夏の球状星団(その22-M71)

5月14日の晩は順調に夏の球状星団を漁り、7つある「いて座」の球状星団のうちM69、M70、M54と見て残すのはM55とM75の2つになった。しかし、どちらもまだ隣の家の屋根に隠れていて見えていない。そこで、M54の次に望遠鏡を向けたのは「や座」にある球状星団のM71だ。望遠鏡を大きく天頂方向に振って「わし座」のアルタイルを越えると、Yの字を縦に延ばした形に星が並ぶ「や座」の矢尻に近い辺りに望遠鏡を向けた。

ガイドスコープでも沢山の星が見えていたが、望遠鏡で覗いてみても実に多くの星が見える。そしてM71の淡い光芒が、星々の間に浮かんでいるような感じだ。彗星の頭部を思わせるような球状星団に特有な質感は感じられない。9.0等という光度の割に目立つのは、天頂付近にあって街灯りの影響が少ないせいだろうか。

b0167343_23354440.jpg露出時間は4秒と長めに設定し、それ以外はいつも通りの条件で手持ち撮影したコマから16コマを選んでコンポジットした。星が流れてしまっていることもあるが、写真でもあまり球状星団らしくない。Wikipediaを見ると「球状星団としてはまばらすぎるし、散開星団としては密集しすぎる」という記述もあって、なるほどと思う。球状星団として分類された根拠は、13000光年という距離が散開星団としては遠すぎるということのようだ。

(手持ち撮影したメシエ天体 通算65/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-30 23:38 | 星団

夏の球状星団(その21-M54)

5月14日の晩にM70の次に望遠鏡を向けたのは、「いて座」の球状星団M54だ。南斗六星の柄杓からこぼれた雫のような球状星団の1つで、3つの星団の中では一番柄杓に近い。M54の光度は7.3等で、M69やM70に比べると一回り明るい。M69やM70を酷評?している某メシエ天体ガイドでは、「比較的明るいので位置はわかるが小さく見応えがない」とM54にも冷たい。

望遠鏡を向けて見ると、確かにM69やM70に比べて明るいが、個々の星に分離される訳もなく、某ガイドが冷ややかなのも理解できない訳ではない。しかし、8cmの口径で星が分離される球状星団はM13やM22など僅かしかなく、もともと想像力を逞しくして眺めるものなのだ。だから、M54の光芒だって、この目で捉えた瞬間に心が喜びに満たされることに何ら変わりはない。

b0167343_0452184.jpgいつもと同じように、ISOを3200に設定し露出時間は2.5秒に設定して手持ち撮影し、12コマを選んでコンポジットした。写真にしてみると、広がりはM69やM70とほとんど変わらないものの、M54の方がクッキリとした姿でとらえられていて、星の密集度が高いことがうかがわれる。実際、M69とM70の密集度がVであるのに対してM54の密集度はIIIに分類されている。さらに、東西にやや延びた楕円状であることが見てとれる。

Wikipediaを見ると、M54はわれわれの銀河系ではなく銀河系の伴銀河の一つに所属していて、「銀河系外で発見された最初の星団」という素晴らしい称号を得ているそうだ。そうなるとM54の光芒が、なおさら愛おしく見えてくる。見かけの大きさと明るさだけで星団を格付けしていたら、小型望遠鏡でメシエ天体を楽しむことなど到底出来ない。

(手持ち撮影したメシエ天体 通算64/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-27 00:51 | 星団

夏空は続くけど・・・・

梅雨明けから1週間余りが過ぎた。日中は青空が広がり連日のように猛暑日を記録している。ところが、夜になると積乱雲が盆地の縁で発達して夜空は雲に覆われてしまうという状況が繰り返されている。おまけに満月が近くて、週末の夜はどちらにしても星空は期待できない。

b0167343_053627.jpgそれでも、せっかく晴れているのだからと日没直後に望遠鏡を出して金星に向けてみた。高度はそこそこにあるのだが、積乱雲が発達してくる時間帯だから気流の影響が強く、金星はグラグラ煮えたぎるナベの底のゆで卵のような感じだ。それでも、露出を1/1000秒とハイスピードに設定し、タイマーを使ってシャッターを押す時の手ブレの影響を最小限にするように設定して手持ち撮影してみた。粘り強く撮影を続けていると、1コマだけ半月状の金星が比較的鮮明に写ってくれた。

ということで惑星の写真だがコンポジット処理なしの画像だ。あまり清涼感のある姿ではないのが残念だが、灼熱の季節らしい写真と言えなくもない。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-25 00:54 | 惑星

夏の球状星団(その20-M70)

あの日からちょうど1年の月日が流れて、また7月22日が巡ってきた。痛い程の夏の日射しに、どうして1年前の今日は晴れなかったのかと、恨めしく太陽を見上げた人も多かったはずだ。

天体観測というのはなかなか悩ましい趣味だ。天候に左右されるという意味では、いわゆるアウトドアの遊びはみなそうなのだが、釣りにしても登山にしても、荒天でなければ一応は可能だ。ところが天体観測となると、気象学的には「晴れ」に分類される天気であっても、星を見るには全然だめという場合も少なくない。そこに加えて日食いたっては、時間どころか分単位あるいは秒単位での出来事なのだから天気には罪はない。ずっと晴れていたのに皆既の瞬間だけ雲がかかったという悲劇も耳にしたことがある。

それに比べれば、星雲や星団を眺めるのは随分と気楽なものだが、それでも月明かりの影響を受けるし、晴れた晩にいつでも望遠鏡が出せるという訳にはいかない。だからこそ、週末に好条件が重なれば、家族から疎まれようと夜中に望遠鏡を出して自分の世界に没頭することになる。前振りが長くなったが、5月14日の晩はまさしくそんな夜だった。ただ、夜明けが早いのでのんびりという訳にはいかない。次々とメシエ天体を望遠鏡に導いては眺めデジカメに収めていった。

b0167343_2324469.jpgM69から望遠鏡を少しだけ北東に振ると、次なる「いて座」の球状星団M70がある。こちらもM69に負けず劣らず評判が芳しくない。「暗い、低い、小さい」という訳だ。光度で言えばM69が8.9等に対してM70が9.6等と、M70の方がさらに暗い。しかし、空の条件が良ければ街中でも結構よく見えるものだ。

写真はM69と同一の条件で撮影したものだが、画像で見てもM70はM69よりも一回り小さくて暗い。それじゃあ面白くないかと言われると、そんなことは全然ない。

(撮影したメシエ天体 通算63/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-22 23:28 | 星団

夏の球状星団(その19-M69)

梅雨入り前の5月14日の晩に撮影した写真がまだ残っているので、もう梅雨が明けたが逆戻りする。

次のメシエ天体は、「いて座」の球状星団の1つであるM69だ。「いて座」の南斗六星の下向きの柄杓からしたたり落ちた水滴のように、M54、M70、M69と3つ並んでいる球状星団の1つで最も南にある。8.9等と球状星団としてはかなり暗いのだが、5月の澄み切った空のおかげで、高度は低いにもかかわらず望遠鏡の眼視でも小さな光芒が確認できた。

b0167343_0495824.jpg写真はISOを3200に設定し、露出時間を3.2秒に設定して手持ち撮影をした16コマをコンポジットしたものだ。これまでに20以上の球状星団を見てきたので、独特の風合いが小型望遠鏡で見る球状星団の典型的な姿だとわかる。

M69は、見栄えがしない球状星団と書かれていたりもするが、自分の目で直に眺める喜びに何ら変わりはない。いや、手持ち撮影という手法から言えば、「小さく暗くて見栄えのしない」星団の姿をちゃんと捉えられたことが、むしろ誇らしいぐらいだ。

(撮影したメシエ天体 通算62/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-21 00:52 | 星団

夏の球状星団(その18-M62)

梅雨明け宣言が出された7月17日の晩は、本当に久しぶりに望遠鏡を出すことが出来た。気分転換だと称して家の近所を歩いて帰って来た高校生の息子が、「星がたくさん出ているぞ!」と、うたた寝していたところを起こしてくれたのだ。

周囲の山々には雲がかかって多少靄がかかった感じだが、夏の夜空としては上出来の部類だろう。「さそり座」が大部西の空に低くなってきているのを見て、あわてて望遠鏡を向けたのは「へびつかい座」のM62だ。7つある「へびつかい座」の球状星団のなかで、梅雨入り前に宿題として残ってしまったものだ。

b0167343_1153684.jpg「へびつかい座」とは言いながら、「さそり座」のアンタレスから東側に望遠鏡を振って、星図から見当をつけた辺りに望遠鏡を向けて覗き込む。すると、オレンジ色がかかったような光芒が見えた。思ったよりも明るいようだ。やや東西に長い楕円形に見える。ISOを3200に設定し、露出時間を2秒に設定して手持ち撮影をした16コマをコンポジットしたが、個々の星にこそ分離してはいないものの明るい中心部を取り巻くように淡い部分が写っている。

1つの星座にある7つの球状星団を全部見たというだけのことではあるのだが、「制覇した」というのはなかなか気分がよい。梅雨明けの晩に達成というのも、何やら爽快な気分にしてくれる。缶ビールを開けるのに上等な言い訳が出来た。

梅雨明けに乾杯!!!

(撮影したメシエ天体 通算61/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-19 01:16 | 星団

夏の宝石箱(その13-M24散開星団)

M24は微妙な星団だ。M18から少し南西の方向にガイド・スコープでもわかる一群の星があるのだが、その星の群れの東の端にStellariumではM24と示されている。しかし、このM24の光度は11等と暗く、実は5月12日の晩には好条件にもかかわらず存在を確認することが出来なかった。その後、インターネットで検索すると、当時の望遠鏡の性能から考えてメシエが11等の星団を見た可能性は低く、この辺りの天の川の濃い部分をM24としたらしいことが書かれていた。11等の星団はハーシェルのカタログではNGC6603と番号が付けられている。

b0167343_2343193.jpgメシエが見たかどうかはともかく、こうなるとNGC6603を何としても見てみたくなるのが人情というものだ。そこで、5月14日の晩は十分に狙いを定め、ここと思われる位置を視野の真ん中に収めて、ISO3200に4秒露出で写真を撮ってみた。するとオレンジ色の星の近くに淡い光芒が写った。しかし、位置がわかっていてもなお眼視ではその存在に確信を持つ事はできなかった。16コマのコンポジットでもシミのようで星の集団には見えないが、場所は間違いなくNGC6603だ。

それにしても背景の星々の数が半端ではない。

(撮影したメシエ天体 通算60/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-16 23:45 | 星団

夏の球状星団(その17-M107)

「へびつかい座」の球状星団としては、すでに3月のうちに「M10」「M12」「M14」の3つを写真に収めていたが、M107だけが取り残されてしまっていた。そこで、5月14日の晩は最初にM107に望遠鏡を向けた。「へびつかい座」とは言うもののM10やM12よりも南で、もう「さそり座」に近い。光度は8.1等ということで、ガイド・スコープでは存在は確認できず、星の並びを手がかりに見当を付けた辺りに望遠鏡を向けた。

b0167343_19783.jpg接眼レンズを覗いてまず目につくのは緩やかなS字を描くように並ぶ星々だ。どことなく「さそり座」に似ているし、タツノオトシゴのようにも見える。そのちょうど中心部分に淡い光芒としてM107が見えた。ISOを3200に設定し、露出時間を3.2秒に設定して手持ち撮影をした16コマをコンポジットしたが、星団はかなり淡い。

これで、「へびつかい座」本体にある4つの球状星団は網羅したことになる。しかし「へび座」の部分を含む広義の「へびつかい座」の球状星団には「M9」「M19」「M62」があって、このうち「M62」がまだ残っているので、梅雨明けに挑戦できればと思う。

(撮影したメシエ天体 通算59/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-13 01:13 | 星団

夏の球状星団(その16-M56)

日付が変わったが今夜は七夕。毎年のことながら梅雨の最中で星空はまず期待できないのであるが、そうは言っても空が気になるのは仕方がない。そうかと言って音を立てて降る雨を恨めしいとは思わない。

せっかくなので何か七夕にちなんだ写真はないものかと考えてみた。七夕と言えば彦星と織姫星だが、彦星は「わし座」のアルタイルで織姫星は「こと座」のベガ。「わし座」にはメシエ天体の星雲・星団は1つもないが、「こと座」にはM57リング星雲とM56球状星団がある。このうち、M56の写真はまだアップしていなかったので、急いでコンポジット処理してみた。

b0167343_1284093.jpg撮影したのは、もう2ヶ月近くも前になる5月14日の晩だ。その晩は、夜半過ぎにすばらしい星空が広がって、夏の銀河にそって並ぶ多くの球状星団を観望することができた。M56は「こと座」のγ星と、「はくちょう座」の嘴に当たるアルビレオの中間辺りにあるのだが、近くにオレンジ色の星があって目印になる。写真は、いつも通りISOを3200に設定し、露出時間を4秒に設定して手持ち撮影をした16コマをコンポジットしたものだ。

天頂にあって街灯の影響が少ないため、暗い空を背景に様々な明るさの星が輝くなかにポッカリと浮かぶような光芒は見ていて飽きない。周囲の星々はオレンジや青みを帯びているものが多く、星団の光芒との対比も美しい。それほど規模の大きな球状星団ではないが、眺めていると宇宙を覗いていることが実感されて大好きな天体の1つだ。雨雲の上では今頃は天頂にあって彦星と織姫星の逢瀬を見守っているはずだ。

(撮影したメシエ天体 通算58/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-08 01:31 | 星団

夏の宝石箱(その12-M26散開星団)

M11から望遠鏡を南側に少し下げてくるとM26星団に至る。望遠鏡を向けてのぞいてみると、小さな菱形に星が並んでいるのが見える。もう一度星図と照らしあわせて周辺の星との位置関係を確認するが、M26で間違いない。肉眼でスバル星団を眺めた時のような印象だ。それにしても、これを星団と言っていいのかと思うような規模だ。

b0167343_131963.jpgISOを3200に、露出時間を3.2秒に設定して手持ち撮影をした8コマをコンポジットした。やはり4個の星が菱形に群れている程度にしか写っていない。インターネットでM26の写真を検索してみると、4個の星の周囲に暗い星が群れていて確かに星団であることがわかる。

あるいはアメリカン・サイズの接眼レンズで撮影すれば、暗い星も写って星団らしくなるかも知れない。また条件のよい時に挑戦してみたい。

(撮影したメシエ天体 通算57/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-07-07 01:04 | 星団