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レモン彗星と猫談義

メシエ天体の制覇を果たし気抜けした訳ではないが、記事の更新が滞ってしまっていた。我が家のネコは、このとろすっかり活動量が減って胴回りがふっくらしてきた。そして、冬の間はイスの上に丸くなって寝ていたのが、季節も良くなって随分とダラしなく眠るようになった。その姿に我が身を重ねて、これじゃあいかんと奮い立つ。

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5月12日の晩は、仮眠をとって八ヶ岳山麓へ出かけた。最初は富士見高原に行ってみたのだが、霧の中だった。車数台の同好の志は、機材を据えて回復待ちの様子。しばらく待ったが回復の兆しがなく、そのまま車に乗って数キロ西側にある原村の「まるやち湖」に移動してみた。途中で霧から抜けて、着いてみると満天の星空。車が1台あって、同好の志が熱心に撮影している様子だった。

大急ぎで機材を組み上げると、Nikon 8cmを北斗七星に近いM106銀河に向けてみた。空の透明度が良好で、紡錘形の銀河に濃淡があることが眼視でも確認できた。ガイド鏡にガイド星を導いて、コンデジをNikon 8cmの接眼部に据え付けると、手動ガイドによるコリメート撮影の準備が完了。そこでガイド鏡を覗き込んで手動ガイドを開始すると、なぜかガイド星が見えない。えっと思って空を見上げて驚いた。空一面が雲に覆われている。わずか1-2分の間の出来事だった。

同好の志は赤道儀に向かって調整中の様子。思わず声をかけたところ、雲が広がったことには全く気付いていなかった様子で、やはり空を見上げて驚いていた。しばらく話をするうちに、用意してあった星野撮影の綿密な撮影予定のイラストに「やまねももんが」さんでは!?と思い当たり、恐る恐る確認してみるとその通りだった。それからは、あれやこれや語り合い、果てはお互いの飼い猫談義にまで発展した。はじめて会ったのに、お互いのことを結構知っているというのは不思議な感覚だった。間もなく星空が回復してきて、お互いに撮影に戻った。

2時間ほどで薄明が始まり、撮影に区切りをつけて再び「やまねももんが」さんのところへ行くと、レモン彗星を撮影中とのこと。北半球からも明け方の空に見えるようになったとは知らなかったので、場所を教えていただく。早速に双眼鏡で確認すると、簡単に見つかった。これなら、Nikon 8cmでも見えそうだ。しかし、据え付けた場所からは木に隠れてしまっていた。そこで、望遠鏡を組み上げたまま、エイヤッと持ち上げて移動し導入してみると、ちょうど球状星団か楕円銀河のような光芒がハッキリと確認できた。

望遠鏡を移動させたたため、極軸は大きくズレてしまっていたが、気にせず手動ガイドでコリメート撮影してみた。ISOはmaxの3200で露光時間は20秒として10コマ撮影した。途中で雲がかかったコマもあったが、構わずコンポジットして一応は簡易フラット補正も入れた画像がこちら。

レモン彗星と猫談義_b0167343_2243949.jpg2013年5月13日 3:18-3:25
八ヶ岳山麓原村 まるやち湖畔
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間20秒; ISO 3200) x 10コマ
オート・ダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+簡易フラット補正


尾ははっきりしないが、エメラルドグリーンの頭部が美しい。「やまねももんが」さんのおかげで随分と得した気分になり、気持ちよく帰路につくことができた。

by Nikon8cmtelescope | 2013-05-16 02:31 | 彗星