25年ぶりの再会

写真が紹介された星ナビが届いた12月4日の晩、身支度を整えて車に望遠鏡を積込むと八ヶ岳南麓を目指した。高揚した気分の持って行く先は他にはない。家を出た時間が遅かったので、夜半過ぎに昇ってくる「しし座」の銀河を撮影しようか、などと考えを巡らせているうちに目的地に着いた。車の温度計は外気温が3度と表示している。

ちょうどオリオン座が南中していたので、M42オリオン星雲に望遠鏡を向けた。前回の撮影では16コマをコンポジットしてまずまずだったので、今回は32コマのコンポジットを目指した。露光時間と構図を決めると、凍える指でひたすら撮影を続ける。デジカメのモニターと望遠鏡を交互に覗き込むのだが、望遠鏡の向こうにある星空もチラチラと視界に入ってくる。

そのうち、アレッと思った。そうかなと直ぐに閃いたが、オリオン星雲の撮影は止めなかった。チラチラと視界の端に存在を意識しながら、手持ち撮影を続けた。そして次第にその存在を確信するようになった。予定した36コマ分を撮り終えると、デジカメを三脚に付けて南の空を撮影してみた。思った通り、カノープスだった。学生時代に見て以来、実に25年ぶりの再会だ。

b0167343_959504.jpg冬枯れした木立の向こうに盆地の街灯りがあるため、その影響をできるだけ受けぬよう、露光時間を5秒、絞りを3.0、ISOを800に設定して連続的に撮影した4コマをコンポジット処理した。オリオン座の三ツ星から下だけが入るような中途半端な構図だが、シリウスがほぼ中央に陣取り、木立の上で街灯りに埋もれるようにカノープスが写っている。その姿には、シリウスに次いで全天で2番目に明るい恒星としての威光はないが、中国で南極老人として崇められている穏やかさがある。

中国では、カノープスを見ると長寿を得るとされているそうだが、2度見るとどうなるのだろうか。いずれにせよ、来るべき年が幸多きものであるよう願いつつ、2010年最後の更新としよう。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-31 10:01 | 月・星のある風景

小さな雪だるま・・・(M76惑星状星雲)

秋から冬の散開星団のほとんどは、昨シーズンにまがりなりにも手持ち撮影することが出来ていた。だから、散開星団を撮影し直してもメシエ天体を手持ち撮影で制覇しようという目標には近付かない。そこで、11月5日の晩には、撮り残した(したがって難しい)対象にアプローチすることにした。まず目指したのがM76惑星状星雲だ。

ペレセウス座にあるM76については、正直なところ最近までその存在すら知らなかったのだが、別名little dumbbellつまりM27亜鈴星雲の小型版という訳だ。夏以降に、星図を頼りに何度か望遠鏡を向けたのだが結局は確認できなかった。しかし、とうとう11月5日の晩は眼視で確認することが出来た。とは言っても、形状はとても判別できないような少しいじけた感じの光芒に過ぎず、美しいとは言い難い。しかし、初めて見ることができた喜びが胸の中にジワジワと広がる。

手持ち撮影では、対象が暗いために星雲を視野の中心に置くと接眼レンズとカメラの光軸がなかなか合わせられない。それでも、周辺の比較的明るい星々が視野に均等に位置するように微調整することで、光軸が合うようになった。次は露光時間を変えながらデジカメのモニター上で星雲の写り具合と日周運動の影響との兼ね合いを確認し、妥協点を見いだして行く。こうして露光時間は5秒に設定した。あとは、撮影しては微動装置で日周運動を追いかけてまた撮影というパターンを繰り返し、モニターで確認して手ブレの目立つコマは捨てていく。

b0167343_13114723.jpg撮りためた16コマをコンポジット処理していくと、ようやく星雲の名前の由来が確認できるようになった。確かに、小さな光芒が2つ雪だるまのようにくっついている。M27亜鈴星雲に比べたら見かけの大きさは10分の一程度だろうか。
(撮影したメシエ天体 通算83/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-26 13:12 | 星雲

鹿の声を聞きながら・・・(その5-かに星雲)

b0167343_014952.jpg11月5日の晩に総ざらいした代表的なメシエ天体の5番目は、M1カニ星雲だ。前回の撮影では、露光時間を6秒に設定したため日周運動で流れた姿になってしまった。そこで、露光時間を3.2秒と短くして手持ち撮影した中から16コマを選んでコンポジットした。これでも、やはり日周運動の影響を受けてしまっているが、淡いM1を手持ち撮影で捉えるには、これ以下の露光時間だと難しい。前回に比べると淡くなってしまったが、星雲の姿は大部それらしくなった。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-22 00:02 | 手持ち撮影にこだわる訳

秋から冬の散開星団(その9-M47星団)

M47は、ならんで見えるM46と対照的に、個々の星が明るく密度も緩い。M46が女性的でM47が男性的だと表現されることが多い。本家とも言うべきペレセウス座の二重星団は、もちろん2つの星団に個性はあるのだが、構成する星々の光度や色合いは双子のような印象を受けるのと、対照的だ。ずいぶんと見かけの異なるM46とM47だが、どちらも冬の凛とした寒さの中で見るのに相応しい姿だと思う。

b0167343_2352352.jpgそのM47だが、10月10日の晩はデジカメの電池が尽きてしまって撮影することが出来なかったので、こちらは11月5日の晩に鹿の声を聞きながら撮影した。露光時間は2秒で、16コマを選んでコンポジットした。全体的な印象はM41星団に近いが、星団を構成する星の数はM47の方が少ない。それでも、明るい星が幾つか含まれているためキラキラした印象を受ける。一等星が多い冬の夜空をギュッとそのまま縮めて星団にしたような感じだ。

地球からは、M47が1700光年でM46は3200年光年とのことなので、両者を構成する星の光度の違いは、すなわち地球からの距離を反映していると考えていいのだろう。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-20 23:55 | 星団

秋から冬の散開星団(その8-M46星団)

12月14日の晩は晴天にもかかわらず、この時期としては比較的暖かく、極大日を迎えた双子座流星群を観望するには最適な条件だった。上弦過ぎの月も沈んだ夜半の帰宅途中に空を見上げながら歩いていると、双子座からカシオペヤの方向にかなり明るい流星が流れた。本当なら早く寝ようと思っていたのだが、この流星に導かれるようにデジカメを持ち出し、自宅で撮影しながら空を見上げた。

かなりの頻度で流星があって、時には夜空を焦がすような流星も出現するのだが、カメラの向いていない方向だったり、カメラの方向だったのにシャッターが閉じていたりと、いつもの事ながら呆れてしまう。1時間ほど流星群を満喫してから床についた。

さて、10月10日の晩の星団巡りに戻る。シリウスから東の方向に視野を振ると、「とも座」のM46とM47の2つの散開星団が並んでいる。ペレセウス座の二重星団になぞらえて南天の二重星団という呼び方もあるようだが、いくら広角の接眼レンズとは言え、残念ながら同一視野には収まらない。また、2つの星団は趣を全く異にしている点も、本家の二重星団と雰囲気が違う。

b0167343_014881.jpgまずはM46星団の方を視野の中心に置いて、露光時間を3.2秒に設定して撮影したうち16コマでコンポジット処理をした。M46は比較的暗い星が均等な間隔で集まっている星団で繊細な感じを受けるのだが、見応えは十分だ。暗い星が主体なので光軸を合わせるのが難しく、手持ち撮影には手強い対象ではあるが、なんとか撮影することができた。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-17 00:14 | 星団

秋から冬の散開星団(その7-M41星団)

シリウスの青白い輝きが高度を増すと、双眼鏡や望遠鏡で必ず眺めるのがM41星団だ。シリウスが高く昇ると、双眼鏡ではシリウスの直ぐ下に見えるので、シリウスからの光が滴り落ちたかのようなイメージの星団だ。そのため、比較的明るい星々が緩やかな集団を形成して瞬いている様は、M42オリオン星雲と同様に冬の到来を実感させてくれる。

b0167343_0102574.jpg10月10日の晩も、夜半過ぎには夜空の主役が秋の星座から冬の星座に移りシリウスが次第に高度を上げてくると、望遠鏡をM41に向けた。露光時間を2.5秒に設定して手持ち撮影した中から16コマを選びコンポジットしたが、比較的明るい星で構成されている星団なので、もう少し露光時間を短くても良かった。

ハッとしたのは、オレンジを帯びた星が比較的多いという事だ。眼視では色調を感じにくいにせよ、シリウスと同様の青白い輝きというイメージが定着してしまっているため、気が付かなかったのだろう。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-14 00:11 | 星団

鹿の声を聞きながら・・・(その4-オリオン星雲)

b0167343_22553098.jpgさて、再び11月5日の晩に撮影した写真に戻る。これまでに何度も写真にとってきたオリオン星雲にまたしても望遠鏡を向けた。今回は露光時間を1.6秒と短く設定し、日周運動の影響を出来るだけ小さくするようにして手持ち撮影した30コマのなかから、16コマを選んでコンポジットした。さらに、今までに比べてコントラストを強調しないように画像を処理してみた。その結果、星雲の中心部に重なる星々は星雲に埋もれてしまっているが、繊細なレースの襞のような星雲の広がりがよく見えている。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-10 22:57 | 手持ち撮影にこだわる訳

秋から冬の散開星団(その6-M37星団)

「ぎょしゃ座」の3つめの散開星団はM37。1つだけ「ぎょしゃ座」を形成する五角形の星の並びの外側にある。3つの星団のうち、星団を構成する星の数が圧倒的に多い。ただ、個々の星は暗いので、昨年までのデジカメでは捉えることが出来なかった。広角30mm接眼レンズでの眼視だと、一見すると散開星団と言うよりもガスのように感じられる。それが星の集団だとわかった時の感動は、なかなか他では味わえない。中心にあるオレンジ色の星も目を引く。

b0167343_22531310.jpg10月10日の晩に3.2秒の露光時間で手持ち撮影した中から16コマを選びコンポジットした。画像処理でコントラストを強調したので、実際に見たよりも星がかなり明るく写っている。そして中心部の比較的明るい星々に加えて、かなり広範囲にまで暗い星が広がっている様子もわかる。

アメリカン・サイズの30mm接眼レンズは、カメラとの光軸をあわせるための比較的明るい星が視野に数個あるような条件であれば、かなり暗い対象でも写すことができる。その意味では、星の数が多い散開星団はよい対象なのだが、問題は周囲に明るい星がない対象だ。これから見頃を迎える春の銀河星雲は周辺に星が少ないので、デジカメと接眼レンズの光軸を手持ちでも簡単に合わせられるようなアダプターを考える必要がある。
(撮影したメシエ天体 通算82/107個)
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-09 00:22 | 星団

年間購読のお誘い!?

土曜日の昼下がり、郵便受けに大きな封筒が入っていた。

b0167343_1103287.jpg開封すると「星ナビ」の最新号が出て来た。年間購読用の振込用紙も同封されており、10月号に月と惑星の手持ち写真が掲載されたので、その関係で年間購読のお誘いが送られてきたのだと理解した。それにしても最新号を見本として同封して下さるとは何と太っ腹な出版社だろう。

早速、読者の天体写真のコーナーをパラパラとめくってみると、素晴らしい星雲の写真が並んでいる。スゴイなあと溜め息をついて雑誌を置くと、家内がやっていた窓拭きを代った。師走に入って、少しは家の仕事もしなくては・・・・。

夕飯のあと再び雑誌を手に取って最初から目を通す。新年号なので、来年の主な天文現象が紹介されており、読みながら来年はどんな写真を撮ろうかと早くも思いをはせる。池谷・村上彗星の発見の記事は、食い入るように読んだ。

読み進んで、雑誌の後ろの白黒ページをめくっていてふと手を止めた。「コンパクトデジタルカメラの手持ちコリメート撮影・・・」という見出しのついたコラム記事がある。掲載されている写真には、どこかで見覚えが・・・・。そう、2ヶ月前に送った組み写真だ。雑誌が送られてきたのは、写真が記事として掲載されたからだった。

b0167343_111760.jpg驚いて思わず声を上げて部屋の中を走り回るが、子ども達は親父の道楽に醒めた視線だ。家内は、よかったねと笑顔で言ってくれた。それにしても、このような形で紹介して下さるとは編集部のスタッフには感謝の念に堪えない。

記事を見てブログを訪問して下さる方もあろうかと思うので、雑誌に掲載された組み写真をカラーで掲載しておこう。まあ、カラーも白黒も関係ないような写真ではあるのだが。まだツアイス・サイズの25mm接眼レンズで撮影していた頃の写真だ。

b0167343_1113781.jpg
最後に「手持ち撮影」ノサラナル精進ヲチカイマス。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-07 01:15 | 手持ち撮影にこだわる訳

秋から冬の散開星団(その5-M36星団)

「ぎょしゃ座」の次の散開星団はM36。3つの星団のうち、星団を構成する個々の星が一番明るい印象だ。

b0167343_2357850.jpg撮影は2.5秒露出で16コマをコンポジットした。20個ほどの明るい星が星団を形作っていて、手持ち撮影でも写る微光星は星団にはそれほど多くない。だから、星団としてはM38に比べてM36の方が構成する星の数が少ないことになる。しかし明るい星が多い分、M36の方が賑やかな印象を受ける。明るい星は青白色で、周辺にオレンジ色の星が比較的多いのも星団を引き立てているのかも知れない。
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by Nikon8cmtelescope | 2010-12-03 23:58 | 星団