ + (露光時間80秒; ISO 640-500) x 8コマ + (露光時間100秒; ISO 640) x 9コマ + LPS-V4 filter(露光時間40秒; ISO 3200-1600) x 8コマ   全52コマ積算露光時間 54分 
オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+フラット補正+簡易星マスク + HDR補正


前回、月明かりの中で撮影した画像と同一の構図になるようにトリミングしてみた。
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一見するとあまり差がなくてガッカリしかけたが、よく見ると前回に比べて星雲の周辺部の淡い部分が良く出ているし、赤い部分と白っぽい部分のコントラストも良く出ている。また、暗い星まで色の違いも含めて良く写っているのは長い露光をかけた効果だろう。ただ、気流が不安定だった分、極軸合わせや追尾が良好だった割には星が膨化している。そして何と言っても、LPS-V4フィルターを装着した上でISOを抑えたコマが撮影できず、星雲の中心部が飽和してしまったのが残念だ。

次回への課題が残ったものの、2013年の最後を飾る写りにはなったと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2013-12-30 14:58 | 星雲