富士五湖からの富士と天の川-その4 河口湖

河口湖の撮影ポイントは、湖を南北に横切る大橋が写らぬように大きく西側に寄ったあたり。対岸近くに鵜の島が見る公園の一角。西湖からの峠を下って予定のポイントに到着したのは、午前3時20分過ぎ。行きのドライブの途中で、既に公園の中の撮影予定場所でテスト撮影まで済ませてある。勝手知ったるポイントなので、10分で撮影を切り上げることができたら、山中湖までまわろう!車を降りると、コンデジを据え付けた三脚を片手に駐車場から撮影ポイントまで走った。

河口湖の周辺は半市街地化しているため、周辺が明るくて湖畔沿いの国道を走る車も多い。静寂の西湖から来たためか、そうした人々の暮らしのざわめきが余計にはっきりと感じられる。しかし、湖岸を取り巻く堤から石段を下って岸辺の枯れた葦原の中に入ると、聞こえるのは岸に押し寄せる波の音だけになった。湖が広い分だけ、西湖に比べて寄せる波も大きいようだ。時ならぬ人の気配に驚いた鳥が、葦原から飛び立った。なんだかスッと力が抜けて、急いで中途半端な写真を撮るよりは、薄明までじっくりとここで撮影しようという気持ちになった。

改めて景色を見る。今までのような山の迫った景色とはちがって、富士山の裾野がゆるやかな弧を描いて長く伸びているのが見える。湖畔と空は明るいが、富士山の形の美しさなら五湖の中でダントツだ。風は強くはないが、それでも湖面に逆さ富士が映るほどの穏やかさではない。そうなると、湖面の景色が単調になる可能性がある。そんなこんなを考えて、富士の裾野が長く入る一方で、手前に葦原も入るような構図をイメージした。南の空には、さそり座がバランス良く立ち、ちょうど富士山の山頂から天の川が斜めに立ち昇っている。その景色と星空がバランス良く収まるように、少しずつ場所を変えながら20分ほどかけてテスト撮影を繰り返した。

最終的には、今までと異なり富士山を構図の右寄りに据えて、長く伸びる富士の裾野と山頂から斜めにたなびく天の川の両方が交わるようなイメージ通りのポイントが見つかった。いい塩梅に構図の右手前には葦原もある。空が明るいのでISOは今までよりも落として1600に設定して撮影を始めた。固定撮影をしている間、外套のポケットに冷えた手を突っ込んで、景色と星空を眺めた。ここまでを振り返ってみれば、全ての湖で雲1つない撮影条件に恵まれた。その幸運な巡り合わせに、自然と富士山に向かって手を合わせた。撮影終了は、ちょうど薄明の開始時刻。山中湖までは行かれなかったが、大きな満足感が車までの帰り道の足取りを軽くする。もう走る必要はなかった。

画像処理は、星空への街明かりの影響を無理にフラット補正しようとすると、景色とのバランスが破綻してしまうので、星空の処理はごくごく軽くに止めた。風が思ったより強かったようで、岸に打ち寄せる波によってコマごとの湖面の様子が随分と異なっていたのだが、10コマをコンポジットすると穏やかな感じになった。手前の葦が暗く沈んでいたところを、明るい湖面に浮き上がるような感じに持ち上げて処理した。街明かりを正面から受けた富士山は、コントラストにやや乏しくノッペリしているが、人々の生活の灯と富士山を含む景色そして星空がそれほど違和感なく結ばれた仕上がりになったと思う。

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2014年4月7日 3:46-3:52 富士山麓河口湖畔
Canon PowerShot S95(F 2.0) 固定撮影 
露光時間16秒( ISO 1600) x 10コマ
オート・ダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+簡易星マスク+簡易フラット補正 +コンポジットした前景を切り出して合成 +HDR処理


追記
元画像の光害カブリが緑色を帯びていて、うまく処理できなかったが、彩度を落として処理してみた。
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いくらか自然な仕上がりになったと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2014-04-28 01:51 | 月・星のある風景