春のアンタレスと銀河

さそり座の一等星アンタレスが南中するのは、夏の初めだと午後8時ごろだが、5月の連休だと夜半過ぎ、そして3月下旬だと薄明直前の時間帯になる。日中の暑さが残るなかで大気の揺らぎで燃えるように見えるアンタレスは、もちろん夏の夜空の主役であるが、明け方の冷え込みの厳しいこの時期に凛として見えるアンタレスも味わいがある。

3月25日の晩は、八ヶ岳周辺には季節風による雪雲が張り出してくる予報だったので、雲を避けるように富士山麓に出掛けた。南天のM83を撮影したら帰るつもりだったのが、澄み切った星空が名残惜しくて予定の時刻を過ぎてもなお撮影を続けていた。そして、我に返るとアンタレスが富士山の横で高度を増していた。大慌てで機材の撤収を始めたが、東の空から昇ってきた銀河があまりに見事だったので、ガイド鏡のミニ・ボーグを外した雲台にコンデジを据え付けてカメラを銀河の方向に適当に向けると、露光時間を30秒にISOを800と400にそれぞれ設定するとNikon 8cmをガイド鏡にして4コマずつ撮影した。それから大急ぎで富士山麓をあとにした。

撮影した8コマをコンポジット処理してみると、既に薄明をむかえていて銀河の東側の空は明るくなりかけていた。そして、肝心のアンタレスは端っこにギリギリで写っていて、反対側には立ち木が斜めに写りこんでいるという、なんとも中途半端な構図だった。それでも、銀河を分かつ暗黒帯の複雑な切れ込みが柔らかく写り、中でもアンタレスの方向に流れ込むように長く伸びていく様が捉えられている。
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ちなみに、この時の気温は氷点下7度。星像もシャープで、いかにも春の明け方らしい空だ。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-31 17:22 | 月・星のある風景

早春の散開星団(その2-M37星団)

2月18日の晩に、M45の後に望遠鏡を向けたのは「ぎょしゃ座」のM37だ。「ぎょしゃ座」にはM37の他にM36とM38という、小望遠鏡向きの散開星団がある。このM36とM38は比較的近接しているので、秋の終わりにミニ・ボーグでコリメート撮影をしている。M37は、M36とM38からは少し離れていて、また微光星が散開星団としてはかなり密集しているので、ミニ・ボーグでは役不足だ。画角的には、いつものNikon 8cmに30mmの接眼レンズを組み合わせた40倍がピッタリの感じだ。

眼視では、かなり密集しているので、一見すると星雲のようにも感じられるが、よく見ると明るさの揃った無数の微光星が群れを作っているのがわかる。個々の星が分離した画像を得るためにも、かなり慎重に追尾する必要があるので、露光時間を30秒にしてISOを640に設定して撮影した。さらに途中からは、露光時間を20秒にしてISOを1000に設定して撮影した。全部で80コマほどを撮影した中から、追尾エラーのない28コマを厳選してコンポジット処理した。

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その結果、星はほぼ点像に近い良像に仕上げることが出来た。そして、意外にも星団を構成する星の数がそれほど多くないことに驚かされた。青白い星々のなかでオレンジ色の星の存在が目立つが、これはおそらく星団本体とは関係のない星なのだろう。散開星団を見ると、ついつい個々の星を線で結んで何か形を探してみたくなるが、M37の場合は星がかなり密集しているためか、なかなか形のイメージが湧いてこないのが面白い。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-25 22:32 | 星団

早春の散開星団(その1-M45スバル星団)

すでに2月も後半になると、冬の空に君臨していたオリオンの威光にも翳りが見え始め、オリオンの露払いのように天空で瞬いていたスバル星団は、西の空に高度を下げつつある。そんな時期になって、Nikon 8cmの完全手動追尾でスバル星団をまだ撮影していなかったことが気になりだした。いま撮影しておかないと次の冬まで待たないとならなくなる。

ということで、どこまで写るかはわからないが2月18日の晩にNikon 8cmに30mmの接眼レンズを組み合わせてM45に向けると、露光時間を40秒でISOを1000に設定してS95のコリメート撮影を始めた。特にM45に重なる刷毛で掃いたような繊細なガス星雲を捉えるためには、追尾エラーを極力減らす必要がある。そこで、いつも以上に望遠鏡のバランスを丁寧にとって、手動追尾がスムーズにいくように調整をした。

コンデジのバックモニターでも、うっすらとではあるがメローペに重なる部分にスジ状のガス星雲が確認できた。しかし、60コマほどを撮影する間にM45はどんどんと高度を下げてきて、そのせいかバックモニターではガス星雲の存在がはっきりしなくなってきたため撮影を打ち切った。そのなかで、追尾エラーが比較的目立たなかった27コマを選んでコンポジット処理した。そして、ガス星雲を際立たせるために強力な増感処理を行なった上で、通常の増感処理を施した画像と合成した。

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その結果、画質は粗くなってしまったが、メローペとマイアに重なる部分は、ガス星雲の縞状の構造を確認することができた。それ以外の部分でもちょうどくもりガラスのように、なんとなくガス星雲の存在がうかがえる。ネット上で公開されている画像と比較してみると、淡い部分にも縞模様が微かにではあるが写っているようだ。

高度を下げてからの撮影でここまで写るのなら、十分な高度があって透明度の高い晩に、もう少し露光時間をかけた上で十分なコマ数をかければ、淡く繊細な部分もソコソコは写ってくれるのではないだろうか。いやいや、その美しさを思えば一晩を捧げるつもりで撮影してもよい位だが、問題はバッテリーだなあ。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-23 01:44 | 星団

球状星団の季節(その4-M13)

2月19日の晩に、寒さの中をいつもの茅が岳の麓に出掛けた。いくつか散開星団を撮影した後で、東の空に高度を増してきたM13球状星団に望遠鏡を向けた。さすがに球状星団の横綱だけあって、8cmの口径でもザラっとした質感があり周辺部の星が分離して見える。眼視での光芒の大きさだとω星団に軍配が上がるが、条件で圧倒的に勝ることもあり総合的にはM13の方が見応えがある。

今回は追尾エラーの少ない画像を目指して、露光時間は無理をせずに20秒に設定するとISOを500から3200まで段階的に撮影した。ISOを3200にすると周辺部の星々まで写る一方で星団の中心部が飽和してしまうが、ISOを落とすことで中心部まで星々が分離して写るので、これも一種の多段階露光と言えるだろう。

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撮影した80コマの中から、追尾エラーの少ない54コマを選んでコンポジット処理をした。こうしてみると、1年前に6秒露光の簡易手動追尾で撮影した写真に写ったのは、ほんの中心部のみだったことがわかる。先に撮影したM3と比較してみると、星の広がりという点ではM3もそれほど違わないようだ。しかし、中心部の立体的な厚みというか質感はM13がM3を圧倒しており、これが眼視での迫力の違いになっているのだろう。一方ω星団と比較してみると、星の広がりという点では中心部も周辺部もω星団の方が勝っている。しかし、M13は均整がとれていて個々の星も細かい砂をまぶしたように写っているのに対して、ω星団は楕円状で個々の星も低空のためか曖昧で大味な印象を受ける。

やはり、日本の空ではM13が最も見応え写し応えのある球状星団だと言ってよいだろう。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-14 01:13 | 星団

球状星団の季節(その3-ω星団)

2月3日の晩も、そうこうするうちにスピカが高度を増してきたので、南天の低いところを地平線に沿うように双眼鏡を流してみると、ボンヤリした光芒がすぐに見つかった。そうω星団だ。早速にNikon 8cmを向けてみると、オレンジがかった大きな楕円形の光芒が広がるものの、個々の星が分離しているところまでは確認できなかった。星団の高度は南中時でも6度ほどで望遠鏡はほとんど水平に近く、冬空とは言えちょうど市街地の方向なので街灯りの影響をかなり強く受けている。

そこで、露光時間を20秒に設定しISOは400とかなり控えめにしてコンデジで撮影を始めた。40コマほど撮影したところで、ギャラッド彗星とM91のランデブーをfornax8さんが教えてくれたので撮影を打ち切った。撮影した中から24コマを選んでコンポジット処理してみた。

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ISOが400で20秒という短い露光時間で街明りが被った撮影にもかかわらず、多数の星々が密集して写っている。高度が十分にあって露光をしっかりとかけたら、きっとスゴイ星の集団なのだろう。黄金色というよりは鉄サビ色といったくすんだ感じを受けるのは、高度が低いためなのだろうか。しかしよく見ると、星団の周辺にある星の中には純白に写っているものもあるので、この色合いは低空なためばかりではなさそうだ。M53が青味掛かった色合いに写っているのとは対照的だ。

昨年の今頃に、強風の中を手持ちで撮影した正体不明の光芒が、なんだか懐かしく思われる。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-10 00:44 | 星団

球状星団の季節(その2-M53)

ギャラッド彗星とM92球状星団のランデブーを撮影した2月3日の晩に、最初にNikon 8cmを向けたのは、M53球状星団だった。30mm接眼レンズとの組み合わせでギリギリ同一視野に入る辺りに、NGC5053という別の球状星団があるので、出来れば両者を同一視野に入れて撮影したいと考えていた。

このNGC5053は眼視では確認出来ないため、コンデジで撮影しながら存在を確認していったのだが、短時間の露光では見つけ出せなかった。そこで諦めてM53を中心に置いて単独で撮影することにした。露光時間は秒でISOを500から1600で撮影した64コマから44コマを選んでコンポジット処理した。

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M3に比べると、全体的にも星団を構成する星々も暗くて、地球からの距離が遠いことがうかがわれる。均整がとれた姿ではあるが、どことなくはかなげな感じを受ける。その分、星団に近接するオレンジ色の9等星とブルーの10等星の組み合わせが目を惹く。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-06 00:52 | 星団

球状星団の季節(その1-M3)

1月29日の晩も薄明が近付いてきたので、こんどは通常のマニュアル設定で15秒露光にすると、コマ毎にダーク減算処理しながらM3を撮影した。年末に強風に煽られながら20秒露光で撮影した20コマをコンポジット処理したところ、思いのほか星団の周辺部まで広く星が写っていたので、今回は露光時間を少し短くして追尾エラーの影響を減らし、コマ数を増やして画質を向上させることを考えた。

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70コマ余りを撮影した中から45コマを選んでコンポジット処理した。やはり前回よりも画像の粗さがかなり改善されている。こうしてみると、かなり広い範囲まで星団からの星が広がっているのがわかる。露光時間を更に延ばして暗い星まで写るようにすれば、もっと美しい姿を見せてくれそうだ。M3が球状星団の大関格なのも頷ける。
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-04 15:31 | 星団

ダーク減算が入らない!!(その2-M81/M82 Bode銀河)

ダーク減算処理なしでの撮影であるが、次はM81/M82 Bode銀河だ。こちらは、64秒露光のISO800で6コマ、101秒露光のISO800で9コマを撮影し、その後で40秒露光のISO1250で15コマを撮影した。露光時間の合計が30分強なので、ダーク減算処理が入ればインターバルも入れて1時間半近くを要することになるが、減算処理なしで実際に撮影に要した時間は約45分だった。

30コマを撮影した中から、64秒露光の5コマ、101秒露光の9コマ、40秒露光の10コマの合計24コマを選んでコンポジット処理してみた。M81の銀河をとり巻く淡い部分にあるスジ状の構造も写って、これで二本の腕の方向が入れ替われば、色合いと言い亀甲様の構造と言いウミガメが泳いでいるかのように見える。M82は、やや露光オーバーの感じで銀河の濃淡がつぶれてしまっているが、赤いガスの吹き出しが不鮮明ながらも確認できる。

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M82がオーバー気味になるので、あまり強調処理を施さなかったせいか、ダーク減算のムラはM51の画像ほどではない。しかし、M81の周辺の緑がかった色ムラは、その影響だろう。それでも、このくらいの画質であれば、短時間でコマ数を稼げるというダーク減算なしでの撮影の利点の方が、画質の低下という欠点を上回っている感じだ。

ところで、この夜以降はダーク減算処理をせずに撮影しようとしても、必ず減算処理が入ってしまうようになった。CHDKの設定画面で「RAW parameters」のメニュー画面に入って、「Dark Frame Subtraction」をoffに設定しても、やっぱり減算処理されてしまう・・・・・。そもそも、この夜もどうして減算処理されなかったのか、よくわからなかった。いったい、どうなっているのだろうか!?
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by Nikon8cmtelescope | 2012-03-02 01:33 | 手持ち撮影にこだわる訳