ついに見えた(M1)

リストの1番目というのは、リストの作成者がそれなりの意図を持って選んだはずである。メシエがどうしてM1を決めたのかはわからないが、M2やM3よりは何か思い入れがあったと考える方が自然だろう。だからと言って、見る者がリストの番号順に見なければいけない訳ではないが、2番目以降は欠番のM40まで全てを見て撮影も済ませているのだから、1番目だけ見ていないのは何とも落ち着かない気分だ。例えれば作家の処女作を読まずに全集を読んだりするようなもの・・・、いやそこまで大げさな話ではない。ただ、見ていないというよりは、何度も見ようとしたが見えなかった、というのが正しい。

M1は単にリストの一番目というだけではない。約1000年前の超新星爆発の成れの果ての姿という点でも、メシエ天体の中では異色な存在だ。しかも、別名「かに星雲」と呼ばれる奇異な姿もメシエ天体では際立っている。何としても見てみたいと思わせるに十分な理由のある対象なので、それこそ天文少年だった頃から何度も望遠鏡を向けてきたのだが、なぜか存在を確認することすらできずに今日まで至ってしまった。

夏に星空を求めて彷徨し八ヶ岳山麓で満天の星空に遭遇した8月21日の晩に、昇ってきた「おうし座」を見て懲りずに挑戦した。場所はもう諳んじている・・・雄牛の下側の角の先にあるζ星を底辺の片側にして、二等辺三角形を作る星のならびの重心の辺り・・・に望遠鏡を向けた。すると、透明度の高い最高の条件だっただけあって、あっさりと星雲が確認できた。

b0167343_1174320.jpg
喜々として手持ち撮影を始めたところ、望遠鏡の対物レンズが結露してきて、どんどん見えなくなってきてしまった。それでも露光時間を8秒と長めに設定し手持ち撮影すると、確かに見えたという証拠写真は残すことができた。そして、望遠鏡のレストアを終えた10月5日の晩には、切れ味を取り戻した望遠鏡で今度は街灯りのある自宅でも存在を確認することができた。こちらも露光時間を4秒に設定して手持ち撮影した。いずれも16コマをコンポジットしたが、残念ながら姿形は二の次の写真になってしまっている。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-31 11:12 | 星雲

秋空の「ト」の字(M103星団)

カシオペヤのWと重なるようにある小さな散開星団のM103は、メシエカタログでメシエ自身がリストアップした最後の星団とされている。10月5日の晩にM79に先だって望遠鏡を向けてみた。双眼鏡では小さな光芒として見えるのだが、望遠鏡では「ト」の字型に4つの星があり、中央の星がオレンジ色をしているのが目立つ程度で、これを星団と言っていいのだろうかというのが第一印象だ。すぐ近くに矢型に4つの星が集まっていて、中央の星がオレンンジ色をしているところまでM103とよく似ている。しかし、こちらは星団としてはリスト・アップされていない。

ところが、「ト」の字のほうをよく見ると、というか凝視しないようにしながら注意して見ると、オレンジ色の星のあたりがボンヤリとしていて、どうやら暗い星が集族しているらしい様子がうかがえる。昨年の秋に手持ち撮影で散開星団が写ることがわかりM103も撮影してみたことがあった。しかし、当時のデジカメでは「ト」の字の星しか写らなかった。今度のデジカメではどうだろうか。

b0167343_1245100.jpgそこで、接眼レンズは25mmを使い、ISOは3200で露光時間は3.2秒に設定して手持ち撮影したなかから16コマを選んでコンポジットした。すると、オレンジ色の星と一番明るい星の間に10個程の暗い星が写っていて、どうにか散開星団らしい体裁をとっているのがわかる。一方、矢型のほうは4つの星以外には暗い星はなくて、確かにM103とは一線を画している。

メシエが両者をちゃんと区別していたことに敬意を表したい。
(撮影したメシエ天体 通算79/107個)
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-29 01:05 | 星団

球状星団を完走!!(M79星団)

春からせっせと眺め撮影してきたメシエ天体の29ある球状星団のうち、残りが「うさぎ座」M79だけになっていた。そこで、望遠鏡がレストアを終えて戻ってきた10月5日の晩に、オリオン座が南中した明け方近くに自宅で望遠鏡を向けた。接眼レンズは通常の25mmだ。

b0167343_0223774.jpgオリオン座からさらに南に望遠鏡を振るため、かなり街灯りの影響を受けているのが眼視でもわかる。それでも球状星団に特有の小さな光芒が見える。ISOは3200で露光時間は4秒に設定して撮影した16コマをコンポジットした。眼視ではわからなかったが、明るい中心部の周辺に星団を形成する星が幾つか分離して写っているようだ。

冬の星座でメシエがリストアップした唯一の球状星団なので望遠鏡を向ける人も比較的多い。しかしかなり暗く小さいので、これが夏の星団だったら見る人も少ないだろう。例えれば南国のスキー場のような感じで、その意味では得をしている星団かも知れない。ただ、規模は小さくても南国のゲレンデに独特の味わいがある(だろう)ように、小さくても冬の夜空で見る球状星団には夏には味わえない楚々とした美しさが感じられて、ついつい望遠鏡を向けたくなるのが面白い。そう言えば、高校生の頃に寒くて部屋の中から望遠鏡で見た事もあった。

これでメシエ天体の球状星団を完走したことになる。M2やM13、M22など季節を代表する球状星団に望遠鏡を向ける愛好家は少なくないハズだが、メシエ天体の球状星団を全て見たという者はそう多くはないだろう。まして、お手軽手持ち撮影だとは言え全星団をカメラに収めたというのは、球状星団マニアを自称しても許されるだろうと思う。

(撮影したメシエ天体 通算78/107個)
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-27 00:23 | 星団

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その6-M16/M27)

アップする順番が撮影順と異なるが、実は最初に撮影したのは夏の天体である「いて座」のM16だ。10月10日は夕方から天気が一気に回復して、八ヶ岳山麓では日没とともに銀河が美しく見えた。その中で、散開星団に淡い星雲が重なるM16をテスト撮影の最初の対象に選んでみた。

b0167343_1473960.jpg露光時間を4秒に設定して手持ち撮影を始めたが、途中に何度か低い霧が出て中断され、また望遠鏡とデジカメの光軸合わせも感じがつかめずに30分ほど試行錯誤を繰り返した。ようやく得た16コマをコンポジットして、中央部をトリミングしてみた。星団に重なる赤い星雲はかなり良く写っているが、4秒の露光でも日周運動で星像が流れているぐらいなので、暗黒星雲の切れ込みまでは写ってはいない。トリミングはしたが夏にアメリカン・サイズの25mm接眼レンズで撮影した写真とほぼ同じ範囲がおさまっている。

b0167343_148281.jpgテスト撮影の最後のアップは「こぎつね座」のM27亜鈴状星雲だ。こちらは露光時間を5秒で手持ち撮影した16コマをコンポジットして、中央部をトリミングしている。好条件もあって、暗い空を背景に星雲が明るく写っている。以前の撮影では、地図の銀行マークのような中央部分のみが薄らと写る程度だったが、今回は周辺の淡い部分も写っているようだ。しかし、やはり露光時間が長かったせいで星像が日周運動で流れてしまい、微細な構造まではわからないのが残念だ。

ということで、テスト撮影では欲張って露光時間を長くしたため、星像が日周運動で流れてしまった画像が多かったが、望遠鏡のレストア、アメリカン・サイズ用アダプター、広視野30mm接眼レンズと手持ち撮影用リングという段階を経て、手持ち撮影でNikon 8cmの世界をかなり忠実に再現出来るようになってきた。

こうして改めてテスト画像をながめてみると、望遠鏡で見る天体の多種多様な姿に感動する。眼視では色彩こそ写真のようには判らないが、手持ちで撮影した写真は望遠鏡で覗いた天体の姿を切り取ってくれている。お手軽手持ち撮影は、そこが面白くて、そこに価値がある。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-25 01:57

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その5-NGC253)

新しい接眼レンズと手持ち撮影用のリングによるテスト撮影で、次なる対象は南天のアンドロメダ銀河と呼ばれるNGC253。南天の天体だが、自宅と違って空が暗いので、望遠鏡でも中心部のみならず細長い紡錘形がなんとなく見えているように感ずる。

b0167343_020401.jpgISOを3200で露光時間を6秒に設定して手持ち撮影した16コマをコンポジット処理した。銀河は、金色を帯びて写っており、明るい楕円の中心部から横に淡い腕が長く伸びているのがわかる。当然ながら8月に自宅で撮影した写真より鮮明に写っているが、結果的には露光時間を半部位で抑えたほうが、星雲は薄れても星が点像に近付く分は見栄えが良かったろう。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-24 00:23 | 手持ち撮影にこだわる訳

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その4-二重星団)

この季節に何度でも見たくなるのが二重星団だ。という訳で、10月10日の晩も当然ながら望遠鏡を向けた。空の条件が良いので存在だけなら肉眼でも確認できる。

25mm接眼レンズだと2つの星団が視野いっぱいに広がって窮屈な感じがするが、広視野30mm接眼レンズだと余裕をもっておさまるのが嬉しい。また、望遠鏡のレストアのおかげで暗い星も見えて、視野全体に無数の星が散らばり溜め息の出る美しさだ。デジカメのモニターでも写野全体に星が見えるので光軸も合わせやすい。

b0167343_031365.jpg4秒の露光時間で手持ち撮影した16コマをコンポジットしたが、やはり視野の周辺部で星が微妙にズレてしまう。これは、光軸の問題とともに広視野レンズの機能的な性状も関係しているのであろうか。やむを得ず周辺部を20%ほどトリミングしてみた。それでも25mm接眼レンズに比べ広い範囲の星々が写っている。おびただしい数の星々が写っていて美しさとともに迫力を感ずる。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-22 00:33 | 手持ち撮影にこだわる訳

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その3-M33)

続いて「さんかく座」M33銀河だ。

みかけの大きさにもかかわらず非常に淡い天体なので、露光時間は8秒とかなり長めに設定して手持ち撮影した。ちょうど銀河の四方におあつらえ向きの比較的明るい星が十字にあるので、デジカメのモニターでも中心を合わせやすい。嬉しいことに撮影したコマをモニターで確認しても銀河の腕にあたる部分まで写っているのがわかる。

b0167343_002495.jpg16コマをコンポジットした上で中心部をトリミングしたが、8月に自宅で25mm接眼レンズを用いて撮影した写真と比べると、銀河中央の比較的明るい部分から横に腕が伸びている様子がかなり鮮明に写っている。この違いは空の条件と望遠鏡のレストアの効果が上乗せされてのものだが、接眼レンズの焦点距離が伸びて拡大が押さえられ対象が相対的に明るくなったことも大きい。

ここまで写るのなら、恒星が点像に近くなるように露光時間を半分にしてもよかったように思う。そうすれば明るさは犠牲になるが逆に銀河の腕の形態がもう少し鮮明に写ったのではないだろうか。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-20 00:04 | 手持ち撮影にこだわる訳

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その2-M42/M43)

次なる対象は夜半過ぎに昇ってきたM42オリオン星雲。広視野30mm接眼レンズだといわゆる小三ツ星が視野の中に収まるのが嬉しい。

こちらは星雲が明るい上に小三ツ星が視野一杯に広がっているので、星雲を望遠鏡の視野の中央に導いておけば、デジカメを押し付けてモニター上で星雲を中央に置き小三ツ星が写野に入るように調整できて撮影は比較的容易い。

b0167343_0534032.jpg露光時間は2.5秒で撮影した16コマをコンポジットしてみると、それでも周辺部分の星はコンポジットがうまく重ならない。そこで小三ツ星がおさまるギリギリで中央部分を円形にトリミングした。

小三ツ星とオリオン大星雲が、望遠鏡のレストアのおかげでコントラストの効いたシャープな像で捉えられており、この写真が手持ちでの撮影だと言ってもなかなか信じてもらえないかも知れない。

手持ち撮影もここまで来ると極めた感じがする。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-18 00:54 | 手持ち撮影にこだわる訳

広視野30mm接眼レンズとリングの威力(その1-M31/M32)

ハートレー彗星を無事に捕まえることができた後は、広視野30mm接眼レンズとリングの組み合わせのテストとして、代表的なメシエ天体に望遠鏡を向けて撮影してみた。

まずはM31アンドメダ銀河だ。ISOをいつもの3200に、露光時間を4秒に設定して手持ち撮影した。ハートレー彗星のところにも書いたが、接眼レンズの外径よりもカメラのレンズ部分の外径が一回り小さいので、カメラを押し付けた時の指先の感覚では接眼レンズとカメラの光軸合わせが決まらない。そのため、デジカメのモニター上で星が写野に広がる様子で判断する必要がある。

しかし、アンドメダ銀河を中心にして周囲に一様に明るい星がある訳ではない。隣接するM32の側に明るい星が多く反対側に少ないため、どうしてもレンズが星の多い方向に向いてしまう傾向がある。そんな中でも比較的良く光軸が合っている16コマを選んでコンポジットしてみたが、各コマ光軸が微妙に異なるために写野の周辺部の星が1つに重ならない。

b0167343_21411633.jpgそこで、出来たコンポジット写真の中央部分のみトリミングしてみたが、トリミングしてもなお以前の25mm接眼レンズで撮影した写真よりもかなり広い範囲が写っており、とてもデジカメの手持ち撮影とは思えないような写真になった。

銀河の外周部分までは写ってはいないが、アンドロメダ銀河の美しさは十分に写し取れていると思う。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-17 21:42 | 手持ち撮影にこだわる訳

韋駄天ハートレー彗星

10月10日の晩は素晴らしい星空で、日没直後に八ヶ岳山麓に着くと早速にハートレー彗星を双眼鏡で探した。二重星団との接近から僅か2日後だったので、二重星団から東側を探すのだが見つからない。天の川が空を二分してクッキリと見えるような好条件なのに、どうしてだろうか。まあ夜は長いしカシオペヤの高度も高くはないので、さしあたりは夏から秋にかけての星雲・星団を双眼鏡や望遠鏡でのんびり眺めて過ごした。

21時をまわってカシオペヤが天頂に昇った頃に、改めて双眼鏡を向けてみた。するとカシオペヤと「ぎょしゃ座」のカペラを結んだ中間あたりで、ちょうどペルセウス座のオレンジに輝く3等星の近くに、想像していたよりも大きな光芒がある。わかってみると、どうして気付かなかったのか不思議になるぐらいの光芒だ。

早速にNikon 8cmを向けて見ると、芯のある周辺が曖昧な星といった感じで、一見すると小型の球状星団のようなイメージだ。メシエが彗星と紛らわしい天体として次々に球状星団をリスト・アップしていったのが理解できる。双眼鏡だと大きな光芒に見えるが、望遠鏡で拡大してしまうと眼視ではほとんど中心部しか見えない。

そこで新兵器のリングを30mm接眼レンズに装着し、デジカメを接眼レンズに押し付けて手持ち撮影を始めた。露光時間は10秒と思い切って長めに設定しISOはいつも通りの3200に設定した。カメラのモニターでは、オレンジの3等星と彗星の緑色の対比が非常に美しい。ただ、リングを装着しても接眼レンズの外径よりもカメラのレンズ部分の外径が一回り小さいので、手持ちでは光軸を合わせるのが意外と難しい。そうやって撮影した中から16コマを選んでコンポジットしてみた。

b0167343_22471117.jpg
通常16コマをコンポジットする場合には、恒星の位置が重なるように2コマをコンポジットしたものをお互いにコンポジットして4コマ合成を4組作り、コンポジットをさらに繰り返して最終的に1コマにしている。ところが、4コマのコンポジットで見比べてみると、周囲の恒星に対して彗星の位置が刻々と変化している。最初の4コマは21時32分から36分までの撮影で、最後の4コマは21時46分から50分までの撮影なので、その間は約15分であるが、彗星の移動が明確に見てとれる。

b0167343_22474493.jpgそこで、4コマ同士のコンポジットでは通常の恒星を重ねる方法はとらず、彗星の位置を合わせて比較明の手法で合成してみた。結果として恒星はかなり流れているが、彗星が明るい中心部と淡い光芒から成り、写真の左上に向かって短い尾があることがわかる。写真の一番上に少しだけ写っているオレンジ色の星が3等星である。恒星がきれいな線状になっていないのは、各コマの光軸が微妙にズレてしまっている影響だ。

二重星団からは遠ざかってしまったが、ようやくハートレー彗星を手持ち撮影することが出来た。星雲や星団では見たことがないような緑色は本当に美しい。写真としてのデキはともかくとして、望遠鏡での彗星の姿をデジカメで手持ち撮影したのは、これが世界で最初ではなかろうかと一人悦に入っている。
[PR]

by Nikon8cmtelescope | 2010-10-15 22:53 | 彗星