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満月の向こう側

子供の頃に熱心にながめた「アポロ11号」の写真集の中に、月の裏側の写真が載っていた。「裏側」と言うと子供心に真っ暗な世界だと思っていたが、アポロ宇宙船からの写真では、月面が鮮やかに輝いていた。

一方で、月を周回する宇宙船が月の裏側に入ると地球との交信が途絶えると書かれていて、それが不気味さを助長した。何か未知の存在が暗闇から宇宙船を狙っているような怖さを感じた。
満月の向こう側_b0167343_0574312.jpg
読み直してみると、青白色の月面写真とともに「1968年のクリスマス・イブの日、アポロ8号はそれまで人間が直接その目で見たことがなかった月の裏側にはいり、無線連絡は途絶えた。 - -(中略) - - 地球は報告を待ちつつ、不安な10分間を過ごした。」と書かれている。

満月にはいつもウサギが見えているので、月に「裏側」があることは理解できた。しかし、宇宙船から見た月の裏側が漆黒の闇の世界ではない事が何となく不満で納得いかなかった。地球が新月の時には、月の「裏側」に太陽の光が正面から射しているという当たり前の事に考えが及ぶようになったのは大人になってからだ。

子供の頃に出来上がった、月の「裏側」には未知の世界があるという勝手なイメージから、今でも満月前後の月に望遠鏡を向けると辺縁が気になってしまう。写真は4月10日に撮影したものだ。
満月の向こう側_b0167343_0555740.jpg
見てはいけない世界を覗いているような落ち着かない気分を味わいながら、辺縁にある黒々したクレータの影を飽かず眺めてしまう。そこには何かが潜んで手招きしているような気がする。

by Nikon8cmtelescope | 2009-04-17 01:02 | 天文少年の頃