カテゴリ:星雲( 184 )

冬の気配

先週末に義父が亡くなった。この日が遠からず来るだろうことは感じていたが、一陣の風のように旅立っていった。山麓の街ではもう紅葉が始まっていて、薄らと冠雪した富士が大きく凛とそびえていた。深夜に外に出ると、引き締まった夜空にオリオンが昇っていた。秋とは冬の序章であることが実感させられた。

週が明けて普通の生活に戻ったものの、どこか重いものを背負っているような感じでいた。そんなためか、水曜日の晩は夕食を終えると、季節外れの雷雨の気配を感じながら居間で眠ってしまった。夜半に目覚めて、残した仕事を片付けに職場に戻る時には、雲の間から星が少しだけ見えていた。

最小限の夜なべ仕事を終えて再び家路につく頃には、街灯の上に星空が半分ほど広がっていた。家に戻って寝間着になり部屋の電気を消すと、窓からオリオン座のリゲルが見えた。上着を羽織って外に出てみると、少しの間に大きく晴れ間が広がっていた。

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望遠鏡を出すと、直ぐにオリオン星雲に向けた。トラペジウムを包むようにベール状の星雲が広がっており、星雲は紫がかった淡いピンク色を帯びていることが肉眼でも感じられる。デジカメのISOを上限の1250に、露出時間も上限の1秒にそれぞれ設定すると、いつものように接眼レンズにデジカメを押し付けて手持ちで撮影してみた。

b0167343_9513022.jpg1秒間の露出だとトラペジウムの星々は流れてしまって一塊になっているが、カメラのモニターでも星雲が確認できた。そこで、16コマを選んでコンポジットしてみた。さすがにトラペジウム周辺の明るい部分しか写っていないが、それでも星雲の美しさの片鱗は見て取れる。

オリオン星雲では星が次々に誕生しており、トラペジウムを形成する若い星々が誕生したのは、数十万年前と考えられているらしい。それと比べると人間の生涯はあまりにも短い。しかし、私達は星から生まれて、いずれ星に帰っていく。オリオン星雲をながめていると、短い人間の生涯も悠久とも思える宇宙の営みの一部であることが自然と受け止められた。

(撮影したメシエ天体 通算5/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-10-17 09:57 | 星雲

禍い転じて・・・・(その3)

東の空に高く昇ったペガサスの四辺形から、見慣れた星の並びをたどってM31アンドロメダ銀河を望遠鏡に導く。

今までに望遠鏡をM31にいったい何度向けただろうか。晩夏から初冬にかけて望遠鏡を出せば必ずと言っていいほど眺めてきた一番見慣れた星雲であるが、久しぶりに胸の高鳴りを感じつつレンズをのぞき込んだ。

望遠鏡は片目で見るので本来なら立体感を感ずることはできないはずであるが、アンドロメダ銀河の光芒には厚みを感ずる。これは、冬の星雲の横綱であるM42オリオン星雲が、風になびくカーテンのように感ぜられるのと対照的だ。

b0167343_0372552.jpgデジカメをレンズに押し付けると露出を3秒に設定して撮影した。ところがどの写真も周辺の星々のピントが甘く感ぜられる。デジカメのオート・フォーカスが明るく茫洋とした星雲の影響でうまく定まらないのかも知れない。ということでコンポジット処理はせずにピントが最もシャープな1枚を出した。

本来なら満月の5倍の広がりがあるので、この視野よりも大きな広がりを持つはずであるが、中心部のなかでも最も明るい部分しか写ってはいない。天体写真で見るアンドロメダ銀河とは大部違った姿だが、粗さは目立つものの望遠鏡での目視のイメージに近い写真だと思う。

普段と違うデジカメで好条件の木星がうまく写らなかったのは残念だが、手持ちデジカメでも星雲の撮影が可能なことがわかった。これからは色々な星雲の撮影にも挑戦して行こうと思う。

(撮影したメシエ天体 通算3/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-08-25 00:39 | 星雲

禍い転じて・・・・(その2)

M57リング状星雲は惑星状星雲に分類されるが、惑星状星雲は恒星としての寿命が尽きて放出されたガスが中心部に残る星に照らされたもので、見た目が惑星のように見えるという理由で命名されたらしい。実際に口径8cmの望遠鏡で覗くと、その光は淡いながらも輪郭がはっきりとしている。

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夏の代表的な惑星状星雲と言えばM57とともに「こぎつね座」のM27亜鈴状星雲が挙げられる。M57の撮影がうまくいったので、次はM27を狙った。「わし座」のアルタイルから「や座」の先端の星にたどり、その先にある小さなW字型の星の並びの真ん中の星に望遠鏡を向けるとM27が見えてくる。

M27はM57に比べると低倍率でも視野の中でかなり大きく広がっている。その分、星雲の密度が低いとでも表現したらいいのだろうか、淡い印象を受ける。名称の通り円形から弧の一部を削ぎ落とした感じに見えるような気もするが非常に曖昧模糊としている。

b0167343_2153994.jpg写真に撮ってみるとデジカメのモニター上でも存在は確認できるが、形状ははっきりしない。そこで3秒露出で撮影した7枚をコンポジットしてみた。すると相変わらず茫洋とした姿ではあるが、空き缶の中央を握り潰したような、あるいはリンゴを丸かじりした芯のような形をしているのがわかる。しかし「亜鈴状」というイメージではなく、夜空のシミのような感じだ。

M27に関して言えば、限られた露出時間でよりシャープな映像を得るには、もう少し倍率の低い接眼レンズが欲しい。次は、星雲の横綱とでも言うべきM31アンドロメダ銀河に望遠鏡を向けた。

(撮影したメシエ天体 通算2/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-08-21 23:48 | 星雲

禍い転じて・・・・(その1)

日曜日の夕食後に眠ってしまって、ふと目を覚ますと雲1つない夜空だった。夕方には雲が空を覆っていたので、星空はすっかり諦めていたのだった。風もなく透明度も良好で絶好の観望条件だ。しかし、家のデジカメは子供が旅行に持っていってしまっていた。そこで職場のコンパクト・デジカメを急いで借りてきた。

望遠鏡を出して南中した木星を覗いてみると、気流が安定していて縞模様の濃淡がシャープに見える。見ている間に木星の裏側に隠れていたガリレオ衛星が2つ、次々に姿を現した。ところが、どう調整しても写真は露出オーバーになってしまい、縞模様が明るさに完全に埋没してしまう。こんなに素晴らしい条件なのに・・・となかなか諦めがつかない。

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いろいろとカメラの機能を確認しているうちに、家のデジカメとは違って長い露出時間の調整は簡単に出来ることがわかった。そこで望遠鏡をこと座のM57リング状星雲に向けると、大して期待もせずにISOを1600に設定し露出時間は3秒で試しに写してみた。すると、驚いたことに星雲がちゃんと写って見えるではないか。

b0167343_0493790.jpg力加減に注意すれば低倍率だと3秒の露出でも比較的手ブレは目立たずに撮影できた。撮影した中から手ブレの少ない3枚を選びコンポジットしてみたところ、濃淡があって左上と右下が少し暗く唇のように見えるM57星雲の特徴的な形状をきちんと捉えている事が確認出来た。

コンパクト・デジカメを手持ちで接眼レンズに押し付けて、リング状星雲を撮影しようなどと考えた者はおそらく他にはいないだろうと思う。もしかしたら、世界で初めてではないか。すっかり気持ちは前向きになり、他の比較的明るい星雲の撮影も試みてみた。

(撮影したメシエ天体 通算1/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-08-19 00:54 | 星雲