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月夜のテスト撮影(M31アンドロメダ銀河)

簡易手動追尾から一歩進めて、ガイド鏡での手動追尾によるコンデジのコリメート法での星雲・星団の撮影を試す時が来た。

9月18日の夜に、東京出張から戻ったのは午後8時前。街中からもキレイに星が見えている。月の出までは、わずかな時間しかない。食事を大急ぎで済ませると、車で30分ほど郊外の山の中腹に出掛けた。ところが届いたばかりのサブの望遠鏡が、うまく結像せずバタバタしているうちに雲が出て来てしまった。程なく木々の間から月が見えるようにもなって、失意のうちに山を下りた。しかし、そのまま家に戻る気持ちにはなれず、以前から観望候補地として目を付けていた場所に様子を見に行ってみることにした。

そして標高1700メートルの林道の終点に着いてみると、雲は眼下になって信じられないような見事な月夜だった。眼下に広がる盆地の街灯りは、うまい具合に雲に隠れされており、雲の切れ間からは美しい夜景が見える。下弦の月が高く昇って煌々と辺りを照らしてはいるが、空の透明度が高いので星もよく見えている。これならテスト撮影は十分に可能だ。

月夜のテスト撮影(M31アンドロメダ銀河)_b0167343_1593414.jpgということで望遠鏡を組み立ててサブ機を調整しているうちに、ようやく合焦のポイントが掴めた。写真は月明かりに照らされた望遠鏡だ。足許に雲に覆われた街灯りが写っている。赤道儀の鏡筒バンドに据え付けられているカメラネジに微動装置付き雲台を付けて、そこに口径5cmのミニ・ボーグを載せた。焦点距離250mmのサブ望遠鏡は、2倍バローレンズに天頂プリズムを組み合わせると合成の焦点距離が3.3倍に延びて825mmになる。これにガイド用の12.5mmの接眼レンズを組み合わせると、倍率は約70倍。メインの8cm望遠鏡の焦点距離は1200mmで、コリメート撮影は30mmの接眼レンズとの組み合わせなので倍率は40倍。

テスト撮影をはじめてみると、ガイド鏡で確認しながらの追尾になったとは言え、ちょっとでも手加減を誤ると星が流れて点像を結ばなくなる。思っていたよりは難しい。それでも、カメラアングルを決めた上でガイド鏡の微動装置を使ってガイド星を視野の中心に置くので、以前のブラインドでの追尾のように、セルフタイマーでコマ数を重ねるうちに、だんだん対象がカメラアングルの中心からズレてしまうようなことはなくなった。

最初は、出来るだけ月から遠い対象を選んでテスト撮影していた。しかし、ガイド撮影の具合を確認するには、明るい対象の方がいいだろうと考え直した。そして、月の近くのM31アンドロメダ銀河に望遠鏡を向けると、露光時間を8秒に設定して追尾撮影してみた。30分余りで約90コマを撮影したが、そのうち4割のコマで星がほぼ点像になった。その34コマをコンポジット処理した画像がこれ。

月夜のテスト撮影(M31アンドロメダ銀河)_b0167343_1595567.jpg
銀河の淡い部分は月明かりに埋もれてしまっているが、画像がグンとシャープになって、銀河の暗黒帯の微細な構造まで写っているのがわかる。ブラインドでの追尾撮影の解像度とは全然違う。これなら、月のない晩に撮影すれば、銀河の姿がかなり鮮明に写せそうだ。

by Nikon8cmtelescope | 2011-09-20 02:04 | 手持ち撮影にこだわる訳