再挑戦(M20三裂星雲)

M20を5月14日の晩に撮影した時は、好条件ながら迫る薄明にせかされて、やや不本意な撮影になってしまった。そこで6月3日の晩に再び望遠鏡を向けてみた。

撮影の前に、眼視で暗黒星雲の切れ込みが判別できるかどうか、じっくりと眺めてみた。しかし、直視すると星雲自体の存在も曖昧になるし、そうかと言ってそらし気味に見てみると詳細な構造はよくわからなくなる。ということで、確信を持って見えるというところまではいかなかった。

そして撮影であるが、露光時間は前回と同様に3.2秒に設定し、前回よりピント合わせにも時間をかけた。その上で、星雲が視野の中心に来るように慎重に撮影をはじめたのだが、簡易追尾はなかなかうまく行かない。どうしても視野の中心からズレてしまうコマが多くなる。結局、星が点像になった上で比較的中心におさまったコマは20コマに過ぎなかった。

b0167343_0331997.jpgコンポジットして出来た画像は、前回に比べて星像はクリアになったものの、星雲としての美しさは若干劣るような気がする。前回よりも空の透明度が少し悪かったのだろうか。また、20コマのコンポジットだと画像に粗さが目立ってしまうので、この倍くらいのコマ数が欲しいところだ。
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by NIkon8cmtelescope | 2011-06-28 00:34 | 星雲

ボンヤリ写る理由(M27亜鈴状星雲)

6月21日の晩は本当に久しぶりに星空を楽しむことが出来た。一人ぼっちで宇宙と向き合う悦びは、他ではなかなか味わえないものだ。家族から呆れられても止められない。

ということで、また6月3日の晩に戻る。M17の次なる対象はM27亜鈴状星雲だ。3月5日の晩に初めて簡易手動追尾を試みた時には、少しでも明るく写るようにと露光時間を8秒に欲張って撮影した。今から見てみると、フォーカスが甘く、露光を欲張ったために手ブレの影響も強く出たのか、随分とボンヤリとした写り具合だった。初めての簡易手動追尾の威力に、すっかりのぼせ上がっていたので仕方がないが、要はこちらが相当にボンヤリしていたという訳だ。

b0167343_01880.jpgそこで、今回はフォーカスあわせを慎重に行った上で露光時間は3.2秒に設定して手動簡易追尾を試みた。撮影した中から41コマをコンポジット処理してみたところ、写野の中心は微光星までシャープに写っているので、普段よりも大きめの画像にしてみた。星雲本体と重なって星が数個写っているが、ちょうど星雲の真ん中に写っているのが中心星なのだろうか。

簡易追尾で撮影する時には、コンデジのセルフタイマー機能を使って10コマを連続撮影している。そのために、最初は対象を中心に置いていても追尾しているうちに対象が中心からズレてしまうことが多い。そして中心からズレたコマに限って追尾がうまくいって日周運動が相殺されて写っていたりする。コンポジットに選ぶコマは、まず星が点像になっているものを最優先にしているために、対象が必ずしも中心にない場合もある。その結果として、できあがった画像では中心部分はシャープになっても、周辺部分では収差が強調されて星がズレズレなってしまう。

まだまだ修行が必要ということになる。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-24 00:03 | 星雲

どうして今まで・・・・(M17オメガ星雲)

6月も半ばまで来ると梅雨空が当たり前であって、月食が見えるなどとはハナから期待していない。だから星が見えない夜が続いてもストレスが溜まるような感じはしないのだが、星空が無性に恋しく思われる時がある。そんな時は静かに目をつぶり満天の星空を思い浮かべてみるが、目を開けばいつもの通りで、たいした気休めになる訳でもない。あと1ヵ月は、こんな日々が続くのかと思うと、やっぱり溜め息が出てしまう。

ということで6月3日の晩に戻る。雲と霧がだいたい抜けて星空が戻ると、ホトトギスの声を聞きながら最初に望遠鏡を向けたのは、M17星雲だ。オメガ星雲の別名はギリシャ文字の「オメガ」のように見えるということで付けられたようだが、これがとんだ思い違いだった。

b0167343_22522685.jpg露光時間を3.2秒に設定して、いつもの簡易手動追尾で撮影を繰り返した中から27コマを選んでコンポジット処理してみたのだが、眼視に比べてかなり暗い部分まで写っているにもかかわらず、出来上がった画像を見ても「オメガ」には到底見えない。よくよく見てみると、弧を描く尻尾のような淡い光芒が見えていて、そこまで含めるとπ(パイ)の字を横に長くしたように見えなくもない。と、ここまで思い巡らせてハタと気が付いた。「オメガ星雲」のオメガは小文字のωのことだと思っていたのだが、同じオメガでも大文字の「Ω」ではないだろうか。それなら納得できると思ってインターネットで確認したら、その通りだった。

確か天文少年の頃に読んだ本には(藤井旭さんの本だったような・・)、「ωのようにはなかなか見えない」みたいに書かれていたような憶えがあったので調べてみたら、藤井旭著の星雲星団ガイドブックには「ωやΩのようにも見えなくはない」と記述されており、完全に自分の記憶違いだったことも判明した。

30年以上も勘違いしたままでいた訳で、別に人に迷惑をかけてはいないのだが、思い込みとは本当に恐ろしい。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-17 22:57 | 星雲

黄金の星々(M22球状星団)

5月14日の晩、次第に月が高度を下げて月明かりによる足許の影がずいぶんと長くなってきた。月没まであと少しだ。そこで、望遠鏡を「いて座」にある球状星団のM22に向けた。M22は密集度が低くまた中心部の星々が比較的明るいため、小口径の望遠鏡でも個々の星に分離して見える。以前の手持ち撮影でも、その様子をかなり鮮明に捉えることができた。果たしてそのM22を簡易手動追尾で撮影するとどう写るのか。

b0167343_16344038.jpg露光時間は例によって3.2秒に設定して、微動装置を握りしめると撮影をはじめた。対象が明るいので、星が点像に近くて星団が写野の中央に写っているコマだけを選び出して、コンポジット処理した。全部で24コマを処理したが、こうしてみると以前の手持ち撮影で写っていたのは、星団の中心部の明るい星々だけで、その周囲を暗い星がビッシリと取り巻いていることがわかる。ちょうど天の川の中心方向にあるため背景の微光星の数が多く、どこまでが星団なのかわからないほどだ。星団の星々は黄金を思わせる色合いで、まるで金貨を積み重ね散らしたかのように見える。そしてM71からM11、M22と写真の背景を比べると、次第に黒みが増して来て月明かりの影響が減ってきているのもわかる。

M22の撮影を終えた頃には月が沈み、暗くなった夜空に天の川が存在を誇示するかのように南から北へと空を二分して浮かび上がってきた。こうして30分間のクライマックスを迎えたのだった。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-12 16:36 | 星団

ホトトギスの鳴く夜

5月14日の晩に薄明迫るなかでM20を撮影していた時に、急に森からホトトギスの声が聞こえて、最早これまでと悟り撮影を終えた。ところが機材を片付けている間も相変わらずクッキリと見えている天の川に、撤収が少し早すぎたかなあという印象は拭えなかった。それでも、微かな朝の気配を感じとって時を告げるホトトギスに感心したのだった。

6月3日の晩は、5月14日の晩と同じ場所で霧が晴れるのを待っていた。雨雲が東南の空に去って一度は満天の星空になったのだが、それから30分もしないうちに下界から山肌をなめるように霧が昇って来た。しかたなく雲間から見える星をぼんやりと眺めていると、森の奥からホトトギスの声が聞こえてきた。まさかと思ったが、同じ鳥が移動したのか別の鳥が呼応したのかは定かではないが、今度は随分と近くからまた鳴き声が聞こえてきた。

時刻は午前1時前で、薄明まではまだ2時間近くあるはずだった。はじめは寝ぼけたか慌て者のホトトギスが「朝が来た!」と勘違いして鳴いたのだろうと思ったが、それからも遠くなり近くなりしながら断続的に森の中から爽やかな鳴き声が聞こえた。もう、ホトトギスの鳴き声が朝の到来を告げるものではないことは明らかだった。

インターネットで調べたら、古来から夜にホトトギスの声を聞くことを風流人が競って楽しんできたことが書かれていた。そして夜のホトトギスは歌にもたくさん詠まれているのだそうだ。以下は枕草子の三十九段を引用。
 ほととぎすは、なほさらにいふべきかたなし。
 いつしかしたりがほにもきこえたるに、卯の花、花橘などに宿りをしてはたかくれたるも、ねたげなる心ばへなり。
 五月雨の短き夜に寝ざめをして、いかで人よりさきに聞かむと待たれて、夜深くうち出でたる声のらうらうじう愛敬づきたる、いみじう心あくがれせむ方なし。
 みなづきになりぬれば、音もせずなりぬる、すべて言ふもおろかなり。
ということで、どうも旧暦で6月になるとホトトギスはあまり鳴かなくなるらしいので、そのホトトギスの声を聞きながら満天の星を味わったのだから、貴重な夜を過ごしたと言えなくもない。

そしてホトトギスが鳴く中で薄明を迎えたのだが、今度は南の空にまだクッキリと見えている天の川をコンデジで撮影してみた。ISOは3200で露光時間を2.5秒に設定して撮影した5コマをコンポジット処理したが、横たわった「さそり座」の尻尾から「いて座」の柄杓にかけて銀河が写り、銀河を境にするかのように東側の空が少し青味を帯びはじめている。望遠鏡の脇には緩やかに弧を描く「みなみのかんむり座」の可愛らしい星の並びも見えている。

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遠くの街路灯を受けて白く光る望遠鏡の横にたたずむ黒い影は、ホトトギスの声に聞き惚れる着膨れした風流人!?。そこで駄句を一つ
 鳴かぬなら 星空仰げ ホトトギス
おそまつ。

追伸
この記事へのアクセスを巡って、ホトトギスの初鳴きとの関連性を、以下の記事で考えてみましたので、興味のある方はどうぞ。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-10 00:17 | 月・星のある風景

久しぶりの星空

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早々に入梅して、部屋の隅に出しっぱなしになっている望遠鏡の箱は、猫の所属物になってしまったようだ。長く居座る訳ではないが、近くを通ると箱の角に体をこすりつけて一応は上に乗って横になってみる。どうも、所有権を主張しているらしい。あるいは爪研ぎの箱の前に置いたので、邪魔だと怒っているのかも知れない。

そんな望遠鏡だったが、6月3日の晩に久しぶりに八ヶ岳山麓で夏の星雲・星団を楽しむことができた。梅雨入り前に撮影した写真のストックが尽きかけていたので、これでしばらくは晴れない夜も写真のコンポジット処理を楽しむことができる。

帰って来てから、望遠鏡が本格的に猫の所有物になってしまわぬように箱は猫の邪魔にならない場所に片付けた。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-05 12:31 | 月・星のある風景

スペースシャトル エンデバー最後の勇姿

台風2号が抜けた5月30日の夕方に、久しぶりに晴れ間が広がった。夜中に望遠鏡を出すチャンスがあるかもと、夕食後に1時間半ほど仮眠をしてから職場に戻った。戻る時には北西半分は見事な星空だったが、約束もあったので我慢して一仕事こなした。ところが、夜半過ぎに家に戻る時には、完全な曇り空。それでも、もしかしたらと思い天体写真の画像処理をしながら空の具合を気にしていた。しかし晴れそうで晴れずに諦めきれないまま午前3時に近くに寝ようと部屋の明かりを消した。それでも未練がましく2階の北側の小窓から空の様子を確認した。

なんと北半分は晴れて星が見えていた。そして、ちょうど北斗七星のあたりを北西から北東方面に向かってゆっくり移動する明るい光に気が付いた。その際立つ明るさから、すぐに国際宇宙ステーション(ISS)だと思った。もう天文薄明を過ぎていたので、ISSは朝を迎えているのだなと思いながら見ていると、腕を延ばした握りこぶし1つ分ぐらいISSから離れて、ISSより一回り暗い光が先行して移動しているのに気が付いた。別の人工天体だ。この時間なら複数の人工天体が同時に見えることはよくあることだ。だが様子が変だ。2つの光は等間隔のまま同じ方向に向かっている。ン〜ッ、もしかしたら!!

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明けてからインターネットで確認したら、やはりそうだった。国際ニュースで調べたら、スペースシャトル「エンデバー号」が世界標準時で5月30日の3時55分にISSから分離したと書かれていた。JAXAのサイトで確認すると、ISSは午前2時57分頃に日本の北側を通過していたので、明るい光がISSであることは間違いない。分離は日本時間で12時55分に相当するから、それから14時間後の様子を見たことになる。しかし、エンデバーとISSがどんな位置関係かはJAXAのサイトからはわからなかった。こんな時は、以前にもお世話になったKAMADAさんのSTUDIO KAMADAサイトが役立つハズと調べてみたら、ちゃんとエンデバーがISSに先行して日本海上空を通過する様子がシミュレーションされた。

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エンデバー号は1992年から数えて今回が24回目のミッションで日本人宇宙飛行士も何度か搭乗しているが、今回が最後のミッション。その勇姿を偶然にもISSと一緒に見ることが出来たのだから何と言う幸運だろうか。しかし、そうだとあらかじめ知っていたらカメラにおさめることもできたハズだと思うと、なんとも残念な気がする・・。
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by Nikon8cmtelescope | 2011-06-01 00:54