無心・・・では・・・ない

ただただ追尾ハンドルを握りしめてガイド星を追う・・・
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浮き世のすべてを忘れているけど・・・

アタマのなかは・・・☆!



・・・どうやら梅雨入り前のラストチャンスと思われる新月期の週末、晴れているにもかかわらず黄砂の影響で日中は盆地の周囲の山々が霞んで見えない状況だった。夜になっても空の様子は好転せず、盆地の底からは北斗七星さえ満足に見えないという低透明度。黄砂の影響は次第に弱まるという予報に一縷の希望を託して、金曜日と土曜日の晩は家でおとなしく過ごした。

日曜日になると、日中の空は青さを取り戻しつつあるようだった。天気予報も良い方に変わり、この時期は湿度が高い八ヶ岳から茅が岳・瑞牆山のエリアでも、湿度が5-60%という予報になった。夕飯を済ませて、まだ薄暮の残る空を見上げると北斗七星が確認できた。

機材を車に積み込み高速道路を走っている間は、八ヶ岳の北東部に位置する八ヶ岳高原に行くつもりでいた。しかし今夜は日曜日の晩・・・翌日の仕事のことが頭をちらりとかすめて、家から少しでも近い場所の方が・・・と心変わり。目指す場所を瑞牆山山麓に決めた。どちらも標高は1400m程度なので、黄砂の影響はほぼ同じだろう。

現地の駐車場に入ると登山のための車中泊組が数台停まっている奥に、赤いライトがチラチラ見えた。慌ててスモールランプに切り替え、そろそろと駐車場の一番奥に車を停めた。ヘッドライトのお詫びもかねて挨拶に行くと、「大丈夫、まだ撮影は始めていませんから・・・」と、聞いた事のある声。暗闇で目を凝らすと、やまねももんがさんだった。

Nikon 8cmのセッティングが終わったのが22時。薄明の早いこの時期だが、2対象は撮影できそうだ。空をグルリと見渡して、北東の空が一番暗くて黄砂の影響も少ないようだ。それに、Nikon 8cmの赤道儀は、この方向から昇りつつある対象に相性が良い。そこでケフェウス座の星雲に狙いを定めて撮影を開始した。

それから薄明までの4時間ちょっとは、とても気分の良い幸福な時間だった。ひたすら手動追尾する中で、手袋なしでも指先が凍える冷たさはない。風は弱く、それなのに夜気とも言うような湿気は感じられない。実際、Nikon 8cmの鏡筒が結露する気配は一晩中全くなかった。この場所は、どこからともなく急に湧いてくる雲と結露対策とに常に悩まされるのだが、奇跡とでも言いたくなるような爽やかさだった。

遠くで語り合う登山組の話し声が聞こえなくなったと思ったら、かすかに鼾が聞こえるだけになった。ときどき、やまねももんがさんと条件に恵まれた幸福を確認するかのように、小声で言葉を交わした。やまねももんがさんは、カメラを2台体制で忙しそうに楽しそうに広い公園の中を移動しながら夏の銀河を満喫されている様子・・・

・・・自分はと言えば、手招きするように明るい射手座あたりの銀河を無視して、ガイド鏡を覗き込んでいる。幸いに、この夜の赤道儀の極軸合わせは良好で、2つめの対象の露光時間も1分から80秒、そして100秒と順調に延ばしてコマ数を重ねていた。露光中に2分近くもジッと手動追尾しているんだから、バッテリーのバックアップ用にと持ってきた、もう1台のコンデジで撮影風景を撮影してみようかと思い立った。

コンデジのセルフタイマーを15秒露光の10枚連続撮影にセットしてシャッターを押すと、Nikon 8cmに駆け寄って本体のコリメート撮影を2コマ連続撮影でスタート。100秒露光に続くオートダーク減算処理の100秒の間も、この時だけは同じ体勢を維持して手動追尾を続けた。2コマ目の100秒露光の追尾を終える頃に、もう1台のコンデジの固定撮影が終わった。

こうして撮影した10コマを、星空にあわせてコンポジットして簡易フラット補正を施した画像に、風景にあわせてそのままコンポジットした画像から切り出した前景を合成したのが、冒頭の写真。自分でも驚いたことに、15秒露光にオートダーク減算処理の15秒を加えた10コマ撮影分の合計5分間で、コリメート撮影のために手動追尾している姿が、全くと言っていいほどブレていなかった・・・
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by Nikon8cmtelescope | 2014-06-03 02:24 | 月・星のある風景