日食の思い出(その1)

7月22日の日食が刻一刻と近づく中で、なかなか星空に恵まれない梅雨の間の慰めに、日食にまつわる思い出を少し書き留めておこうと思う。

はじめて日食を見たのは、1978年10月2日の部分日食だった。当時は高校生で、クラス・メートに平身低頭して放課後の掃除をさぼると、駅まで一生懸命に走って、いつもより早い列車に滑り込んだ。ローカル線なので1時間に1・2本しか走っておらず、1本遅れると致命的だった。

列車では、ガラガラに空いているのをいいことに、ボックス席の窓を全開にして薄目で太陽をチラリと見ては、端が欠けて見えるとか見えないとか、友人と大騒ぎしていた。つられて車掌までが熱心に太陽を見上げているのが可笑しかった。

友人数人も一緒に我が家に駆け込むと、西側のベランダから日食を見た。天気は快晴で、隣の空き地に茂ったススキの穂が西に傾いた太陽に白く輝いていた。日射しは強かったが、心地よい初秋の風がゆるやかに流れており、初めての日食は友人達の懐かしい笑顔とともに爽やかな思い出として記憶に刻まれている。

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日食の様子は、父のカメラにフィルターを付けると、三脚に据えてレンズのキャップを付け外しして撮影したのだが、途中でキャップが外れてしまいキレイな連続写真は出来なかった。

手許のアルバムには、今も当時の写真が1枚だけ残っている。なにぶん天文現象は一発勝負、失敗した写真も今にしてみれば大切な思い出の一枚だ。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-30 01:05 | 天文少年の頃

近づく日食

7月22日の日食まで残り1か月を切り、マスコミに取り上げられる機会も日増しに多くなってきた。国内で皆既日食が見られるのは46年ぶりだという。

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中学生の頃に最初に買った初心者向けの本には、国内で見られる次の皆既日食として「2009年7月22日」と記載されていて、いったい何年待てばいいのだと、ため息をつきながら見ていた。その頃に自分は一体どうなっているのだろうか、とぼんやりとは想ってみても、ちょうど当時の父と同じ年齢になっている、という事以外には全く想像がつかなかった。

当時、生まれる4年前の1958年の4月には八丈島で金環食があって、関東でも大きく欠けた太陽が見られたことを知った。子ども達が校庭で日食を見る様子を写真で見た覚えがあるが、教科書に出ていたのだろうか。また、自分が生まれた翌年の1963年7月には北海道で皆既日食があったことも知った。子どもの頃に良くながめた図鑑には、この時の日食を見ようと並んだ望遠鏡の写真が載っていた。それにしても自分は皆既日食には縁がないなあと、巡り合わせを嘆いたりもした。

それからいつの間にか月日が流れて、遠い遠い先の話だと思っていた「2009年7月22日」まで1か月を切った。しかし、国内で皆既が観測できるのは南西の地帯に限られて、当地での食分は7割強である。

もちろん休暇を取って皆既帯を求めて遠征しようかとも考えたが、結局は今の自分の生活そのままに、その日を迎えようと決めた。それが、中学生の頃に想った「2009年7月22日」を迎えるのに、最もふさわしい形ではないかと思っている。そして何よりも、その日を無事に迎えようとしていることに感謝したい。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-28 16:25 | 天文少年の頃

梅雨の中休み

梅雨とは言え今のところ雨は比較的少なく、日中はきれいな青空が広がることも多い。しかし、夜になると決まって雲がかかって、望遠鏡を出せるような夜空は久しく巡ってきてはいなかった。

今夜は仕事で家には帰れないのだが、きれいな夕焼けだったこと事を思い出して夜半過ぎに窓から空を見上げた。すると、梅雨とは思えぬカラッとした夜風が吹いて木星が明るく輝いているではないか。

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インターネットの天気図で雲の様子を見てみると、確かに梅雨前線は本州の南に下がって、全国的に今夜は星空が広がっているようだ。Stellariumで木星を確認すると、大赤斑がちょうど見えている。

この晴天、もう一晩続いてくれないだろうかと思うが、九州の西には次の雨雲が待っている。なんとも悔しい梅雨間の星空だ。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-27 03:33 | 月・星のある風景

惑星の自転速度について考えてみた・・・(その4)

惑星の太陽からの距離や、質量、さらに公転周期など、いろいろな数字を手がかりにして自転のスピードを理解しようという試みは、それはそれで面白かったが、結局のところ解決の糸口はつかめなかった。

降参してインターネットで調べてみたところ、太陽から近い水星や金星の自転速度が遅いのは、月が自転していない(正確に言うと自転と公転周期が一致している)のと同じ理屈のようだ。つまり、潮汐力によって自転のエネルギーが消費されて遅くなり、自転の速度が公転周期に近くなっていると言うのだ。そして地球よりも外側の惑星は、太陽から遠くて潮汐力が弱いので、自転のエネルギーをほとんど消耗していないという事らしい。

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そこで、水星と金星を除いた6つの惑星で、その重さと自転の速度の関係をグラフにしてみた。すると、重い木星と土星の自転速度が早く、軽い地球と火星の自転速度が遅く、天王星と海王星はその中間という傾向が出た。

ということで、なんとか結論らしいものを得る事ができた。重い惑星の自転がどうして早いのか?はたまた引力との関係は?など新たな疑問も出てくるが、今回はこの辺りでよしとしておこう。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-25 21:09 | 惑星

惑星の自転速度について考えてみた・・・(その3)

惑星の自転スピードを、惑星と太陽の間の引力との関係で理解できないだろうかと考えて、数字をこねくり回しているのだが、出口はさっぱり見えてこない。そうなると、考え方の方向を変えてみるしかない。

ボールを投げる時に、投げた球に伝わった力はボールの推進力と回転に形を変えるのではないだろうか。つまり同じ力で投げても、ボールの回転が多いとスピードは遅くなるようなイメージだ。このイメージが物理学的に正しいのかわからないが、これを惑星に置き換えるのは乱暴だろうか?

同じように考えると、惑星の公転のスピードが惑星の自転のスピードと逆相関しているのではないか。つまり、自転が早いとすれば公転の速度は相対的に遅くなっているのではないだろうか。

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そこで、惑星の公転周期をグラフにしてみた。当然の事ながら、太陽から離れるに従って公転周期が長くなっており、海王星は165年もかかることは、既に書いた。

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そして各惑星の公転周期と太陽からの距離の関係をグラフにしてみると、きれいに相関している。ということは、想定される公転周期からのズレはほとんどない、ということになるのだろうか?そうなると、自転速度のバラつきを説明できるものではなさそうだ。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-23 00:13 | 惑星

惑星の自転速度について考えてみた・・・(その2)

惑星の自転時間には規則性があるのか、まずは太陽との距離との関係で考えてみたが、太陽に近い惑星は遅く遠い惑星は早い傾向はあるものの、それだけでは説明がつかない事がわかった。

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太陽と惑星の間の引力が自転に関係しているとすると、距離以外に重さも重要な因子であることになる。そこで、惑星の重さをグラフにしてみた。すると一番小さい水星は地球の約1/20である一方で、最も大きい木星は地球の約300倍ある。そして、「水・金・地・火」が比較的軽くて「木・土・天・海」が比較的重い傾向が見て取れる。そういえば、太陽からの距離も同じように2群に分けられる傾向を認めたが、両者に関係はあるのだろうか。

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そして、惑星の重量と距離の自乗の逆数の積として太陽との間の引力をグラフにしてみた。すると、大型の木星が最も強い引力を受けている一方で、小型の火星と太陽から遠く離れた天王星と海王星の引力が弱いことがわかる。こうしてみると木星の存在感が飛び抜けている感じだ。

しかし、惑星と太陽の間の引力は自転速度にどのような影響を及ぼしているのだろうか。どんどん混迷状態に陥っていく。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-22 00:56 | 惑星

惑星の自転速度について考えてみた・・・(その1)

巨大な木星が地球の倍以上のスピードで自転しているという事実に、惑星の自転速度に何か規則性があるのだろうかと、少し調べてみた。

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まず自転時間を単純にグラフにしてみると、太陽に近い惑星は遅く、遠い惑星は早い傾向にあるようだ。しかし、水星よりも金星の方が遅く、天王星や海王星よりも木星や土星の方が少し遅いなど、単純に太陽からの距離だけで決まっている訳ではないこともわかる。しかも、金星だけは自転の方向が他の惑星と逆向きなのだそうだ。

それにしても、木星の10時間弱もすごいけど、水星の59日や金星の243日はとんでもなく長い。しかも、この自転速度で太陽に近いのだから・・月並みながら「灼熱地獄」なんて言葉が自然に頭に浮んでくる。改めて、地球が太陽系の中で好条件にあることに感謝したくなる。

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水・金・地・火・木・土・天・海と順番はそらんじているけれど、太陽からの距離が等間隔と言う訳ではあるまい。ということで、これもグラフにしてみた。太陽と地球の距離を1とした場合の、各惑星の太陽からの距離だ。すると水星から火星までは同じような比較的近い間隔で並び、火星から向こうは違った規則性を持って並んでいるように思える。

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いや待て待て、自転スピードとなると太陽との間の引力が関係するのではないだろうか。引力は、ニュートンによって距離の自乗の逆数と重さに比例することになっているから、単純な距離ではなく、1/(距離)^2を算出してグラフにしてみる。すると、やはり「水・金・地・火」と「木・土・天・海」は、異なったパターンに見える。

さて、肝心の自転速度との関係はどうなっているのかとなると、さっぱり出口は見えてこない。深みにはまりつつある気がする。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-19 00:03 | 惑星

星空の記憶

いったい、いつの頃から星空を見上げてきたのだろう。

星を見た最初の記憶は、たぶん2-3歳の頃ではないかと思う。小学校2年まで住んでいた山裾の団地の南側には、田圃が広がっていた。おそらく今頃の季節だろう、父母と一緒に田圃に向かう道で蛍を見た憶えがある。蛍と言ってもほんの2-3匹だけだったが、その時に星空も見上げたように記憶している。

父親に抱かれていたような気もするし、蛍を並んで追う両親を見た憶えもある。農薬の影響か蛍はその後に途絶えてしまったので、蛍を見た時期は間違っていないと思う。ただ、本当にその時に星も見たのか、と言われると自信はない。あるいは、別の時の記憶が重なってしまっているのかも知れない。

確かな記憶として残っているのは、団地の縁側で線香花火をしながら星空を見上げた事だ。母親と弟が一緒で、母親が「天の川が見える」と言った。しかし、当時の自分にはどれが天の川だかわからなかった。かわりに、闇に輪郭が消えた富士山に点々と灯る山小屋の明かりが、何か意味を持つ星の並びのように見えた。おそらく5-6歳の頃の事だろう。

小さい頃は、星空の魅力よりも闇への恐怖の方が強かった。今よりも数段暗い空にはたくさんの星が輝いていたはずだが、暗闇の不気味さが勝って星どころではなかったのではないか。かろうじて父や母が一緒の時に、恐る恐る見上げていたのだと思う。子どもが見上げる空は、せいぜい夕方の時間までだった。輝く星の数が増せば増ほど不安が募る、そんな感じだった。

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写真は当時住んでいた場所のあたりのGoogleでの写真地図だ。残念ながら解像度が低いが、かなり宅地が広がっているようだ。蛍も星も、そして暗闇も、もう遠い昔話になってしまった。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-16 22:14 | 天文少年の頃

木星の自転を捉える

地球の自転は24時間である。当たり前であるが、これがどのような意味を持つのか普段の生活で感ずることは難しい。ただ、飛行機で海外に行き結果的に1日のリズムが変化すると、いわゆる時差ボケで苦しむことになる。そう言えば若田さんが滞在する国際宇宙ステーションは90分で地球を1周するというから、1日に何度も昼と夜が来る事になるが、そんな中での体調管理はさぞかし大変だろう。

地球の自転が10時間だったら、一体どうなるのだろうか。想像すると面白いが、単純に今の地球環境がそのまま存在する事にはなるまい。こんな事を考えるのは、実は木星の自転が9時間56分だからだ。その自転による模様の移動を捉えてみたい、というのが6日の晩のもう1つのテーマだった。

夏至が近くて夜明けが早く、木星がケヤキの横から顔を出してから空が明るくなるまでに1時間弱しかなかったが、午前3時と午前3時45分の2回、集中的に木星を撮影してみた。その合間にじっくりと海王星を眺めたという訳だ。時間をおいて木星を眺めても、目視で分かる変化はなかったが、写真ではどうだろうか。

それぞれ3分以内に撮影したコマの中から、ブレの少ないコマを8コマずつ選んでコンポジットしてみた。残念ながら前回に比べると気流が不安定で、出来上がった画像もシャープさに欠けるが、ともかく二つの写真を並べてみた。すると、どうやら縞模様の濃淡が時間の経過で向かって左から右に移動している感じだ。

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10時間弱で360度回転するのだから、わずか45分でも自転によって30度近く回転する計算になる。Stellariumのシミュレーション結果を横に並べたが、確かに写真でも同程度に移動している感じだ。午前3時に正面に見えている赤道上の縞模様の濃い部分が、45分後には右側に移動しているし、それに伴って赤道下の縞模様も移動しているように見える。

今後も機会がある毎に、同じ晩に時間差を置いて木星を撮影してみようと思う。気流の条件が良く有名な大赤斑が見えているタイミングであれば、もっと鮮明に自転に伴う移動を捉えられるはずだ。また、よりシャープな像にするには、コンポジットする写真も、もっと短い時間内で選別する必要があるだろう。まあ、これは気流の条件が良ければ必然的にクリアされる事ではあるのだが。

さて、惑星の自転のスピードであるが、そもそも太陽との位置関係や惑星の大きさで、自転のスピードには物理学的な必然性があるのではないだろうか?そして、自転のスピードが早くなったとすると、そのために木星のように赤道方向にひろがった楕円の球形になるのではないだろうか。そうなると環境は大きく変化することは確かで、生命の存在すら危うくなるかもしれない。

空想は尽きないが、梅雨で望遠鏡が出せない間の宿題として、自転についても機会があったら調べてみようと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-14 00:29 | 惑星

またしても・・・・

目視では確認出来た海王星であるが、画像上では今回も確認することができなかった。

木星の衛星がクリアに捉えられている4枚の写真を選び、衛星の位置がしっかりと重なるようにコンポジットして作った画像に、Stellariumでのシミュレーションを重ねてみると、ガリレオ衛星の位置はピッタリと重なったが、海王星のあるべき位置にはそれらしい像は見付けられなかった。
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ISO感度を最高に設定して露光をオーバーにしても、コンパクト・デジカメがオートで撮影するため、どうしても明るい木星に条件が合ってしまうのだろう。そうかと言って、海王星を単独で写そうとすると対象が暗過ぎて星なのかノイズなのか判別が出来なくなってしまう。

そう考えると、2から5等星程度の恒星に近接した時がチャンスという事になる。これから望遠鏡を出す晩には、まずStellariumで海王星の位置をシミュレーションして、そのような条件にある時に撮影するのがいいのだろう。ただ、周囲に目印になる星がない時は、探し出すのが難しいかも知れない。気長に取り組んでいこうと思う。

という事で、6日の晩の試みのうち海王星の撮影は失敗に終わった。実は、もう1つ試みた事があって、そこそこの手応えを得ることができた。今、画像処理の仕上げを行っているので、完成したらアップするつもりだ。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-06-12 19:46 | 惑星