「簡易手動追尾法」(その5-M104ソンブレロ銀河)

M104ソンブレロ銀河も春を代表する銀河だ。中央を暗黒帯が横切って銀河が帽子のツバように広く伸びる勇姿は天体写真でおなじみだ。いわゆるエッヂ・オンの銀河の中では一番明るくて小望遠鏡のよい対象の1つだが、そのみかけの大きさは意外と小さい。それが簡易手動追尾法だとどのように写るのか、3月4日の晩に露光時間4秒に設定して手動追尾を試みた。

b0167343_0412899.jpg最初はもっと長い露光時間で撮影をはじめたのだが、微動装置が重くて追尾がうまくいかず、だんだんと露光時間の設定を短くして最終的には4秒になってしまった。後で気が付いたのだが、赤道儀をはさんで望遠鏡の反対側にあるバランス・ウエートの位置が不適切だったために、微動装置が重くなってしまったのだった。

ということで、コンポジット処理に使用できたのは全部で12コマのために画質はやや粗いが、「簡易手動追尾法」を導入する以前の画像よりも鮮明で、小さいながらも帽子のような特有の姿がとらえられている。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-26 00:45 | 星雲

「簡易手動追尾法」(その4-M65/M66銀河)

春の代表的な銀河といえばM65とM66も忘れてはいけない。この2つの銀河は近接して見えるだけでなく、見かけの大きさもそこそこあって、しかも「しし座」の後ろ脚の付け根で比較的望遠鏡に導きやすい位置にある。また、七等星を挟んだ反対側には、NGC3628という直線的な姿を持つエッジ・オンの銀河があるということで、三つ子銀河としても名高い。しかし、メシエのリストから漏れたことからもうかがえるように、NGC3628はM65/M66に比べるとかなり淡いので小望遠鏡で3つそろった姿を見るのはなかなか難しい。

実はカメラを接眼レンズにつなぐリングが来て直ぐの2月13日の晩に、この三つ子銀河も撮影した。NGC3628の細長い姿は眼視では見えにくくても東西方向に伸びているので画像では日周運動の影響が出にくく、追尾をしないでも意外と良く写るのに対して、M65とM66は明るいにもかかわらず南北に広がっているので画像上は日周運動の影響が出やすい。露光時間を2.5秒に設定して撮影した64コマをコンポジットしたのが左側の画像だが、M65とM66が日周運動の影響で流れてしまって哀愁漂うピエロの笑顔のようだ。

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そこで3月5日の晩は、開発したての簡易手動追尾で三つ子の姿を追った。露光時間を6秒で撮影して得られた画像の中から、追尾が比較的うまくいった24コマを選んでコンポジット処理したものが右側の画像だ。星が点像に近くなり、M65とM66が引き締まって、NGC3628も中央の暗黒帯の存在がうかがわれる。

コンポジット数が少なめで画像が粗いが、もう少しコマ数を稼げば、そこそこの写真になりそうな感じで、簡易手動追尾の可能性を実感できる写真になった。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-22 01:28 | 星雲

「簡易手動追尾法」(その2-M51子持ち銀河)

簡易手動追尾法を思いついて最初に試みたのは、3月5日の晩に盆地の郊外でM51を撮影している時のことだった。そうやって露光時間を8秒に設定して撮影した中から32コマを選んでコンポジット処理してみた。簡易手動追尾法をはじめる前の2月13日に露光時間を3秒に設定して撮影した64コマのコンポジット画像と比べると、かなり鮮明な画像になった。

これに気を良くして、3月9日の晩には八ヶ岳山麓で更に長時間の露光を試みた。まずは露光時間を13秒に設定して挑戦したが、時々得られる鮮明な星雲の姿に励まされ頑張ってみるものの、いかんせん成功率が低すぎる。そこで10秒に設定してみたが、それでも寒さに手が凍えてなかなかうまく行かない。そのうち空に急に雲が広がって雪が舞い出した。

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望遠鏡を撤収し車で10分も高度を下げると再び満天の星空が広がった。改めて望遠鏡を出して今度は8秒に露光時間を設定して撮影した。どうも、追尾なしで何とか許容される露光時間の3倍を越えてしまうと、簡易手動追尾の成功率が急激に悪くなるという印象だ。そうやって撮影した成果の28コマをコンポジットしたのが右側の写真だ。

b0167343_0493571.jpg最後に、3月5日の32コマと、3月9日の28コマをコンポジット処理してみた。本体の銀河からグルリと長く伸びる2本の腕のうちの1本が伴銀河に繋がる様子がはっきりと写っている。

この画像で今シーズンのNikon 8cmでのM51のお手軽撮影は打ち止めにしようと思う。そして、手動追尾に更に精進を重ね、より長い時間の追尾ができるようになった上で、来シーズンにまた挑戦してみよう。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-18 00:53 | 星雲

「簡易手動追尾法」(その2-M27亜鈴星雲)

b0167343_0583274.jpg3月5日の晩に簡易手動追尾を試みているうちに、夏の大三角が昇ってきた。そこで展示パネル用の写真を撮影しようと、「わし座」のアルタイルからたどって「こぎつね座」のM27亜鈴状星雲に望遠鏡を向けた。眼視でもかなりはっきりと独特の姿が楽しめる。

露光時間を8秒に欲張って簡易手動追尾をしてみるとデジカメのモニター上でも緑を帯びた星雲が鮮やかに写っていて、追尾による撮影の威力を実感できた。

b0167343_0593014.jpgそうやって撮影した16コマをコンポジットしたが、星雲の赤い縁どりも写っていてなかなかカラフルだ。高度がまだ低いので街灯りの影響を受けて背景が明るいのが少々残念ではあるが・・・。

ということで、この写真を含めて展示パネルの夏編が完成した。選ばれたのはM8干潟星雲M17オメガ星雲、M27亜鈴状星雲、M57リング星雲の4つ。このうちM27以外は昨シーズンに撮影したものだ。

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こうしてみると夏の星雲にはカラフルな対象が多い。M8やM17もぜひ簡易手動追尾で撮影してみたいと思う。これからのシーズンが楽しみだ。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-15 01:08 | 星雲

元気のもと

星を眺めていると疲れも吹き飛ぶし、望遠鏡を出せば全てを忘れて星の世界に没頭できる。

でも自分にとって一番の元気のもとは富士山ではないかと思う。

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いつも星を見に出かける八ヶ岳山麓からは、盆地の山の向こうに小さく品の良い富士山の姿が見える。今日はたまたま仕事で八ヶ岳山麓に出かけたのだが、麗らかな晴天のもとでその上品な姿が遠くに見えたのでデジカメに収めた。

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冬の間はクッキリと見える富士山の稜線が、春になると曖昧になってくる。雪のない下の方は青空と渾然一体となってしまい、冠雪した上の白い部分だけが浮き出したようなこの姿こそが、自分にとっては何よりも春の到来を実感させてくれる。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-15 00:56 | 月・星のある風景

「簡易手動追尾法」(その1-M13球状星団)

「簡易手動追尾法」(と勝手に命名してしまうが)は、望遠鏡の接眼レンズにコンパクト・デジカメをリングで接続して、対象天体を見ずに赤道儀の微動装置をブラインドで手動追尾するという方法だ。リングのおかげでカメラと望遠鏡の接眼部を手で押さえる必要がなくなったので、指が凍傷になる可能性を免れることができたし、また赤道儀とリング以外の特別な装置は必要としない(お金がかかっていない)という意味では「お手軽」なのだが、手動追尾のために指先の切ってある手袋で微動装置を握りしめていると、だんだん指先の感覚がなくなってきてカメラのシャッターがスムーズに押せなくなってくる。

そんな困難を伴う「簡易手動追尾法」だが、始めてみると止められない。多くのコマでは結局は星が流れて写るのだが、うまいこと日周運動が相殺されると眼視では見えなかったような対象天体の淡い部分まで写ってくる。そうかと言って露光時間を長くし過ぎると、それと反比例して成功する確率も下がる。ギャンブル性が高いためか「次こそは」とついつい力が入るが、冷静さを失えば成功率はさらに低下する。10コマ撮影して全て失敗などということもザラになってくる。

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3月9日の晩にも「簡易手動追尾法」を試みるために八ヶ岳山麓に出かけた。左側の写真は、M13球状星団を露光時間6秒の「簡易手動追尾法」で撮影した中のベスト・ショットだ。追尾なしに1.6秒の露光で撮影した64コマをコンポジット処理した以前の画像に比べて、コンポジットを行っていないにもかかわらず遥かに鮮明に星団の姿が写っている。追尾に伴う振動のためか星がやや肥大しているが、M13が確かに星の塊であることが明確に捉えられている。このような画像がデジカメのバックモニターに現れると、「よし」という気持ちになって凍える指を擦りながらついつい頑張ってしまうという訳だ。そして右側がそうやって得られた4コマのコンポジット処理である。

8cm屈折望遠鏡とコンパクト・デジタルカメラを組み合わせた自動追尾装置なしのコリメート撮影法で、こんな写真が撮れるとは・・。もう後戻りは出来ないなあ。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-11 00:06 | 星団

お手軽撮影がメジャーになる!?

八ヶ岳にあるペンション「スターパーティー」のオーナーさんは、自称「口径肥大症」が高じて脱サラし、口径40cmの反射望遠鏡を納めたドームのあるペンションをはじめたという経歴の持ち主だ。その一方で、小望遠鏡で多くの人に星を楽しんで欲しいと心から願っての活動を続けられている。そのオーナーさんのブログ「スタパオーナー八ヶ岳日記」で、このブログを紹介して下さったのが、3月はじめのことだった。

私は望遠鏡の光学系には疎いので、とにかく写してから考えるという試行錯誤の中でやっているが、スタパのオーナーさんは光学的な視点からの考察を加えながら「コンデジで天体写真を撮ろうⅡ」と題した連載を続けて下さり、私も毎回楽しみに読ませていただいていた。2月下旬から続いた連載も3月一杯で24回をもってひとまずの終止符が打たれた。私の望遠鏡よりもさらに小型の6cm屈折望遠鏡で、お手軽撮影の世界をグンと広げて下さった。

そう遠くない将来、天文雑誌の読者の写真展のコーナーに「コンデジお手軽撮影部門」が設けられて、たくさんの入門者が写真をどんどん投稿するなんてことになるかも知れない・・・・・。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-09 18:30 | 手持ち撮影にこだわる訳

展示パネル写真 秋編

写真のお手伝いをさせてもらっている展示パネルであるが、予定されていたショッピングセンターでの展示が4月中旬まで延期されたものの実施が決まったそうだ。

b0167343_08104.jpgということで、前回の冬編に続いて今回は秋のパネルを紹介させていただく。

さすがに秋の天体をこの時期に撮影し直すことはできないので、昨シーズンに撮りためた写真を送ったところ、秋を代表する星雲・星団として、二重星団M2球状星団M31アンドロメダ銀河M33銀河の4つを選んで下さった。M2は小さくM33は淡いので、この写真だとちょっと苦しい感じがするが、二重星団とアンドロメダ銀河は小望遠鏡で味わえる美しさを感じてもらえるのではないかと思う。

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こんな時期だからこそ、このパネルが星に興味を持つきっかけになって一人でも多くの人が夜空を見上げるようになってくれたらいいなあと思う。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-07 00:17

3年目のスタートにあたり・・・・

Nikon 8cm屈折望遠鏡で見える世界をコンパクト・デジタルカメラで画像に残そうとはじめたが、ここまでの2年間で当初は考えもしなかったような展開がいくつもあった。なかでも、暗くて淡い対象である星雲が一定のレベルにまで捉えられるようになったことで、楽しみがグンと増すことになった。それとともに、「もっと美しい写真を撮りたい」という願望から「新しい望遠鏡が欲しい!!」という欲望がムクムクと育ってきた。

Nikon 8cm屈折望遠鏡は観望用としては非常に良く出来た望遠鏡であるが、F15と焦点距離が長いために星雲の撮影には不向きであると言わざるをえない。だから口径が大きく焦点距離の短い望遠鏡が欲しくなるのは、自分としても当然の気持ちだった。また、より鮮明な画像を得るのには自動追尾の出来る赤道儀が欲しくなるのも当然だった。しかし、口径の大きな望遠鏡を支えるには高精度の赤道儀が必要であり、そのためには先立つものが必要だし・・・、手軽に天体写真を楽しもうというモットーは、どうなってしまうのか・・・・。

1年近く悩み続けて辿り着いた結論は、コンパクト・デジタルカメラで自動追尾なしに星雲・星団の天体写真を楽しむという原点は失わないで、出来るだけ美しい写真が撮れるような望遠鏡を選ぼうというものだった。具体的には、鏡筒が直接に架台に乗っただけのシンプルな構造で、比較的安価で大口径が入手できるドブソニアン望遠鏡に辿り着いた。車で1時間足らずで富士山麓や八ヶ岳山麓に行かれる地の利も生かしながら、年齢的に体力がだんだん落ちて行くなかで末永く楽しむには、機動性に富み組み立ても簡単な望遠鏡がいい。そこで、軽量な上に分割できて持ち運びも便利な笠井トレーディングのNinja320を選んだ。

Ninja320は口径が32cmあるので計算上はNikon 8cmの16倍の集光力がある。つまり1秒の露光がNikon 8cmでの16秒の露光時間に相当する計算になる。Nikon 8cmのお手軽撮影で積み重ねてきた経験から考えると、追尾が行えなくてもかなり鮮明な星雲の画像が期待できそうだ・・・・。ということで1月末にNinja320を注文して首を長くして待っていたところ、3月の連休前に届いた。届いたのはちょうど満月の時期で星雲の観望には不向きなため、Ninja320の本来の実力を発揮することはできなかったが、まずは3月19日の晩の満月を写真に収めた。思えばNikon 8cmでお手軽天体写真をはじめようと思った最初も満月だった。

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そんな訳で、これからはNikon 8cmとNinja320の2つの世界を楽しみながらコンパクト・デジカメで画像に残して行こうと思う。しかし、両方を一緒に紹介するとややこしいので、Ninja320での撮影が軌道に乗ったら別個に紹介することとして、ここでは今まで通りNikon 8cmの世界を紹介していきたい。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-04-03 22:34 |