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M22球状星団 2014

夏前に撮影した球状星団シリーズの最後・・・

手持ち撮影の頃はよくNikon 8cmを向けた対象だったが、今の撮影方法になってからちゃんと撮影したことがなかった。というか、Nikon 8cmを向けると必ず曇るという曰く付きの対象だ。

この夜は網状星雲を狙っていたのだが、雲に度々覆われて諦めた。なぜか南天の低い空には雲が出なかったので、逆説的ではあったがNikon 8cmの前では雲を友とするM22を対象に選んだ。しかし、ジンクスとは恐ろしいものだ。準備が整い本格的な撮影を始めたとたんに雲が天頂から下りてきた・・・

ただ、もう時間的に他の対象に浮気する時間もなかったので、そのまま待つ事しばし。ついに雲が退散した。明るい対象なので、露光時間は延ばさずにコマ数を重ねることにした。そして目出たく雲に邪魔されずに薄明を迎えることができた。

M22球状星団 2014_b0167343_0504693.jpg
2014年5月新月期 1:51 - 3:20 八ヶ岳山麓富士見高原
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間40秒; ISO 2000-500) x 29コマ 全29コマ積算露光時間 19分 オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+フラット補正+簡易星マスク


合計の露光時間が19分だと、ダーク減算処理に同じ時間がかかるので、正味の撮影に要した時間は40分弱のところが、実際には1時間半をかけていたことになる。その間は、双眼鏡を片手に雲の合間の天体を散歩していたので、まあそんなに悪い時間を過ごしていた訳でもない。

M22球状星団 2014_b0167343_0533898.jpg


短い露光時間の割にはなんとかなった。天の川のど真ん中にあるので背景の星々が賑やかで星団との境目が判然としないが、かなり広い範囲まで星が広がっているようだ。

これで悪しきジンクスの1つが崩れたと喜んでみたが、たぶんこれでM22にNikon 8cmを向けることはしばらくないだろうから、それほどお目出度い話ではないことに気が付いた・・・このジンクスが他の対象に伝染しないようにと願うばかりだ。

# by Nikon8cmtelescope | 2014-11-01 07:26 | 星団

M33銀河 2014

改めて難しい対象だなあと思った。とにかく淡くて大きい。しかも秋の夜空は結露に悩まされる。そうでなくても周辺減光の大きなコリメート撮影なので、銀河の淡く大きく広がる腕の部分の画像処理がとても難しい。

淡い腕をなんとか写し出そうと、このところ成功している高いISO値設定で撮影を続けたが、この晩はGPV予報に反して低空に靄のような雲があって、それが絶えず天頂付近まで広がって来ては淡い星雲の存在を脅かす。しかし、こちらにはなす術はないので愚直にひたすら手動ガイドを続ける。何度かガイド星もロストしてしまうほど雲が広がったが、しばらくすると晴れ上がる。その繰り返しだった。

途中コンデジのバッテリー交換をしている間に完全に空が雲で覆われてしまった。晴れ間が押し戻すのを待っている間に、なんと今度はNikon 8cmの対物レンズが結露で曇ってしまった。この夜は、機材から滴るほどの激しい結露で、カイロでも防ぎきれなくなってしまった。予定のコマ数には到底達していなかったが、撤収することにした。

そして画像処理であるが、冒頭の通りフラット補正に手を焼いた。ほとんどがISO3200であったためか階調に厚みがないようで、銀河の淡い部分をあぶり出そうとすると不自然になってしまう。しかも結露対策が出来ていないガイド鏡が結露しガイド星が十分に見えないなかで手動追尾したために、追尾精度も低いという負の連鎖・・・画像処理を途中で投げ出してしまおうかとも思ったが、今年の足跡を残すためとにかく仕上げた。

M33銀河 2014_b0167343_2364955.jpg
2014年9月新月期 21:17 - 23:54 八ヶ岳山麓八ヶ岳高原
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間40秒; ISO 3200) x 4コマ + (露光時間64秒; ISO 3200) x 5コマ + (露光時間80秒; ISO 3200) x 10コマ + (露光時間100秒; ISO 3200-2000) x 19コマ  全39コマ積算露光時間 54分 
オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+フラット補正+簡易星マスク


対象が中央に収まった点以外は昨年の画像の方が良く写っている。積算の露光時間は今年の方が上回っていたのに淡い部分の写りが悪いのは、空の透明度の違いってことなのだろう。Nikon 8cmの赤道儀は南中後の対象は苦手なので、また来シーズンに条件の良い空へ持ち越しだ。

# by Nikon8cmtelescope | 2014-10-26 23:17 | 星雲

ω星団 2014

4月の新月期にはω星団にNikon 8cmを向けた。富士山麓とは言え南天に低いω星団なので最初はLPS-P2フィルターを装着して撮影をはじめた。

ところが、望遠鏡の設置場所に配慮が足りなかった。ちょうど南中したタイミングで電柱に星団が隠れてしまった。ご丁寧に電柱には斜めにもう1本電柱が添えてあって、その影から抜けるまでに随分と時間を無駄にしてしまった。電柱から抜け出した後はフィルターを外してコマ数を重ねたが、ほどなく樹木に隠された。

ω星団 2014_b0167343_23584575.jpg
2014年4月新月期 0:04 - 1:38 富士山麓朝霧高原
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
LPS-P2 filter (露光時間32秒; ISO 2500-200) x 9コマ + (露光時間40秒; ISO 1600-1000) x 12コマ + (露光時間50秒; ISO 1000-500) x 8コマ + (露光時間64秒; ISO 500) x 4コマ No filter (露光時間40秒; ISO 2000-320) x 20コマ 全53コマ積算露光時間 37分 オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+フラット補正+簡易星マスク+HDR補正+40秒露光20コマの恒星像を合成


フラット補正が出来るようになった分だけ昨年よりも見映えがしているが、本質的な写りには差がない感じだ。南天に低い対象は、気象条件はもちろんだが機材の設置場所も慎重に選ばないといけない!という教訓を忘れずに、来シーズンにまた挑戦しよう・・・

# by Nikon8cmtelescope | 2014-10-20 00:06 | 星団

NGC253銀河 2014

一昨年に撮影したものの、去年は何度か撮影を試みたが撮影条件に恵まれず成就できなった対象を、ようやく撮影することが出来た。

南天に低い対象で、この夜も撮影中に低空に靄のような薄雲が東側から度々広がってきていたが、幸いにも対象の領域が雲で覆われることはなかった。ただ、撮影中には気が付かなかったが、コンポジット処理の際に各コマを見比べてみたところ、連続するコマでも写り具合に微妙な差があったので、薄雲の影響は受けてしまったようだ。

南天に低い対象は、どうもNikon 8cmのバランスがよろしくなくて手動追尾がスムーズにいかない事が多いのだが、どういう加減なのかこの夜は割合と気分よく追尾することが出来た。微動装置の力加減に慣れるにしたがって露光時間を段階的に延ばしたかったのだが、薄雲の存在が気になり露光時間を抑えてコマ数を稼ぐことを優先した。

低空の対象で光害カブリが強いと、今まではついついISOの設定を低くしてきたのだが、今回は我慢して基本的にISOは最高値の3200で通した。また、発色が不自然になるのを避けてLPS-P2フィルターも使用しなかった。80秒露光で6コマ撮影したところでコンデジのバッテリーが尽きてしまったので、撮影を終了とした。

NGC253銀河 2014_b0167343_23544582.jpg
2014年9月新月期 0:09 - 1:59 八ヶ岳山麓八ヶ岳高原
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間32秒; ISO 3200) x 10コマ + (露光時間40秒; ISO 3200) x 28コマ + (露光時間64秒; ISO 3200) x 16コマ+ (露光時間80秒; ISO 3200-2000) x 6コマ  全60コマ積算露光時間 49分 オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+簡易星マスクによる強調 + 簡易フラット補正


NGC253銀河 2014_b0167343_1265786.jpg
ISOを高くしたため背景の空が緑色を帯びてしまい、簡易フラット補正にかなり手を焼いたが、浮き出て来た銀河の写り具合は満足できるものだった。手持ち撮影した頃には、虫食いのような暗黒帯の様子を「ボロ雑巾」のように思ったが、この位まで写ってくれると小学生の頃に理科室の顕微鏡で見た「ゾウリムシ」の姿を思い出した。

# by Nikon8cmtelescope | 2014-10-16 00:41 | 星雲

M42オリオン星雲 2014

冬の王者の勇姿を今シーズンも早々に撮影したら、今までで一番の仕上がりになったのでアップ。

詳細は、また後日に改めて。

M42オリオン星雲 2014_b0167343_14521961.jpg
2014年9月新月期 3:03 - 4:36 八ヶ岳山麓八ヶ岳高原
Nikon 8cm (f 1200mm) + Takahashi LE30 (30mm) 手動ガイドによるCanon PowerShot S95 コリメート撮影
No filter (露光時間32秒; ISO 3200-640) x 26コマ + (露光時間64秒; ISO 3200) x 5コマ + (露光時間80秒; ISO 3200-640) x 16コマ  全47コマ積算露光時間 41分 オートダーク減算 + Photoshop Elementsを用いてコンポジット+フラット補正+恒星は30コマ合成像 中心部約80%をトリミング


この夜は、天頂にある目的の天体を望遠鏡に導こうとしたらカイロを装着していたにもかかわらずレンズが結露にやられてしまった。豆ドラでレンズを乾かしたり、タオルで鏡筒を拭いたりしているうちに時計の針はみるみる進み、なんとかリカバリーできたのは午前3時前。お目当ての対象は淡く、薄明までの1時間ちょっとではとてもモノにはできない。そこで急遽Nikon 8cmを向けたのが、明るいM42オリオン星雲だった。

薄明までの残り時間を有効に使うため、薄明が始まるまでは80秒露光で周辺部の淡い部分まで捉えることにして、薄明開始時刻からは32秒露光にして段階的にISOを下げながら星雲の中心部分を撮影することにした。そして、星像はよりシャープに写った32秒露光のコマを活かすことにした。

全コマをコンポジットした画像で輝星をレタッチで消したところで、32秒露光で撮影したコマだけコンポジットした画像を比較明合成すると、星像だけが32秒露光で撮影したコマに入れ替わった画像が出来る。ただ、この合成画像の星像はやや不自然になるので、元のコンポジット画像と適当な割合でブレンドした。また、星雲の中心部分も32秒露光のコマから切り出してブレンド合成した。

空の透明度やコマ数、積算露光時間は昨年末の撮影に及ばないのだが、星像がシャープになったのとISOを高めに設定したせいか周辺部の淡い部分が比較的よく写ったのとで、個人的にはこちらの方がよい感じに仕上ったと思っている。

同じ手法で、もう少し積算の露光時間を延ばせるように、また挑戦してみたいと思う。

# by Nikon8cmtelescope | 2014-10-03 00:27 | 星雲