2009年最後の月面写真

12月26日の夕方にも月を撮影した。季節外れの黄砂の影響で、快晴にもかかわらず透明度の低い空だった。

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望遠鏡を月に向けてみると、天頂にあるにもかかわらず以外と気流の影響を強く受けている。盆地の中は風もなくどんよりしているが、黄砂が運ばれてくるぐらいなので上空は偏西風が意外と強いのだろう。前日に比べると細かい地形は気流の揺らぎにかき消されてしまっている。

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さて、望遠鏡を向けると何と言っても目立つのは、欠け際のほぼ中央に位置するコペルニクス(Copernicus)だ。ほぼ全体が見渡せるようになった雨の海の中程にまで光条が伸びているのがわかる。写真では、クレーター外壁の内部が階段状になって中央部には複数の突起があるのが見てとれるが、クレーター周辺の細かな放射状の筋と点状の突起は気流の影響で流れてしまっている。

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南部のクレーター群に目を移すと、前日には内部が影に覆われていたティコやクラビウスが目立つ存在になって、逆に目立っていたロンゴモンタヌスやモレトスは本来の脇役に収まっている。それにしても南部のクレーター地帯の独特の質感には、いつ見ても陶器を連想してしまう。

1月11日の満月に始まった2009年の月面撮影も、これで締めくくりとなった。ブログを始めたことで撮影に熱が入り、結果としてNikon 8cm屈折望遠鏡の高い能力を改めて認識した1年だった。アダプターを使用して本来の能力を引き出す写真を撮るほうが、望遠鏡は喜ぶかも知れないとも思うが、条件が整えばコンパクト・デジカメの手持ち撮影でもっと美しい写真が撮れるようなるはずなので、来年も「手持ち撮影」にこだわっていくつもりだ。

最後になりましたが、このような自己満足のための写真や文章にもかかわらず、訪れて下さっている皆さんの新しい年が、希望に満ちた1年でありますように祈念しております。

それでは良いお年を!
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-31 00:03 |

名脇役

雨の海に続いて南部のクレーター群を撮影した。薄雲が若干厚みを増してきたためコントラストにやや乏しいが、気流はかなり安定していて細かい地形まで写っている。

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まず目に入るのが、クレーター内部が黒く影に沈み外壁に僅かに光を受けているクラビウス(Clavius) だ。クラビウスが影にかかっている分、隣のロンゴモンタヌス(Longomontanus)が目立って見えている。

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ティコ(Tycho) も内部は黒い影の中であるが、ハケで掃いたような光条が縞模様になって伸びている様子は見えている。ティコの代りに、同じように中央に隆起部があるモレトス(Moretus) が目を惹く。

クラビウスやティコという代表的なクレーターの内部が影に覆われているために、ロンゴモンタヌスやモレトスという脇役クレーターが目立って見えているのが面白い。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-30 00:03 |

雨の海

12月25日の夕方には、上弦の月がほぼ天頂にかかった。高度が高く気流はまずまず安定しているのであるが、帯状の薄雲が月に時々かかるようになり、空の暗さが増すとともに雲が厚くなっていた。そんな中、まだ空に明るさが残るうちに、欠け際の北側と南側の月面を、100倍の倍率にデジカメのズームを3.6倍に設定して手持ち撮影してみた。

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雨の海は、面白い地形が多くて楽しい場所だ。大型のクレーターであるプラトー(Plato) やアルキメデス(Archimedes)の内部は、海の内部と同様に平坦な溶岩で覆われているのに対して、アリスティルス(Aristillus) の内部はクレーターとしての構造が残されており、後者が新しく出来たことが素人目にも推測される。また、海の溶岩に半分埋もれかけたような浅いクレーターであるカッシーニ(Cassini)の内部には、2つの大きさが異なる小型クレーターがあって、大きさの割に目を引く。

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海の内部には、小型のクレーターや不規則な皺に加えて、まるでニキビや吹き出物かのような突起した岩山が点在し明るく輝いていて、他の場所にはない地形で面白い。一見するとオーストラリアのエアーズロックのようだが、エアーズロックの標高差は300メートル余りなのに対して、岩山の1つであるピコ山は2000メートルを越える標高があるそうだ。

そして、海を取り巻く山岳地帯も見ていて飽きない。切り傷のようなアルプス谷の周囲の台地は、細かくささくれ立っているような独特の風合いだ。アペニン山脈の切り立った崖は、下弦だと光を受けて明るく輝くのだが、上弦だと海に影を落として闇に沈んでいるのも面白い。

もし月旅行が可能になったなら、見所満載の雨の海は間違いなく人気の観光地となるだろう。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-29 00:07 |

三日月

海王星を撮影した12月20日には月にも望遠鏡を向けた。前日よりも高度が高い分は条件がやや良いが、季節風と低い高度の影響を受けて細かい地形まではよくわからない。

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「危機の海」全体が光を受けていて、内部に幾つか小型のクレーターが見えているが、一番北側がパースだろう。「危機の海」の北には前日には影の中だったクレオメデスが見えている。

月齢は4に近いが、前日に比べて三日月のイメージにより近いように思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-27 00:35 |

海王星を捉えた!(その2)

デジカメのISOを1200に、露出時間を1秒に設定した。この条件であれば、9等星までは十分に写るので、7.9等星の海王星なら写るはずだ。以前に海王星の撮影に失敗した時には露出時間が1/8秒の設定だった。

b0167343_229034.jpgいつもの通りデジカメを手持ちで接眼レンズに押し付けると、撮影を始めた。何コマか撮影するうちに、手加減がうまくいきカメラと望遠鏡の光軸が合ってカメラのモニターでも海王星が見えてきた。ということで6コマを選んでコンポジットし、Stellariumのシミュレーションと並べてみた。

木星とガリレオ衛星は露出オーバーでほとんど一塊となり、木星に近い視野の端に7.7等星が1つ写っている。そして反対側の視野の端に写っているのが海王星だ。写真を大きく引き伸ばしてみると、その名の通り海王星が美しい翠色をしていることがわかる。

冥王星が惑星の分類から外れたため、海王星が太陽系で最も遠い惑星ということになった。その光をカメラでとうとう捉えることができた。来年の6月初旬には、今度は天王星が木星と並んで見えるとのことなので、同じように撮影してみたいと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-26 22:12 | 惑星

海王星を捉えた!(その1)

梅雨時から夏にかけて木星とランデブーした海王星が、低倍率なら木星と同一視野で眺められるチャンスが三たび巡ってきた。これまでの6月7月の2回のチャンスは、いずれもデジカメの設定が不十分で、暗い海王星を写真に写すことは出来なかった。

しかし、このところの星雲・星団の撮影を通じて、暗い天体を捉えるのに適したカメラの設定が掴めてきたので、7.9等星の海王星は絶対に写るはずと自信を持って機会を待っていた。

待ちに待った12月20日の夕方、木星に望遠鏡を向けた。夏から秋にかけて夜空に君臨して来た木星も、今は高度が大部低くなり季節風の影響を受けて縞模様はほとんど判別できない。

だが今夜の主役は海王星だ。約50倍の倍率でStellariumでのシミュレーションと見比べながら海王星を探してみると、確かに木星と同一視野に海王星が見えている。

問題は撮影だ。今までも目視できているのに写すことができなかった。今度こそはと思いながら、撮影条件を設定した。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-25 00:19 | 惑星

細い月

12月19日の夕方は、水星の上には月齢2.7の細い月が見えていたが、望遠鏡を向けると気流の影響で月面の地形はユラユラと激しく揺らめいて、まるで陽炎のようだった。

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それでも、欠け際には直径が100kmを越える大型クレーターのラングレヌス、フェンデリヌス、ペタビウス、フルネリウスが、「危難の海」から順番に4つ並んでいる様子が撮影できた。

b0167343_2259112.jpg冬の澄み切った空気のおかげで、地球照もきれいに見えている。肉眼や双眼鏡で見る限りは気流の影響は感じられず、釣り針のような細い月が雪雲のかかる山へと沈んでいった。

西の空に月と一緒に夏の大三角が沈んでいくなかを、振返えると東の空にオリオン座が昇ってきている。寒波とともに空の主役も冬の星座に交代だ。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-24 23:01 |

水星

12月19日は水星が東方最大離角であり、夕暮れの明るさが残る中で寒波による雪雲がかかる山の上の空に銀色に輝いているのが見えた。

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遠くのマンションの上のアンテナに重なるように見える水星を、双眼鏡に手持ちでデジカメを押し付けて撮影してみた。

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望遠鏡でも約50倍の倍率で手持ち撮影してみた。水星の視直径はわずかに5”と先日に撮影した火星の半分以下であり、季節風が吹き出す中で高度も非常に低いことから、面積を持って写っているのは気流の影響によるものと考えていいだろう。

そうは言っても、太陽に近く日頃なかなか目にすることのできない水星を撮影することができたのは嬉しい。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-23 10:59 | 惑星

手持ち撮影に向く星雲は?

12月12日の晩は、極大期を控えた「ふたご座流星群」の流星が時折流れる中で火星だけでなくM42オリオン星雲も撮影した。

こちらは職場のデジカメを借りて撮影した。と言うのも、ISOが1650まで上げられ露出時間も1秒以上に出来るからだ。ISOを1650に露出時間を1.3秒に設定して手持ち撮影したコマの中で、条件の良かった16 コマを選んでコンポジットした。

b0167343_23501558.jpgやはり感度が高いのは有利で、前回前々回の撮影に比べると星雲の淡い部分も写っている。羽を広げた鳥のような形をしているオリオン星雲の、羽と胴体に相当するM42に加えて、頭の部分に相当するM43も写っている。中高生だった当時のアナログ撮影の天体写真なら、口径20cmの直焦点撮影で5分程度の露出に相当するような出来映えだろう。

M42の周囲は比較的明るい星が多いので、カメラと望遠鏡の光軸が合っているかをモニターで確認しやすいし、コンポジットもやりやすい。同じ明るい星雲でも、アンドロメダ星雲の場合は周囲に明るい星がほとんどないので、手持ち撮影だと案外難しい。その点では、M8干潟星雲もM42に近い条件なので、4-5月の条件の良い晩に撮影に挑戦してみたい。
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-21 23:58 | 星雲

M34

もう随分と前になってしまったが、11月23日の晩に月を撮影した後で、望遠鏡をペレセウス座の散開星団M34に向けた。8等星前後の星々が20個余り緩い集団を形成している。月明かりは余り気にならない。

b0167343_1294772.jpgISOを1200に設定して露出時間は1秒で撮影した中から7コマを選んでコンポジットしたが、出来上がりは目視にかなり近い感じに出来た。星団の中の二重星も分離して写っていて、派手さはないものの星団の美しさはある程度捉える事ができていると思う。

同じ晩にカシオペア座の散開星団であるM103にも望遠鏡を向けた。トの字の形に数個並ぶ明るい星に重なるようにたくさんの暗い星が見えているのだが、手持ち撮影では暗い星は写らなかった。

冬の空には散開星団が多いので、寒さに負けずに撮影していこうと思う。

(撮影したメシエ天体 通算10/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2009-12-20 12:14 | 星団