カテゴリ:星雲
金環食の余韻に浸るなか、地味な春の系外宇宙シリーズに戻る気分にはならず、一足先に日食を目前に控えた5月18日の晩に撮影した華やかな夏の星雲をアップすることにした。この夜は、夜半前に富士見高原に向かったのだが、いつもは行き交う車もない鉢巻き道路を妙に多くの車が走っていた。スキー場に着いてみると、土日に自転車競技会が開催されるらしく、駐車場には既にたくさんの車が止まってるではないか。ただ、まだ彼らの時間ではないので、駐車場の一番奥に車を止めてNikon 8cmをセットアップした。さすがに翌朝に競技会を控えているので、ほとんどは車中泊の様子で、車がたくさん止まっている割には静かだった。それでも、次々にヘッドライトを明るく照らして車が入ってくるのには閉口した。
この夜は、久しぶりにミニボーグで夏の星雲星団を撮影するつもりでいたのだが、事前の確認が足りず思うように合焦しない。早々に諦めて、いつも通りにNikon 8cm本体でのコリメート撮影へと切り替えた。しかし、頭は簡単には切り替わらず、単独の対象を狙う気持ちにはどうしてもならない。そこで、M20三裂星雲をM21とのセットで写すことにした。 30年以上昔に作られたNikon 8cmの赤道儀には極軸望遠鏡は据え付けられていないので、水平出しをやった上で三脚ごと望遠鏡を持ち上げて望遠鏡本体が北極星に向かうように微調整するという、適当この上ない極軸合わせになる。ただ、ほんのオマジナイ程度だが小熊座の向きで若干の方向調整を図っている。この夜はそんな適当な極軸合わせが割合とうまくいって、ガイド星は2-3分なら十字線からほとんど離れない。そこで、がんばって少し長めに露光をかけてみることにした。 露光時間を20秒 (ISO 1600)から始めて、40秒(ISO 800-400)、64秒(ISO 640-500)、100秒(ISO 500)と延ばし、128秒(ISO 400-320)露光も試みた。コンデジのバックモニターでも、露光時間に比例して星雲の色合いが鮮やかになっているのが確認できた。それを励みに、微動ハンドルを握りしめて心の中でカウントダウンしながらガイド星を追いかけ続けた。 (今回は画質が比較的良いので、クリックすると大伸ばしも見られます!!) ![]() 頭が複数の対象を同時に写す!!という思考回路になっていたので、この構図にしたのだが、結果的にはどうだったのか。M21の端の方の星々はレンズの収差の影響で星が線状になってしまっている。M21は散開星団としては規模の小さいものなので、こうして無理に2つの対象を視野内に収めるよりは、M20を単独で視野の中心に置いた方が良かったのかも知れない。 いずれにしても、1年前の簡易手動追尾の頃に苦戦して写した画像は何だったの!!というぐらい美しい写真になった。コリメート撮影としては、かなり極めた感じがする。成功の要因はというと、何と言っても十分な露光時間と、それを可能にした極軸合わせ。運任せではない極軸合わせの調整法を研究しなくては・・・。 3月25日の晩に、M83の撮影を終えたのが午前2時過ぎだった。日曜日の晩なので、この時間になると週明け早々から待ち構えている仕事がチラチラと頭をよぎる。でも、そこで切り上げて帰るには余りに惜しい好条件だ。どうしようか。
西の空には「しし座」が下を向きはじめていて、尻尾が天頂方向を指している。そう言えば、昨年末に撮影したM65とM66そしてNGC3628のいわゆるトリプレットの画像は比較的良く写っていたけど、追尾が悪くて星が流れていたなあと思い出した。それじゃあ撮影してみようか・・と望遠鏡を向けてみると、M65とM66に加えて眼視でNGC3628の存在もハッキリと確認できた。こんな好条件を前にして、さっさと家に帰れるぐらいだったら、この趣味を続けてはいない。 先ほどのM83で長い露光時間の威力を認識したばかりなので、早速に40秒露光から手動追尾をスタートしてみたが、今度は赤道儀のバランスが悪くて微動装置の動きが渋い。バランスウェィトの位置や望遠鏡の前後位置の微調整を試みるが、たいして改善しない。やはり、この赤道儀は望遠鏡の向きによって微動装置の動きに差が出るようだ。30年以上も前の観望専用の赤道儀だし、発売当時は追尾撮影をするにしても標準レンズか200 mm程度の望遠レンズのカメラを載せるのが主流だったので、この程度の動きの渋さは全然問題とならなかったのだろう。なにせ、堅牢さが売りの赤道儀だったものなあ。 そんな訳で露光時間は20秒からスタートしISOを2500から1000で撮影を重ねた。そして、少し微動装置の動きのクセに慣れてきたところで、露光時間を32秒にしてISOを2000から1250に設定して撮影した。最後は、露光時間を40秒にしてISOを1600としたが、結果的には大部分が追尾エラーになってしまった。赤道儀のバランスのことはともかく、仕事の事を気にしながら撮影していたのでは、いい写真になる訳はないのだ。ここまで約1時間半を費やして、時刻は3時半をまわっていた。 ![]() 前の晩は雲と街明りの影響もあって満足のいく画像が得られなかったM83を撮影しようと、3月25日の晩も出掛けることにした。この夜は、八ヶ岳方面は季節風が強まるという予報だったので、より条件が良さそうな富士北麓に向かった。富士北麓からはM83の方向には富士山がそびえ立つので、街灯りの影響が少ない点も魅力だった。
夜半に現地に到着してみると、ちょうど「からす座」の四角形が南中しようとしていて、M83を撮影するにはうってつけのタイミングだった。Nikon 8cmにM83を導き、早速にISOを1600で露光時間を40秒にして撮影してみると、昨晩に比べて背景の空も暗く銀河がクッキリと写った。そこでISOを1600から640に、さらに露光時間を64秒にしてISOを640から400にして撮影した。 どうやらM83の方向はNikon 8cmの気難しい赤道儀のバランスが良いようで、氷点下5度を下回る冷え込みでも、昨晩に続いて微動装置が気持ちよく動いて手動追尾がスムーズに出来るのが嬉しい。そこで、露光時間をさらに80秒にまで延ばしISOを400から320に設定して数コマを撮影した。こうして全部で約50コマを撮影した中から、追尾エラーの少なかった30コマを厳選してコンポジット処理してみた。 ![]() ![]() 結局は、コリメート撮影においても、条件の良い空で、露光時間と追尾精度を向上させた上で、十分なコマ数を稼ぐことが、よい画像を得る絶対条件なのだ。g-logさんをはじめ、系外宇宙の素晴らしい姿を撮影されている猛者が、1つの対象に何晩も費やして撮影している理由が理解できた気がする。系外宇宙を狙うなら、例えコリメート撮影であっても、その位の気合いで取り組まなくては!!! M83は南天の回転花火の異名を持つ系外宇宙で、腕のねじれ具合が独特な上にみかけの大きさもそこそこある。ただ、高度が低い点にやや難がある。
3月24日の晩の茅が岳山麓は、季節風も弱まってマズマズの条件。Nikon 8cmにM83を導いてみると、眼視でもかなりの広がりを持った銀河だということがわかる。本家の回転花火であるM101よりもはるかに見やすい。しかし、ちょうど甲府盆地の街灯りが被るので、ISOを高くすると写野が真っ白になってしまう。 そこで、ISOを抑え目にして露光時間を20秒にしてISOを1600に、さらに露光時間を32秒にしてISOを1600から500に、そして露光時間を40秒にしてISOを640から400に設定すると、全部で約50コマを撮影した。本当は、もう少し露光時間を増やしていきたかったのだが、雲が広がってしまい撮影を中止した。望遠鏡のバランスも良かったのか、手動追尾も実にスムーズに出来て、ほぼ全てのコマで星が点像に写っていたのに残念だ。 ![]() ところで、このM83は久しぶりに新たに撮影したメシエ天体となった。調べてみると、昨年の春のはじめに撮影したM44以来ということになった。ガイド望遠鏡を載せて完全手動ガイドが出来るようになってからは、手持ち撮影や簡易手動追尾で撮影した対象を撮り直してばかりだったのだから仕方がないのだが・・・。また、メシエ天体の完全制覇に向けて、少しずつ積み上げていこうと思う。 (撮影したメシエ天体 通算86/107個)
NGC2903銀河はメシエのリストには入っていないものの、長く伸びる2本の腕が見事なので、3月20日の晩に茅が岳の麓で挑戦してみた。
獅子座の鼻先にぶら下がるような位置にあって導入は容易で、ファインダーでもその存在が何とはなしに確認できた。早速にNikon 8cmを覗き込んでみると、楕円状の姿がハッキリと確認できる。これなら、割と良く写るかもしれないと期待に胸が膨らむ。 ところが、この晩は風が強くて木々の梢を吹き抜ける風がヒューヒューと音を立てている。建物を風よけにして望遠鏡を設置しておいたので、なんとか撮影は可能だったが、ガイド星が視野の中で小刻みに揺れていた。そんな条件下で、露光時間を20秒にしてISOを2000から1250に、さらに露光時間を32秒にしてISOを1600から1000に、そして露光時間を40秒にしてISOを1000から640に設定すると、全部で約80コマを撮影した。 ![]() 訂正:NGC2903を「NGC2603」と記載してしまいましたので、訂正いたします。くっしーさんご免なさい。 追尾エラーを減らすために露光時間を控えめにしての系外宇宙の撮影だが、3月12日の晩にM51の撮影にもう一度挑戦してみた。
露光時間を20秒にしてISOを3200から1600に、さらに露光時間を32秒にしてISOを1600に、そして露光時間を40秒にしてISOを1600から1000に設定すると、全部で約100コマを完全手動ガイドで撮影した。本来なら1分以上の露光時間が欲しいところではあるのだが、20秒から40秒までの露光時間で抑えてみた。 ![]() しかし、その一方で露光時間不足の感は否めない。そこで、前回の画像とコンポジットしてみた。ただし、前回の画像は銀河の淡い部分が比較的良く写ってはいるものの追尾エラーも目立つため、コンポジットの比率は今回の画像を8に対して前回の画像は2の割合としてみた。 ![]() なかなか晴れないと書いたら、4月23日から24日にかけては久しぶりの晴天となった。g-logさんのカッコイイNGC4631の写真に心惹かれ、調べてみたら銀河の長軸が15.5分と思いのほか大きいことがわかった。もちろん、g-logさんのような写真が撮れる訳はないが、直ぐ近くにNGC4656という一風変わった銀河もあり、Nikon 8cmに30mmの接眼レンズだと両者が十分に同一視野内に収まることもあって、トライしてみることにした。
ということで4月24日の晩は、夜半から快晴との予報に備えて仮眠をとり、24時前に八ヶ岳山麓に着くと、やや透明度は低いものの東の空に昇ってきた天の川が確認できるそこそこの条件だった。コルカロリから南に特徴的な星の並びをたどって、ここだろうと思われる辺りに望遠鏡を向けて接眼レンズをのぞくと、針のように細長いNGC4631銀河が眼視でも十分に確認できた。M82を細く引き伸したような見え方で、メシエ天体に入っていないのが不思議なくらい良く見える。一方、NGC4656は眼視でははっきりしなかった。 S95を接眼レンズに装着し、ISOを3200で露光時間を20秒に設定して完全手動追尾によるコリメート撮影をはじめると、NGC4656もちゃんと写っているのがバックモニターで確認できた。20秒露光で20コマほど撮影し、さらに露光時間を30秒に延ばして撮影していると、下界から南風に乗って雲がどんどん上ってくるのが見えた。そうなると追尾装置を握る手にも力が入る。そして、あっと言う間に雲が空全体に広がってしまった。撮影を始めてから1時間足らずの幕引きだった。本当なら露光時間を40秒、64秒と延ばしながらISOを段階的に下げてコマ数を稼ぐつもりだったのだが、仕方がない。 全部で32コマをコンポジット処理してみると、NGC4631のほうは細長い非対称の紡錘形に濃淡のある様子が写っていた。また、小さいが伴星雲も写っている。NGC4631はクジラ銀河との別名があるようだが、この写真では爪楊枝のような感じだ。NGC4656は「へ」の字に折れ曲がった不思議な形状がなんとか確認出来る。美しいブルーの色合いも捉えられていて、尾羽を閉じた孔雀のようにも見える。この2つの銀河は、お互いに重力の影響を及ぼし合っているために、このような変わった姿になっているのだという。露光時間が短い上にフォーカスが甘く、ISOが3200なのにコマ数が不足して画像が粗いため、とうてい満足できるような画像ではないが、意外とよく写っていて驚いた。ぜひとも、またじっくりと撮影してみたいが、時期的に来シーズンのお楽しみということになりそうだ。 それにしても、この夜の気温は3度。つい1ヶ月前には、防寒下着を重ね着し、凍える指をさすりながら氷点下10度前後の条件で撮影していたのと比べると、その点では快適な季節になった。しかし、南風に乗って下界の湿った暖気が上ってきて霧が発生しやすい状況にもなっていて、厳しい条件ではあったが厳寒の中の星空が早くも懐かしく思われる。 4月も中旬を過ぎて新月前後の稼ぎ時を迎えたのに、お天気がさっぱりだ。ということで、春のはじめに撮影した系外宇宙の写真をまた1つ。
天文少年だった頃に飽かずながめたリック天文台の天体写真集で、強く印象に残っているのがM104ソンブレロ銀河だった。他の銀河よりも大きな写真で、紙面からはみ出しそうな円盤状の光の塊は大迫力だった。また、ソンブレロという耳慣れない言葉も妙に魅力的だった。そして、望遠鏡で直接にながめることはないまま天文少年を卒業してしまったために、自分の頭のなかではM104は非常にみかけの大きな銀河星雲だという勝手なイメージができていた。 そのためだろう。M104は望遠鏡で見る度に、その小ささが何だか新鮮に感じられる。現実の姿を知ってしまった失望というのとは違って、ちょっと甘酸っぱいような気持ちといったらいいだろうか。さて、そのソンブレロ星雲は、Nikon 8cmの完全手動追尾のコリメート撮影でどこまで写るのだろうか。 2月29日の晩も遅くいつもの茅が岳の麓に行くと、日付が変わったころにM104にNikon 8cmを向けた。M104は南中しても高度が比較的低く南側にある盆地の街灯りの影響を受けるため、ISOは低めに設定した。撮影を始めると、望遠鏡のバランスには十分に注意したつもりだったが、微動ハンドルがスムーズに動かない。何度も微調整をするがさほどは改善されないのは、もしかしたら赤道儀に何か構造的な問題があるのだろうか。 うまくいかない追尾にストレスを感じながらも、ISOを2000から1000で露光時間を20秒に、さらにISOを800と640で露光時間を32秒に、そしてISOを640と500で露光時間を40秒に設定し、全部で約70コマを撮影した。 ![]()
「かみのけ座」にある散開星団のMel111は、プレセペ星団よりも一回り見かけが大きくて、春の初めの夜半に見上げると肉眼でも空高くにボンヤリとその存在が確認できる。そして、このMel111が高く昇る時間帯には、プレセペ星団はそろそろ西の空に高度を下げ始める。NGC4565は、このMel111の近くにある代表的なエッジオンの系外宇宙だ。スッと伸びた両腕が面白い銀河なのだが、眼視だと中心部の光芒のみが確認できるだけなので、メシエのリストに入っていないのも仕方がないのかも知れない。
このNGC4565は、エッジオンで光が狭い領域に集中しているために、これまでの手持ち撮影や追尾なしの撮影でも意外と良く腕の部分が写るのだが、その一方で自転の影響で流れて写るためシャープな姿にならず、大いに不満を感じてきた対象でもある。この銀河を追尾で撮影したら、どこまで写るのだろうか。口径の大きな望遠鏡の撮影だと、中央を横切る暗黒帯の中に弾けた柘榴の実のように細かい構造が見えているのだが、それがNikon 8cmの撮影でも確認できるだろうか? 2月27日の晩に、Mel111が天頂付近に昇り切ったのを待って望遠鏡を向けると、モチベーション高く微動ハンドルを握りしめて追尾を始めた。追尾の精度を高めるために露光時間は欲張らず、露光時間を20秒にしてISOを3200に、さらに露光時間を30秒にしてISOを2000と2500に、そして露光時間を40秒にしてISOを1000と1600に設定すると、全部で約70コマを撮影した。 ![]()
淡い天体を写す時には、どうしても露光時間を長くしたくなるが、手動追尾だと露光時間に比例して追尾エラーが多くなってしまう。先の散開星団の撮影で、露光時間を抑え目にして追尾エラーの少ない画像を選んでコンポジットすることで、かなり鮮明な画像を得ることに成功したので、系外宇宙でも同じ手法で撮影を試みた。
まずは回転花火の異名を持つM101。春の系外宇宙のなかでは、見かけの大きさがある分だけ星雲も淡い天体だ。2月19日の晩の夜半過ぎに露光時間を32秒にしてISOを1000から3200に、さらに露光時間を40秒にしてISOを1250から1600に設定すると、全部で約70コマを撮影した。要した時間は1時間40分ほどだった。 その中からガイドエラーの少ない53コマを選んでコンポジット処理した。やはり全体的に露光時間が短いので、腕の淡い部分はかろうじて追えるかどうかという写りだが、ガイドエラーが少ないため星が点像に近く写っている。 ![]() 追伸 さすがに上の画像は強調処理が過ぎたので、もう少し控えめに処理してみた。 ![]() < 前のページ次のページ >
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1976年に購入したニコン8cm屈折望遠鏡で眺める世界を、コンパクト・デジカメの手持ち撮影に徹底的にこだわって記録していきます。購入当時の思い出や写真も交えながら・・・・。
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